最長2年まで、安心して育児に専念してね

子育てをしながら働きたい! 幼い子を持つ親をサポートする主な政策に、「待機児童問題解消(認可保育園の拡充)」と「育児休業の充実」があります。いずれもまだ満足できる状況ではありませんが、先日一歩前進しました。

今年2017年10月1日より、改正育児・介護休業法が施行され、育児休業が取得できる期間が最長2年間まで延長できるようになったのです。これまでは、最長1年半まででした。

出産後の手当は、会社が支給する訳じゃないよ

給料が餌

育休こと育児休業についてご説明する前に、まず育児休業期間中はどこからお金がもらえるのかについてお伝えします。

勤めている会社に対して、「仕事をしていないのにお給料を受け取るのは、会社に申し訳ない。会社の経営も苦しそうだし、退職した方がいいのかな……」と考える方が割といます。でも、その優しい心配はご無用です。

なぜなら、あなたが会社を休んでいるあいだ、あなたにお金を支給するのは会社では無いからです。

【1】出産手当金は、社会保険などから

画像参照元:全国健康保険協会
  • 【産前42日+産後56日】出産手当金 給与の3分の2

まず、出産にあたって産前産後に「出産手当金」が支給されます。これは、勤め先の健康保険(社会保険など国民健康保険以外)などを財源に支払われます。

■関連リンク
出産のため会社を休んだときは、出産手当金が支給されます。:全国健康保険協会

【2】育児休業給付金は、ハローワークから

画像参照元:ハローワーク
  • 【生後9週目以降】育児休業給付金 給与の67%〜50%

そして、今回の本題である育休時の「育児休業給付金」は、雇用保険を財源とするハローワーク(職業安定局)から支給されます。これは、雇用者の育休期間が終了したら仕事に復帰する、というのが条件です。

また、給付金は2段階に設定されています。

  • 育休開始から180日目 – 給与の67%(上限29万9,691円)
  • 育休181日目以降 – 給与の50%(上限22万3,650円)

*下限として、賃金月額が7万4,100円を下回る場合は、育児休業給付金は74,100円となります(この額は毎年8月1日に変更されます)。

■関連リンク
育児休業給付金:ハローワークインターネットサービス

育児休業は原則1年。延長・再延長で最長2年に

世田谷区認可保育園、合否の通知。
かつてわが家に届いた、認可保育園の不承諾通知書。

さて、ようやく本題。

育児休業は、育児を行う労働者が「職業生活」と「家庭生活」の両立ができるよう、1992年4月1日に施行された法律です(育児介護休業法)。これにより、雇用主は出産・育児を理由に解雇できなくなり、労働者は安心して育児を行うことができるようになりました。もちろん、育児休業は母親だけでなく父親も取得できます。

育児休業給付金の支給期間は、原則として子供が「1歳」になるまでです。

この期間は、これまでは延長を希望すれば「最長1歳半」まで可能だったのですが、今回「最長2歳」までになったのです。ただし、延長を希望するには待機児童状態であるなど、延長事由に当てはまる必要があります。具体的な条件は以下のとおりです。(参考:ハローワーク

育児休業2年、支給対象期間延長の対象者

  • 育児休業の申出に係る子について、保育所等(無認可・認可外保育園は含まれません)における保育の実施を希望し、申込みを行っているが、その子が1歳に達する日又は1歳6か月に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合。
  • 常態として育児休業の申出に係る子の養育を行っている配偶者であって、その子が1歳に達する日又は1歳6か月に達する日後の期間について常態としてその子の養育を行う予定であった方が以下のいずれかに該当した場合
    (1) 死亡したとき
    (2) 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により育児休業の申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき
    (3) 婚姻の解消その他の事情により配偶者が育児休業の申出に係る子と同居しないこととなったとき
    (4) 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定であるか又は産後8週間を経過しないとき(産前休業を請求できる期間又は産前休業期間及び産後休業期間)

実は安心して育児休業が取得できない問題

保活が大変、待機児童

現在妊娠中の方や、これから子どもが欲しいと思っている方は、「子どもが2歳になるまで育児休業給付金がもらえるなら、安心して出産・育児ができるね!」と考えると思います。

しかし、現実はなかなか上手くは行かないのです。

ひとつは、待機児童が多い地域での保活。保活激戦区で認可保育園に入園するために、「認可保育園の入園基準となる指数を増やすために認可外保育園に預け、親は育児休業を早めに切り上げて職場復帰する」のが一般的になっているからです。悠々と1歳(もしくは2歳)を迎えるのは、現実的に困難なのです。

