著作権を学ぶ小4の道徳授業にビックリ! 授業参観で感じた今の教育の最前線

子どもの教育環境の変化は目まぐるしいですね。きっかけとなったのは、2020年に改訂された教育指導要領によるICT教育の導入や、文部科学省が推進するGIGAスクール構想です。これらにより、タブレットやパソコンなどの情報端末を使って、授業や学習が進められるようになりました。

さて、わが家には小学4年生の息子がいるのですが、先日、学期ごとに開催される学校公開(授業参観)に行ってきました

息子が通う世田谷区の某公立小学校ではiPadが一人一台貸与され、授業中は常に各児童の机の上に開かれています。そして、iPadを使って先生と双方向に授業が進められます。たとえば、各児童が回答や考えをiPadに入力すると、クラス全員にリアルタイムにシェアされるわけです。

そんな時代において、僕が参観した道徳』の授業では、テーマが「著作物・著作権でした。今は、こんなことまで習うのですね!

小学4年生、道徳で著作物・著作権についてみんなで考える

学校の授業で「著作物・著作権」について子どもに教えるなんて、まさに今の時代だからこそですね。

僕たちが小学生の頃は、自分で情報発信をする手段なかったので、著作権を子どもに教える必要がありませんでした。でも、今の子どもたちは、パソコンやタブレットを使って、絵を描いたり、音楽をつくったり、動画を作成したりし、それをインターネットで世界に公開する手段を手に入れています。

少し専門的な話になりますが、インターネットを含むデジタル環境で他者と良好な関係を築き、適切なマナーを守る力のことを『デジタルシティズンシップ』と言います。シティズンシップ (Citizenship) とは、日本語で「市民権」や「市民性」を意味します。

著作物・著作権を教えるのは、このデジタルシティズンシップの一環となります。

著作物・著作権について知らないと、デジタル社会で生きていく上で、他人の権利を侵害したり、自分の権利を侵されたりします。そのため、小学生から学んでおく必要があるのです。

しかも、これが道徳の授業! ずいぶん様変わりしましたね。

【質問1】身の回りには、どのような著作物がありますか?

では授業の様子です。まず、先生から、「皆さんの身の回りにはどんな著作物がありますか?」という質問がクラスで投げかけられました。

「あります。筆箱です」
「iPadです」
「iPadはイーロン・マスクが作りました」
「ちげーよ。ステーブ・ジョブズだよ」
「初代ミッキーマウスです」
「初代ミッキーマウスは怖いよね……」

など、みんな挙手して次々に発言していました。

ちなみに、初代ミッキーマウスの著作権は2023年12月31日に保護期間が切れ、誰でも自由に利用できるパブリックドメインになりました。YouTubeなどでは、初代ミッキーマウスを使ったMAD映像が公開されています。おそらくそれを見たことで「怖いよね」の声が上がったのでしょう。旬な話題ですね。

著作物については、先生からも説明があり、「小説・楽曲・振り付けなども著作物に含まれます」などと子どもたちに説明していました。そして著作権とは、著作物をつくった著作者に発生する権利のことです。

【質問2】自分の著作物は、どう扱われたいですか?

次に、「自分の著作物は、どう扱われたいですか?」と、自分ごととして考える質問が出されました。

「真似されたら嫌だ(丸パクリNG)」
「参考にするだけなら良い」
「良い感想だけ言って欲しい」
「悪くは言わないでほしい」
「これは自分が作ったものだ、と嘘をつかないで欲しい」

などの意見が、子どもたちから出ていました。

これは素晴らしい! まさに大人も同様の思いがあるのではないでしょうか。たとえば、自分が作った音楽・絵・本などに対して「複製するな」「改変するな」「良い評価が欲しい」など、同じような気持ちになることでしょう。

これは授業の進め方が良いのだと思います。たった数十分で、子どもたちは著作権の大切さや侵害される側の気持ちを自分で考えられるようになりました。

ちなみに、今回の授業ははここまで。「著作権侵害は、違法であり、警察に逮捕されたり損害賠償請求されたりするリスクがあるんだよ」という話はありませんでした。道徳の授業なので、「人がどう思うか」「されたらどう感じるか」「ダメだよね」という点までにとどまるのかもしれませんね。小学4年生でこの調子だと、上の学年や中学生になると、きっと刑事罰などの話もあるのでしょう。

子どものデジタルシティズンシップ

とにかく、著作物と著作権を学ぶ小学4年生の道徳の授業に驚きました。子どものデジタルシティズンシップは、これだけではありません。小学校で開催された保護者向けの講義で教えてもらったのですが、総務省の特設ページにわかりやすくまとめられているとのことです。

総務省 家庭で学ぶデジタル・シティズンシップ

とにかく、道徳の授業は、親世代とは大きくバージョンアップしていますね。人の心のあり方は変わらなかったとしても、ツールの登場により、人との関わり方が変化しています。家庭においても「うちはダメ」と禁止したり、逆に好き放題させて放置したりせず、デジタルシティズンシップに関しては、親子で家庭でも話し合っていきたいですね。

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