NHKスペシャル「ニッポン“精子力”クライシス」を見て驚く男女

日本では、政府が「少子化対策」に取り組んでいるのは周知のとおりです。

父親の育児参加を促したり、育児休業の期間を伸ばしたり、保育園を増やしたりなど、さまざまな施策がとられていますが、その効果はどうでしょうか。出生数は右肩下りで、2016年に初めて年間出生数が100万人を割り込み、2年連続下回っています。

そんな少子化が止まらない日本において、今、「生殖の危機」であることがわかったそうです。

昨年2017年、欧米で男性の精子についての調査結果が発表され、この40年間に精子の数が半減していることが判明しました。それを日本人男性で当てはめてみると、日本はもっとひどい状況であることがわかったのです。

NHKでは、この異常事態を「精子力クライシス」と名付け、特集番組が放送されました(NHKスペシャル)。

精子力クライシスとは、一体なんなのか?

精子力が低下する原因と、精子力を向上させる方法について、番組の一部をご紹介するかたちでお伝えします。

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男性におきている、精子の異常事態

グラフ 欧米の1mlあたりの精子の数
NHKスペシャルで「ニッポン“精子力”クライシス」より

男性の身体に、異常事態が起きています。

  • 【精子数】精子の数が少ない
  • 【運動率】ほとんど動かない
  • 【DNA】中身が傷ついている

受精して妊娠を成功させる精子の力が、どんどん衰えているのです。

この40年間に、欧米では1mlあたりの精子の数が半減しています。

  • 1973年 9,900万/1ml
  • 2011年 4,710万/1ml ←半減

その欧米よりも深刻なのが日本。欧州と比べると、日本は最低レベルだったのです。

精子力 世界における日本の順位
NHKスペシャルで「ニッポン“精子力”クライシス」より

自然妊娠しずらい男性の割合

番組では、28人の男性(平均年齢35歳)に集まってもらい、精子力の検査が行われました。

精子の数や運動率を調べたり、健康そうに見える精子を実際に複数の卵子と受精させて、どれくらいの割合で細胞分裂が始まるかなどの検査を行ったのです(院内の倫理委員会の承認を得た検査)。

その結果、28人中9人が、WHOが定める自然妊娠のしやすさの基準を下回っていました。9人のうち3人は20代です。

また、番組以外の大規模調査でも、同様に心配な結果が出ています。

男性不妊が専門の辻村晃医師(泌尿器科)は、3年前から722人の精液を検査してきました。その結果、5人に1人、21%に不妊リスクがあるという結果が出たのです。

辻村医師は、「現代人は精子数が減っているなかで、さらに悪い条件になるまで結婚しない。自然妊娠の割合は、どんどん減ってくるのではないか」と、将来を危惧しています。

【事例1】41歳、座りすぎで活性酸素が増加

41歳、精子力が低下した男性の生活習慣。座りすぎ、運動不足など
NHKスペシャルで「ニッポン“精子力”クライシス」より

番組では、精子力が低かった方を対象に、自宅にカメラを設置するなどして生活習慣を詳しく調査しました。その上で、「なぜ、精子力が低くなったのか?」「精子力を向上させるのはどうすればいいのか?」を考えたのです。

まず一人目の方は、41歳の男性です。

この男性は、精子の数がかなり少なく、WHOの基準「1,500万/ml」に対して「620万/ml」しかありませんでした。

41歳の男性は、「タバコは吸わないし、お酒は少ししか飲まないのに……」とショックを受けていました。

では、一体何が原因だったのでしょうか?