また、勤務先での心配もあります。いわゆるマタハラ問題。妊娠、出産、育児をきっかけに、労働者に不当な扱いをしてはいけないと法律上は定められているのですが、現実的には必ずしも守られているとは言えません。

たとえば、産前・産後で1年間出勤しなかった場合、あなたがいなくても会社が回るようになっているでしょう。そのとき、以下のような心配事が頭に浮かび、「早く戻らないと!」と焦ってしまうのです。

  • 産休前の、部署、役職、給与が与えられるか
  • 出世街道から外れたマミートラックに回されないか
  • 課長や部長などの管理職の場合、時短勤務が許されるか
  • 子どもの急な病気・怪我が頻発した場合、他の社員があなたの遅刻、早退、欠勤を快く受け入れてくれるか

ちなみに、育児休業はもちろん父親も取得できますが、実態は男性の育児休業取得率は「3.16%」と非常に低いです(2016年度統計)。しかも男性の育休取得日数の大半は、5日未満

日本の産婦人科では、多くの場合、母親は産後5日間入院をしますが、男性の育休がちょうどこの期間という訳です。母親と新生児が家に帰ってきてからが大変なのに、そのときには父親が休めないのが日本の社会です。

■関連リンク
【平成29年10月1日施行対応】育児・介護休業法のあらまし:厚生労働省

男性が育児休業を取得すれば、社会は変わる

子育てする男性

極端な例ですが、今、日本人のほとんどが元気に働ける若者や中年であれば、「男性は仕事、女性は家事と子育て」といった住み分けができたでしょう。しかし、高齢者の割合が増加し続ける現代において、日本を維持して行くためには男性だけでは労働力が足りません。また、政府も税収が足りなくて、今の社会保障、教育、防衛などが維持できなくなります。

現代の日本において、女性労働者は必要不可欠なのです。

そんな時代において、育児を女性にばかり負担させるというのは、いかにも不自然です。「いや、うちの子はママじゃないとダメなんで……」と尻込みする男性もいると思いますが、その場合、父親の育児はダメなのに、保育園に預けるのは良いのでしょうか?

女性労働者が出産・育児をきっかけに不利に陥るのは、やはり男性中心の社会だからでしょう。これを改善するには、「男性は育児休業をもっと取る!」。これが最も効果的だと思います。

育児休業には、「パパ・ママ育休プラス制度」という働く夫婦が協力しあって育休を使えるオプションあります。パパとママが同時に育休をとったり、交互にとったりできるのです。

5日未満の育児休業なんて、ただの連休です。

男性も数ヶ月単位で育児休業をとるのが当たり前になれば、マタハラ的な空気は緩和されるでしょう。出産はある日突然やってくるわけでなく、数ヶ月かけて準備できるのですから、きっと男性もやればできるはずです。

育児休業に前向きではない企業は、今後経営が危うくなる

ブラック企業

また、いずれにせよ、育児休業に前向きに取り組まない企業は、今後経営難に陥るリスクが非常に高くなります

なぜなら、従業員を募集しても人が集まらなくなるからです。

近年、労働者が欲しくても、十分な人材が確保できない企業が増えています。そのなかでも特に人が集まらないのがブラック企業です。かつてはブラックの実態が表面化されにくかったのですが、近年はインターネットの普及により顕著となりました。たとえば、2、3年前には、牛丼チェーン店のすき家が深夜時間の営業を1人の従業員に任せる過酷労働「ワンオペレーション」がSNSに投稿され、拡散・炎上しました。これは、ワンオペ育児として、育児界の流行語としても足跡を残しましたね。

ブラックとまではいかないにせよ、人を使い捨てるような労働条件が悪い企業は、転職サイトに悪い口コミを書かれたり、すき家のようにSNSで実態が暴露されたりし、今後ますます人手が集まらなくなるでしょう。人手が集まらなければ、企業の経営は危うくなります。

優秀な人材を安定的に集めるには、労働条件や職場環境を時代に即したかたちに変化させて行かなくてはいけないのです。旧態依然とした企業は、自然淘汰されて行くでしょう。

どうせいずれ変わるのであれば、企業は後追いするのではなく、「弊社は男女共に、3ヶ月以上の育児休業取得率100%の企業です」と、いち早く手をあげるのが得策ではありませんか。むしろそうすることで、結果的に優秀な人材が集まってくるでしょう。

育休が話題になっている今、企業にとってはチャンスです。

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