東京都では、2024度から高校授業料の無償化が実現しそうです。
2023年12月5日、NHKや読売新聞など各メディアが「東京都が高校の授業料の実質的な無償化を目指し、所得制限を来年度から撤廃する方向で調整」と各メディアが報道しています。
これは東京都の子育て支援の一環で、公立の小中学校の給食費も無償化する方針とのことです。
東京都 高校授業料実質無償化へ
現在、世帯年収910万円以下を目安に「国の就学支援金」「東京都の補助金」が支給されています。この所得制限を撤廃し、東京都内在住の高校生すべてが実質的に授業料が無償化されるそうです。
東京都は、子育て支援を充実させるため、高校の授業料の実質的な無償化を目指したいとして支援策を拡充する方針を固め、現在、設けられている所得制限を来年度から撤廃する方向で調整しています。
（中略）
都は今後、来年度予算案を編成する中で、具体的な制度について検討し、国に先行する形で教育費の負担軽減を進めていきたい考えです。
公立高校（都立高校）だけでなく、私立高校も無償化対象
無償化は、私立高校も対象です。
東京都は２０２４年度、都内在住の高校生を対象とした授業料助成の所得制限を撤廃し、私立校を含めた全ての高校授業料を実質無償化する方針を固めた。教育費の負担を減らし、子育てしやすい環境を整える。都関係者が明らかにした。
（中略）
授業料が高い私立校が都立校よりも多い東京特有の事情も踏まえ、都は所得制限の撤廃を決めた。
また、上記記事内では「公立小中学校の給食無償化」についても言及しています。
無償化は全額ではなく、授業料の部分
注意点は、無償化になるのは授業料です。「公立小学校・中学校のように、高校はどこへ行ってもほぼお金がかからないんだ！」と思うのは早計です。
公立の都立高校は、授業料以外に年間3〜10万円ほどかかります。
私立高校は、授業料以外に初年度で年間50万円ほどかかります。
東京都の都立高校（公立）の授業料
授業料
- 年額 118,000円（月額9,900円）
諸費
- 積立金 1年前期 48,000円
- 積立金 2年後期 40,000円
- 積立金 2年前期 48,000円
- 積立金 1年後期 20,000円
- 積立金 3年前期 28,000円
- 生徒会費 年額4,000円
- PTA会費 年額4,000円
- 入学時（制服代約3万円、教科書代約2.1万円、柔剣道用品 約4000〜5,800円など）
参考：東京都 授業料について
東京都の私立高校の授業料
東京都が調査した「令和5年度 都内私立高等学校（全日制）の学費の状況」がわかりやすかったので、一部抜粋します。
- 授業料 483,311円
- 入学金 253,113円
- 施設費 36,096円
- その他 184,399円
中学受験が過熱し、教育費が高騰する中なのでうれしい
高校無償化はありがたい取り組みです。
私ごとになりますが、わが家には小学3年生の息子がいます。東京都世田谷区の某公立小学校へ通っているのですが、土地柄もあってか教育に熱心なご家庭が周囲にとても多いです。
未就学児の頃から英会話、小学1年生から公文。そして小学3年生からは中学受験を見据えて進学塾へ通う子がちらほらいます。4年生になると塾通いの子は格段に増えます。
習い事や塾に通わせるのは各家庭の自由ですが、やはりどうしても周囲がそうなると焦るものです。
そこで気になるのは、子どもの勉強への意欲や学力に加え、各家庭の財力が問われます。塾代は年間数十万円で、受験前の6年生は年間100万円を超えるとも言われています。当然、私立中学校へ進学すれば、公立よりも授業料などは高額になります。
世帯年収1200万だと私立中学受験はなんとか可能でも、留学等に回すお金がなくなると思います。東京の高校受験ルートだと、都立高校生は北米長期留学が公費補助で80万。同じプログラムが某私立中高一貫校だと1000万。無理して私立中学受験すると、長期留学のチャンスを失うバグが発生するのが東京（続） https://t.co/20J08Xl4Wb
— 東京高校受験主義 (@tokyokojuken) December 4, 2023
つまり、高校生に達するまでに金銭的にはかなり疲弊してしまうのです。
一人っ子ならいざしらす、兄弟・姉妹がいたり、3人以上のお子さんがいるご家庭にとっては、エンドレスに教育費がかさんでいくのは恐怖に近いものがあるでしょう。
しかし、高校の授業料が無償化されば、仮に私立の中高一貫校へ行ったとしても、高校に進学した際に教育費用を一旦落ち着かせることができます（私立中学校特有の、入学金、高額な制服、海外への修学旅行・留学などはありますが）。
また、小中高ですべて公立を選択すれば、学費をかなり抑えることができます。
いずれにせよ、子育てがしやすくなる東京都の「高校授業料無償化」の計画。とてもありがたいと感じます。
