高校生の保健体育の授業で使われる副読本、「健康な生活を送るために」に記載されている項目、「健やかな妊娠・出産のために」内のグラフが間違っているのでは、と話題になっています。
問題となったのは、「女性の妊娠のしやすさの年齢による変化」の折れ線グラフ。第23回太宰治賞受賞「チューバはうたう―mit Tuba」の著者であり、小児科医でもある、瀬川深さんがツイッターで指摘したことがきっかけで、大きな波紋を広げました。
承前)冊子と引用元のグラフを並べてみるが、ずいぶん印象が違いませんかね。これは改竄と言ってもいいんじゃないか。しかも、この引用元のグラフは、この論文のデータではなく、さらに昔の論文からの引用なのだ。なんでそっちから引かないんだろ。(続 pic.twitter.com/Mf8b1UQJao
— 瀬川深@新刊「SOY!大いなる豆の物語」 (@segawashin) 2015, 8月 22
文部科学省の高校生向け副読本が炎上。その後、正誤表を配布
この副読本に記載のグラフは、『22歳がピークで、25歳からぐんぐん妊娠しにくくなる』と見えるように書かれていますが、引用元となったオリジナルのグラフを見ると、『22歳から30歳くらいまでは、妊娠のしやすさに大きな変化は無い』ように示されています。
この指摘などを受け、文部科学省は正誤表を学校などに配布することとなり、現在、騒動は収まりをみせています。
■関連リンク
- 文部科学省:健康な生活を送るために(高校生用)
- 19 家族社会・20 妊娠出産(p38~p41)(PDF:4686KB)
(【追記】公開終了しました)
早く産んだほうが良い、というのは伝わるだろうけど……
僕が中高生だった頃は、保健体育の授業で「避妊しろよ」「子どもは計画的につくるものだぞ」ということを教えられたような気がします。しかし今は、避妊に加えて、「早く子どもをつくらないと、段々妊娠しにくくなるんだぞ」と、教えているのです。
しかし、これにはさまざまな問題や矛盾を抱えていますよね。
- 入社してまもなくでは、妊娠、出産、育児で休みにくい。
- 経済的・社会的に生活基盤がまだ整っていない。
- 保育園不足の話を知人などから聞いていて不安。
- 恋愛経験が未熟で、20代で最高の相手を見つけるのはむずかしい。
- いざとなった際の母子家庭。貧困率は50%を超えていると言われている。……など。
僕たちは、嫁さんが30代後半、僕が40歳で、第一子が誕生しました。いわゆる高齢出産です。無事、妊娠・出産できたのは本当にありがたいことだった、とつくづく感じています(妊娠発覚から出産まで。パパやる日記「妊娠・出産編」まとめ)。
ですが、「もっと早く子どもが欲しかったか?」と言われれば、「はい」とは言い難いです。僕の場合、20代は会社員として悶々としながら働き、30代は好きなレゲエ業界に転職し、40代はライターや編集者として独立することができました。
今だからこそ、時間的・精神的にゆとりを持って、積極的に育児に関わることができています。もしこれが20代だったら、精神的にゆとりがなくてイライラしたり、転職ができずにストレスを溜め込んだりしていたでしょう。
もちろん「早く子育てを終えて、ゆとりある壮年期を迎える」というプランも考えられますが、そこへ踏み込むには、よほどの自信があるか、もしくは予定外に授かったなどの外的要因でもない限りは、なかなか難しいのではないでしょうか。
今、高校生たちは学校で「女性が妊娠しやすい年齢のピークは22歳」と学んでいますが、現実的には、非常に難しいことではないでしょうか。
今度機会があれば、若くして子育てに取り組んでいるご夫婦に、話を伺ってみたいと思います。
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