テレビを見ない子どもは、どこで曲を知るのか?
わが家には小学2年生(8歳)の男の子がいるのですが、ここ最近、突然大人向けの曲を次々に口ずさむようになりました。
保育園から小1まではポケモンやドラボンボールなどのアニソン(アニメソング)が主流だったのですが、キッズ向けソング以外を知るようになったのです。
今回は、わが子の行動を見ながら、ヒット曲が生まれる経緯を垣間見ることができたので記事にします。わが家の一例ではありますが、こうした傾向は結構多いのではないでしょうか。
今の10代は、民放テレビ・ラジオを見ない・聞かない
スマートフォン普及以前に10代・20代を過ごした方は、テレビやラジオで曲を知った方が大半だったと思います。『ミュージックステーション』『ザ・ベストテン』『夜のヒットスタジオ』などテレビの音楽番組、『TOKIO HOT 100』『OSAKAN HOT 100』などFMラジオのヒットチャート紹介番組、またドラマの主題歌からのヒット曲も多かったですね。
しかし今の若者の大半は、日常的に民放テレビを見たり民放ラジオを聞いたりしていません。
まずは、以下の統計をご覧ください。
■参考
NHK放送文化研究所「2020年 国民生活時間調査」より
16〜19歳、テレビを見る人は5割以下
テレビを見る割合
- 16〜19歳では、1日にテレビを見る人が5割を下回った
10代・20代、テレビよりインターネットの方が長時間利用
テレビか、ネットか
- テレビ視聴が大きく減った若年層で、特にインターネットを利用する人が多い
- 16〜19歳では、1日にインターネットを利用する人が8割
10代・20代、ラジオを聞く人はほぼ居ない
ラジオ
- ラジオを聞くのは30代以上
マスメディアから新曲を知る機会が減っている
つまり、10代・20代の若者世代は、マスメディアからの影響を受けづらくなっているのです。
マスメディアとは、マス(大衆)に情報を伝えるメディア(媒体)のこと。
4大マスメディア
- テレビ
- ラジオ
- 新聞
- 雑誌
私感ですが、スマートフォン普及以降、これらをマスメディアと呼ぶことに年々違和感を覚えるようになりました。テレビやラジオに限らず、若者向けの雑誌は休刊が続出していますし、新聞では高齢者を対象とした広告がひしめいていますしね。
個人的には「YouTube、Instagram、Twitter、TikTokといったSNSの方が、大勢が見ているマスメディアだ」と感じています。
9歳以下の統計は?
NHK放送文化研究所による本調査は、1960年から5年ごとに実施されています。
ちなみに、調査対象に10歳未満は含まれていません。9歳以下はアンケートに正確に答えられないからでしょう。
幼児向けの統計は「親を対象にした調査」があるのですが、本題とは外れるのでここでは割愛します。
【小学2年生】YouTubeショートで知り、Shazamで調べ、Apple Musicのプレイリストに追加
さて、本題。
わが家の8歳の息子が、新しい曲を知る流れが変化しました。具体的には以下の流れです。
曲を楽しむステップ
- YouTubeショートで曲を知る
- パパにお願いしてShazamで曲名を検索
- Apple Musicの自分のプレイリストに追加
YouTubeショートとは、60秒以内の短い動画を見たり投稿したりするYouTube内の機能。
視聴するユーザーは、検索すらする必要がなく、自分の好みに合わせた動画が次々に表示されます。そこで使われている楽曲(BGM)に、息子が惹かれるわけです。
その息子の要望に応じて、僕はShazam(シャザム)というアプリで曲名を調べます。
そして今度は、息子がApple Musicでその曲名を検索し、自分のプレイリストに加えてヘビーローテーションするわけです。
ここにはいわゆる「4大マスメディア」は介在していません。
小学生は、学校で好きな曲を教え合う
息子は、小学校というコミュニティに属しています。
子ども達は、そこで自分たちの好きな曲を教え合っているのです。友達の前でサビを口ずさんだり、高学年になると放送委員になって学校放送で好きな曲を流したりもしています。
つまり、YouTubeショートで知った曲が、小学校全体に波及するのです。
余談ですが、息子は先日初めてのカラオケを経験しました。
その場では恥ずかしくてまともに歌えなかったのですが、帰宅後、歌う行為に火がついたのか、スマホの「ポケカラ」というアプリを使って歌の練習をしています。
小学2年生男児
- YouTubeショートで曲を知る
- Shazamで曲名を検索
- Apple Musicのプレイリストに追加
- 小学校で広まる
- カラオケで歌う
曲のヒットは、YouTubeショートやTikTokが起点
ショート動画機能は、YouTube、Instagram、FacebookなどのSNSに搭載されていますが、流行の発端はTikTok(ティックトック)です。
しかし、わが家では息子が見る端末にTikTokをインストールしていません。
インストールしない理由は受動的すぎて延々と時間が溶けてしまうからです。YouTubeショートも見せたくは無いのですが、小学校から配布されたiPadには始めからYouTubeアプリがインストールされていたので、制御することはできませんでした。
とにかく、今の子ども達の間では、ショート動画を起点に曲が流行っていると感じます。
Ado「うっせぇわ」頃から、ショート動画初のヒット曲が増えた
余談ですが、僕は音楽業界でも仕事をしているのですが、こうした流れは、Ado「うっせぇわ」頃から加速した印象です。
ショート動画から曲がヒットする流れ
- 個人が作曲(まずは30秒程度でOK)
- TikTokなどショート動画でバズらせる(多くの動画投稿者に使われる)
- バズったら曲をフル尺で作る
- Tunecoreを使って、個人がApple Music、Spotify、LINE ミュージックなど音楽サブスクサービスへ配信
- 各種配信チャートで上位にランクイン
- サブスク再生で収益化。月収100万円を超えることも
これが、最近の流れ。
大物アーティストが何ヶ月も掛けてアルバム制作をしてもヒットしづらい時代において、先週まで無名だった若者が突如チャートを席巻するのです。
無名だったAdoが「うっせぇわ」をリリースしたのは18歳の頃でした。現在20歳、「新時代」が世界ヒットし、Apple Musicでは日本の楽曲として初めて全世界1位にランクインしました。
親世代とはまったく違う、曲の流行り方
今回お伝えしたいのは、以上です。
ショート動画からヒット曲が生まれる話はよく耳にしていましたが、わが子を見て「おぉ、これか!」と実感することができたので記事にしました。
曲の流行り方というのは、ここ数年の間に激変しています。
そういう時代背景を知った上で子育てすると、また違った捉え方ができるのではないかと思います。
最後に、スマートフォン、特にiPhoneを使っている方に「Apple Music」をおすすめしておきます。わが子用のプレイリストを作ってあげて、そこに子どもが自分で曲を追加できるようにしてあげると、家族の音楽ライフが楽しいものになると思います。
また、Apple Musicは最近「ボーカルを消す」機能が追加されました。つまり、歌詞を見ながら、カラオケのように歌えるのです。楽しいですよ!
■関連リンク
すごい! Apple Music Sing、ボーカルの音量を調節し歌詞をみながら歌えるカラオケ機能開始:Swingin’ Thinkin’