母親を尊敬する子供が急増、はじめて父親を抜く。こども20年変化、博報堂が調査

親にプレゼントを贈る割合は、「母の日」が右肩上がりで76.2%、「父の日」は右肩下がりで42.7%、という日本生命の調査結果を先日ご紹介しましたが(父の日に関する意識調査)、それを裏付けるように、また母親人気の調査結果が発表されました。

今回は、1997年から「小学4年生から中学2年生」の子供達を対象に続けてきた、博報堂生活総合研究所によるアンケート調査の結果です(*1)。

1997年の小・中学生といえば、ちょうどパパやるを読んでくださっている育児世代が当てはまっているのではないでしょうか。1997年は「たまごっち」が流行った時代です。

子供達はこの20年間にどう変化したのか。調査結果をちょっと見てみましょう。

■関連リンク
博報堂生活総合研究所:「こども20年変化」調査結果を発表

*1. 調査は10年ごと、1997年、2007年、2017年に実施。

お父さん・お母さんは、尊敬する人? どうでもよい人?

お母さん、お父さん

大きく8つの調査項目が公表されているのですが、パパやるとしてまず注目したのはこれ。父親、母親、はいずれのうちどれに当てはまりますか?

(1)尊敬する人
(2)友達のような人
(3)どうでもよい人

その結果、父親を尊敬する子供はおよそ60%と20年間ほとんど変わっていないのですが、母親を尊敬する子供が急増。20年前の54.8%から68.1%へ大きく伸びていますそして調査以来初めて父親を尊敬する割合を上回りました。

ここ20〜30年の大きな変化といえば、共働き夫婦の増加があります。1980年頃の日本は「約3分の2が専業主婦家庭」でしたが、結婚・出産後も働き続ける女性が増え続け、2010年代には「3分の2が共働き家庭」へと逆転しました。そのため近年は家事・子育てを分担する夫婦が増えています。

母親は仕事と家事に追われ、子供と触れ合う時間は減っているはずなのに、母親を尊敬する子供は増えているのです。

「昔の子供は親を尊敬していたが、最近の子供は……」なんて言う年配の方もいますが、そうではなかったようです。

親や先生、大人から叩かれたことがある?

次に気になった項目は、叩かれたことがあるかの調査。お父さんやお母さん、学校の先生から叩かれた経験があるかについてのアンケートです。今年の結果は以下のとおり。

  • お父さんにぶたれた 38.4%
  • お母さんにぶたれた 48.6%
  • 学校の先生に殴られた 1.6%

これはすべての項目において過去最低の割合。急激に減ってきています。近年、学校での体罰や暴力は大問題になりますよね。家庭内においても虐待と問題視されがちです。これは今後も減ってきそうですね。

しかし、学校の先生の1.6%って、思い返せばよくここまで減りましたね。僕が子供の頃は100%、全生徒が殴られていました。悪いことをしたときだけではありません。下敷きや消しゴムといった些細な忘れ物をしただけでも、長い角材などで尻をフルスイングで吹っ飛ばされましたし(技術家庭科のN先生、保健体育のF先生)、塾でも90点以下をとったらノート数冊を束にして頭を張り飛ばされました(英語のH先生)

教室にバチーン!バチーン!と響き渡っていたのです。今思えば、子供相手にめちゃくちゃですよね。笑

親に秘密がある? 子供部屋に親が入ってくるのは嫌?

親は子供を叩かなくなりました。そして子供が親を尊敬するようになりました。それでは親子関係はどう変化したのでしょうか?

  • 家族に言っていない秘密がある 34.3%
  • 自分の部屋(*2)に親が入ってくるのは嫌だ 36.6%

これは両方とも年々下がっています。

親には何でも話し、隠しごともない。

これも良い傾向といえますね。先日パパやるで、「子供部屋ではなく、リビングで勉強する子供が増えている」という実態記事を紹介しましたが、親子の関係や距離感が、とても近づいているようです。こうした何でも話せる関係が、尊敬にもつながっているかもしれませんね。

*2. 子供の部屋に関しては、部屋を持っている子供にのみアンケート

あなたは幸せですか?

学生

さて、これらを総括するような質問。子供の幸福度を調べた結果も公表されています。

  • 自分は幸せな方だ 91.4%
  • 自分は豊かな方だ 82.0%

これは年々大きく右肩上がりで伸びていて、どちらも過去最高となっています。20年前は自分は幸せだと答えた子供は77.6%だったのですが、今は9割を超えているのです。とても良いですね!

威厳はもはや死語、親密が現代流

父親の威厳

以上、調査結果のうちにいくつかをご紹介しました。

今回の調査に限らず、最近の子供にまつわる報道を見ていると、親子関係がとても親密になっているような印象があります。自分の部屋に親が入っても嫌じゃないとか、親に隠し事がないとか、リビングで親のそばで勉強する方が良いなんて、以前は考えられなかったのではないでしょうか。

かつて、年長者や立場が上の者は絶対的権力をふるえた時代が日本にありました。それは大人と子供の関係だけでなく、大人の社会でも同じです。でも、今は随分減っていますよね。これはおそらくインターネットの普及により、隠れていた横暴や不正や明るみになったり、一般人が大多数と議論を交わしたりできるようになったからではないでしょうか。

携帯電話やインターネットの普及により、子供の行動を親が把握できなくなると懸念の声もありましたが、結果、親子関係は疎遠とは逆に親密へと進んでいますね。

親がフレンドリーになった。

かつて使われていた「威厳」が、ものすごい古臭い言葉に感じます。

威厳(笑)

威厳
人を圧するようないかめしさ。厳かでいかめしいこと。

大辞林 第三版(コトバンク)

今、子育てをされている方、これからの方、またはお孫さんが生まれた祖父や祖母は、こうした社会の変化を知っておくと、子育て・孫育てのヒントになりそうです。考え方が古臭いままにならないよう、自分自身をアップデートして行きましょう。

フレンドリーなパパ

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