僕が小学生だった頃を振り返ると、学校の成績の良し悪しなんてどうでもよく、大事なのは友人関係でした。
特に印象深いのは、学年で一二を争う腕っぷしの強さで正義感も強い、K君から言われたひとことです。
「きったん(僕のこと)、もし誰かにいじめられたら俺に言えよ」
理科室の前の廊下で、唐突にそう言われました。K君は同級生から一目置かれる存在だったので、僕は気分が高揚したのを覚えています。いじめ・意地悪などがしばしば発生し、同級生内での上下関係が生まれつつある小学4年生頃だったので、「K君はめちゃくちゃかっこいいし、すごい味方ができたな」……と。
K君は中学卒業後まもなくバイク事故で亡くなってしまい、大人になってからその思い出を語り合うことは無いのですが、僕の少年期の心を支えてくれた大切なできごとです。
小学生にとって大切なのは、学校の成績より友人関係
さて、そんな僕も、今や子を持つ親になりました。
わが家にはひとり息子がいて小学3年生です。あの頃の僕の年齢とほぼ同じです。
でも、「子の心、親知らず」と言いますか、親同士の会話は教育に関することばかりです。小学校入学前あたりから「習い事は何をさせる?」という話がはじまり、小学3年生になると「中学受験を目指して、塾へ通わせるのか否か」という議論。
「成績アップより、もっと大切なことがあるだろう」
と、僕は思うのですが、世間の親御さんは教育に熱心です。
小学生は、親のそばから離れて、社会と対峙しながら人間関係を構築し始める時期です。僕は息子に「今日の学校は楽しかったか?」「友達と上手くやっているか?」と、ほぼ毎日声を掛けています。
友人関係は子どもにとって土台です。石垣です。
ここが良好であれば、成績なんていつでもグーンと伸ばせると考えています。
「どうせ自分なんて」と思う君に、知っておいてほしいこと
つまり僕は、小学生の息子の心が元気であって欲しいと何より願っています。
そんな折、すごい本と巡り会いました。精神科医の名越康文さんと、 心理カウンセラーの加藤隆行さんによる本です。
まずは表紙を見てください。本のタイトル・帯のメッセージの言葉に、思わずぐさり!
そっか……良好な友人関係を築くためには、まず自己肯定感が大事ですね。「俺はダメなやつだ」と落ち込んだままだと、前向きに行動しづらいし、積極的に人と関われないし、人から仲良くなりたいと思ってもらえません。
本書には、「自分のことをダメだと自分自身を攻撃していると、自分の大切な人のことまで傷つけてしまうよ」といったことが書かれていました。
イヤな気持ちは、あなたを守ってくれる防衛隊
本書は、小学生が自分で読める本となっています。イラストがふんだんで、漢字にはふりがながあり、文章もわかりやすいからです。
といっても完全に子ども向けという訳ではなく、親としても子どもの心にどう寄り添えば良いのかのヒントが得られます。
僕が特に「この考え方は良いな!」と思ったのは、28〜29ページの『イヤな気持ちは、なんで出てくるの?』です。
- 気持ちは大きく2種類ある
- ポジティブな気持ちとネガティブな気持ち
- ネガティブな気持ちは、あなたを守ってくれる防衛隊
- 嫌なことをされると怒りの気持ちが湧く → 「やめて!」と言って自分を守れる
- 来週のテストが不安 → テストの備えて勉強しておこういう気になる
こう考えることで、ネガティブな気持ちに向き合えるようになります。
逆に、怒っている友だちがいたら、「今、自分を守ろうとしているんだな」と考えることができます。親子関係でも同様ですね。
本書にはこうした、子どもが自分自身で自己肯定感を育んでいくためのヒントが詰まっています。
自己肯定感の下がりやすい小学校4~6年生におすすめ
小学校に入学したばかりの頃は無邪気であっても、学年が上がるにつれ友達同士など人間関係に悩み始めます。可哀想にも感じますが、それも成長ですもんね。
僕自身、小学生の親として子どもたちを見守る中で、女子は2〜3年生、男子は3〜4年生頃から友人関係で悩み始めていると感じます。
本書の発売元である小学館のサイトには、本の説明欄にこう書かれていました。
昨今、首都圏の受験者数が過去最多を更新するなど加熱し続ける中学受験ですが、親としてはこの時期の子どもに対して、心を置き去りにしないよう見守ってあげたいですね。
ぜひ、小学校4~6年生のお子さんに「自己肯定感が育める本」として、ご活用してみてください。