子育ては、ほとんど遺伝で決まっている。橘玲「言ってはいけない残酷すぎる真実」は壮大な育児本

ロングセラーの新書で、数ヶ月にわたって書店で山積みにされているので、見かけた方や、すでに読んだ方もいらっしゃるでしょう。

橘玲(たちばな あきら)氏の「言ってはいけない 残酷すぎる真実」は、タイトルに偽りなし。まさにこれを言ってしまって良いのか……と思える、表立っては語られない真実をズバズバと解説。何度も身震いさせられたり、ハッと気づかされたりしながら読みました。

 

この本は『遺伝』を軸に書かれていて、「人は持って生まれたものは変えられないんだ」ということを伝えています。前半は、人間が犯してしまう凶悪犯罪について書かれていますが、後半は男女関係、そして子育てについて書かれています。僕たち育児世代にとっては、なかなか興味深い内容です。

難解な表現が時々出てきて、スラスラと気軽に読み進めにくい本ではありますが、僕はkindle版を購入し、スマホでぼちぼちと読了しました。筆者は大量の研究書を読み、それに基づいて書いていますので、かなりリアリティがあります。そして、「きれいごとではダメだ。不愉快なものにこそ語るべき価値がある」と説いています。

親が何をしようと、子どもはほとんど遺伝で決まる。「半分は遺伝、半分は環境」は嘘。

遺伝子(DNA)のイラスト

双子が生まれたら「同じ子どもは2人いらない」という理由で、一人を養子に出すとこが世界中でよくあるそうです。その双子は、それぞれまったく違う環境で育つにもかかわらず、大人になって比べてみると、非常に似ていることがわかりました。

一卵性双生児は、容姿だけでなく、能力、病気、食事やファッション、女性の好みなども非常に似かよっていました。違う親、違う学校、違う土地、違う社会で育ったのにもかかわらず、そっくりなのです。

まったく同じ遺伝子を持つ一卵性の双子と、同じではない二卵性の双子を比較しながら、遺伝が与える影響を調査。その結果、育った環境が知能や才能に与える影響はゼロであることがわかったそうです。

「子どもは、親のしつけや学校の教育によって、誰しもが能力を伸ばすことができる」と、一般的には考えらています。でも、真実はそうではなかったのです。

画像参照元:「言ってはいけない 残酷すぎる真実」より
画像参照元:「言ってはいけない 残酷すぎる真実」より

 

なかでも一卵性双生児が特に似ていたのは、「音楽」「美術」「数学」「スポーツ」といった才能の部分。それらは別々に育っても結局才能を発揮するので、環境は影響を与えるのではなく、遺伝が影響を与えてることがはっきりしました。

双子に限らず、音楽家族であるとか、兄弟でスポーツが得意であるとか、確かにそういう同じジャンルの才能を持ったは家族はよく見ます。それは恵まれた環境が影響したのではなく、遺伝だったいう訳です。


家族が子どもの性格や社会的態度、性役割に与える影響は皆無で、認知能力や才能はかろうじて言語(親の母語)を教えることができるだけ。それ以外に親の影響が見られるのはアルコール依存症と喫煙のみだ。

学習能力はもちろんとして、「男らしく(女らしく)しなさい」というしつけの基本ですら、親は子どもの人格形成になんの影響も与えられないというのは、ものすごく理不尽な話にちがいない。だが子育ての経験があるひとならば、どこかで納得しているのではないだろうか。なぜなら、子どもは親の思いどおりには全然育たないのだから。

第11章 わたしたちはどのように「わたし」になるのか より引用


みんなできるのだから、と無理することはない

楽しく走る家族「うちの子は、うちの子」

子育てをしていると、どうしても他の子どもと比較してしまいがちです。

それは、赤ちゃんの頃から始まります。「うちの子はハイハイを始めるのが遅い」であるとか、「言葉を話し始めるのが遅い」であるとか。

そして小学校に就学してからは、「勉強ができる」「スポーツができる」「クラスメイトと仲良くできる」など、他の子供との比較してしまいます。そこからは、受験、就職、結婚。子どもへの期待や他人との比較は、いつまでも続くのです。

そこで「遺伝で決まっているよ」と言われれば、「努力しても無駄なのか!」と怒りたくなるかもしれませんが、実はそうではありません。

持って生まれた才能を見極めてあげて、それをのびのびと伸ばすサポートをしてあげれば良いのです。それは子どもにとっても幸せなことですし、親にとっても他人と比較して苦しむ必要がなくなります。

うちの子は、うちの子なんだから、と。

今の日本の教育制度は正しいとは限りません。また、世の中には他人と比較することで生まれる不安に付け入るビジネスも多数存在します。そういうのに振り回されすぎると、あまり良くないと思うのです。

橘玲氏の「言ってはいけない 残酷すぎる真実」は、恐ろしい真実を暴く本にも思えますが、自分や家族を『生物』として大きく俯瞰して、生きやすくしてくれる本でもあるのです。

先にも書きましたが、ちょっと難しい本ですので、育児マンガを読むようにサクサク〜とはいきません。ただ、膨大な研究書を、ポケットサイズの新書にうまくまとめている『すごい本』です。読んで損はないと思います。少し変わった子育て本という視点で、ぜひいかがでしょうか。

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