原因がわからず、ゴールも見えない……
今、日本では6組に1組が不妊治療を経験し、20人に1人の子どもは体外受精で生まれているそうです。
でも、体外受精の出生率は、平均でわずか6.2%。
さらに女性の年齢とともに卵子が老化するので、45歳では0.9%。成功率は年々下がるのです。
■体外受精の出生率
・30歳 21.5%
・40歳 9.1%
・45歳 0.9%
テレビ東京で「ザ・ドキュメンタリー 不妊治療~わが子に会いたい~密着! 体外受精の過酷な現実」を見ました
「私たちよりも後に結婚して、妊娠して出産する家庭を見てると、なんか取り残されたような感じに……」
テレビ東京で放送していた、「ザ・ドキュメンタリー 不妊治療~わが子に会いたい~密着! 体外受精の過酷な現実」という30分番組を見ました(番組制作はテレビ大阪)。
子どもができない若いご夫婦(妻29歳・夫30歳)が体外受精を開始し、その様子を追ったドキュメンタリー番組です。「体外受精ならすぐに子どもができる」。そう思ったのですが、現実はそんなに簡単ではなかったのです。
番組に登場した木村さん(仮名)ご夫婦は、8年の交際を経て、4年前に結婚しました。なかなか子どもが授からず、排卵に合わせるタイミング法で妊娠しないまま、2年、3年が経ちました。
そこで、大阪にある不妊治療専門の病院、「IVF大阪クリニック」(東大阪市)へ通うことを決意するのです。ここでは、体外受精を行います。
不妊治療のステップ
- 【タイミング療法】排卵日近くに夫婦生活を持つ
- 【人工授精】採取した精子を、子宮に注入する
- 【体外受精】卵子を体内から取り出し、精子と受精させ、子宮へ戻す
不妊治療の費用
体外受精は、1回約50万円。条件次第で助成金は出ますが、保険適応外のため、治療費は全額自己負担となります。
【1】はじめての採卵の日(2017年8月30日)
当時、妻(29歳)。
より多くの卵子が採取できるよう、事前に排卵誘発剤という薬を10日間注射します。医師に注射の指導を受け、自分でお腹に注射針を刺し、排卵誘発剤を注入します。
「いっぱい卵子が取れたらいいなという期待と、「排卵後の痛みへの不安がある」、と妻は言います。
採取は、分娩台のような両足を開くベッドで行われます。医師は「大丈夫。麻酔が効いている間に終わるから」と声を掛けます。左、そして右。卵巣から採卵します。
この日、卵子を「5個」採卵でき、医師曰く「まずまずの数字」とのことです。
採取した卵子は、その日のうちに精子と受精させます。顕微鏡を使って、注射で卵子に直接精子を注入していました。その受精した受精卵を「胚(はい)」と呼びます。
この日は、胚はふたつ確認できました。
胚はひとつずつ子宮に戻すので、残った胚は凍結保存します。
5日後、胚移植の日
胚にはグレードがあって、妊娠しやすい胚としにくい胚があるそうです。
胚培養士という胚専門の医師がいて、その医師から「赤ちゃんになる一番いいグレードが出てるので、気持ち的には絶対妊娠すると思う」と説明を受けました。
そして、いよいよ胚移植です。
妻は手術用の服に着替え、手術室へと向かいます。モニターを見ながら、妻も胚を子宮に戻したのを確認します。
「これでひとまず終わりました。あとは運を天に任す。でも今のところはいい感じ。胚もすごく綺麗し、胚移植も上手く行った」。
ベテラン医師であっても、ここから先は祈るしかないようです。
とはいえ、胚のグレードはよく、胚移植もうまくいったので、夫婦は期待で笑みがこぼれていました。
移植から11日後、妊娠判定の日
再びIVF大阪クリニックへ訪問し、経過を確認。
残念ながら妊娠していませんでした。
「もう後がないと思うとすごく残念になるけど、次に向けての気持ちが強い。落ち込むより次につなげたい」と、妻は前向きに語りました。
【2】2度目の胚移植
凍結保存した残り1つの胚を、移植することになりました。
手術を受ける日は、10月16日。
前回の移植の、およそ2か月後です。
今回も無事、胚移植は成功しました。
移植から12日後、妊娠判定の日
2回目も、妊娠していませんでした。
医師の診察を受け「ありがとうございました」と笑顔で振る舞う妻ですが、目には涙が流れていました。
「なんでダメだったんだろう。次、頑張ろうって思えなかった」……と、妻は語ります。原因はわからず、ゴールも見えません。
これで胚はすべてなくなりました。
2度の体外受精で、費用はおよそ100万円です。
【3】2度目の採卵に挑む(2018年2月12日)
不安でいっぱいだった夫婦ですが、もう一度採卵から挑むことを決意しました。
今回は、11個の卵子を採取することができ、胚は「6個」できました。
そして3度目となる胚移植を行いました。
移植から12日後、妊娠判定の日
残念ながら、また妊娠していませんでした。
医師は、「試行錯誤しても、年齢が若ければそのうちに妊娠することが多い」と言います。
番組が、このご夫婦を追ったのはここまでです。
再放送やTVerでの配信について
番組の再放送はなさそうですが、テレビ大阪系では、3月30日金曜日の深夜に放送されます。
また、番組「ザ・ドキュメンタリー」は、TVerでも無料配信されています。現時点ではまだ公開されていませんが、おそらくテレビ大阪での放送が終わってから公開されると思います。
ただしTVerでの配信は7日間ですので、配信期間に注意して、気になる方はTVerをチェックしてみてください。
日本は不妊治療者数世界一、出生率は世界最低
日本は、世界でもっとも不妊治療を受ける人が多い国です。それだけ、不妊に悩むご夫婦が多いということです。
しかし、不妊治療による出生率は世界最低。
これには、法律や医療レベルの差もあるかと思いますが、最大の理由は晩婚化だそうです。日本で不妊治療を受けるもっとも多い年齢は40歳。世界と比較すると高齢なのだそうです。
また、高齢の場合は妊娠しづらいだけでなく、流産しやすかったり、染色体異常による先天性の病気がわかる割合も上がります。
逆に、若くして不妊治療に取り組むフランスなどの国は、国が不妊治療の費用を負担する、学校で不妊治療について学ばせるなど、不妊治療に対して積極的なのだそうです。その点においては、日本はかなり遅れていると言えるでしょう。
番組では、29歳の女性が不妊治療に挑んでいましたが、30歳前後で数百万円の医療費を負担できる夫婦は限られてきます。出生率を上げるには、不妊治療を保険適応させるなど国としての取り組みが大きな要になってきます。
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