 

活性酸素が精巣の精子を攻撃
NHKスペシャルで「ニッポン“精子力”クライシス」より

体内に「活性酸素」が多く、身体にストレスを与えていることがわかりました。活性酸素は呼吸によって生まれます。たまりすぎると毒になり、精巣で精子を攻撃します。

特に大きな原因は、座りっぱなし。

長時間座って、精巣の血管が圧迫されて血流が悪くなると活性酸素がたまり、精子を攻撃します。それに加え、精巣の温度も上がるため、精子が熱によるダメージを受ける恐れもあるのです。

この他にも、家でごろごろしている(運動不足)、揚げ物や焼き鳥が好き(食生活の乱れ)といった生活習慣もあり、これらも精子に悪影響を与えていると考えられます。

専門家は、魚介類に含まれるオメガ3脂肪酸やビタミンCなど、酸化を抑える食品を多く摂ると良い、と言います。魚を多く食べる男性は、そうでない男性より精子の数が多いことがわかっています。

【改善生活】運動不足と食生活の改善

結果を受け、41歳の男性は、以下の対策を行いました。

  • 長年愛用してきたこたつを片付けて、立ち上がる機会を増やした。
  • 食生活も改善。大豆や青魚など、活性酸素を減らす栄養素を積極的に摂るようにした。

たったこれだけで、改善生活から半月後に行った中間検査では、活性酸素が減少していました。

さらに、改善生活から45日後。精子力が、全ての項目のおいて改善していたのです。

  • 精子の数 620万/ml → 1,020万/ml
  • 運動率 43% → 56%
  • DNA損傷率 5.9% → 5.1%

【事例2】46歳、夜勤で睡眠不足

明るい部屋で眠る男性
NHKスペシャルで「ニッポン“精子力”クライシス」より

次は、46歳の男性です。

この男性は「精子のかたちが悪い」という、問題がありました。

その原因を突き止めるため行った血液検査で、テストステロンが低いことがわかった(3.030)。テストステロンとは、精巣で作られる男性ホルモンの一種で、精子の形成を促しています。テストステロンの低下は、精子形成に対してマイナスに働くのです。

その原因は、睡眠不足
明るい状態で寝ていることにありました。

テストステロンが精子に悪影響
NHKスペシャルで「ニッポン“精子力”クライシス」より

精子にとって、睡眠時間は重要です。睡眠時間が6時間半以下の場合、7時間睡眠の人に比べて精子の数が2割少ないという調査結果があります。

【改善生活】遮光カーテンで睡眠の質アップ

結果を受け、46歳の男性は、以下の対策を行いました。

  • 遮光カーテンをつけた。
  • 寝る前のスマホを控えた。

たったこれだけで、改善生活から半月後に行った中間検査では、テストステロンが倍増していました。

さらに、改善生活から45日後。DNA損傷率が劇的に改善し、精子の数も倍増したのです。

  • 精子の数 1,760万/ml → 3,340万/ml
  • 運動率 52% → 34%
  • DNA損傷率 7.9% → 1.3%

精子力アップの7か条

精子力アップの7か条
NHKスペシャルで「ニッポン“精子力”クライシス」より

精子力が低下する理由は、人それぞれです。私たちが、今、精子力アップのためにできることは何なのでしょうか。番組では「精子力アップの7か条」として、私たちがすべきことをまとめました。

  1. 軽めの運動
  2. 禁欲しない
  3. 亜鉛の摂取
  4. 体重管理
  5. 質の高い睡眠(7時間程度)
  6. 長風呂・サウナを避ける
  7. ぴっちりした下着をはかない

いずれも、それほど難しいことでは無いですよね。精子力は、ちょっとした努力で改善が可能なのです。

注意点としては、7か条のうち、特に「禁欲」に関しては勘違いしている人が多いとのことです。

「妊娠するためには、禁欲して溜めなきゃいけない」と、よく言われていますが、実はこれは間違い。禁欲をすると、質の悪い精子が増えていってしまうのです。ためずに入れ替えることが大切とのこと。

また、運動に関しても要注意。ハードな運動をしてしまうと、逆に精子には悪いとのこと。日常生活において30分ほど歩く時間を入れるなどで十分とのことです。

番組では、他にも「精子の冷凍保存」や「精子バンク」、さらに「精液検査からわかる病気と健康」など、精子にまつわる様々な話題が取り上げられていました。詳しく知りたい方は、NHKオンデマンドで配信されていますので、そちらをご覧ください(有料)。

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