7日間でパパを忘れる幼児期健忘。赤ちゃんの記憶力は生後3ヶ月で1週間、3歳までは記憶が定着しない

子どもの記憶力って、凄いですよね。

自分自身のことを振り返ってみると、好きな曲のタイトルや歌手名、さらには歌詞まで意識する事なく覚えることができました。最近は「あれ何だっけ? 今、流行っている……」と、全然覚えられません。

いつからかわかりませんが、大人になると覚えが悪くなる。年齢分の知識・経験により深みのある思考はできいぇも、記憶力は年々低下してくるのです。

では、もっと幼い子ども。乳幼児の記憶力はどれくらいなのか、ご存知でしょうか。

実は、赤ちゃんの記憶力って……

赤ちゃんの記憶力は、どれくらいある?

僕自身の記憶を振り返ってみると、4〜5歳で入園した保育園時代の記憶が、ほんのわずか残っています。

  • 手足口病になって「変な名前だな」と思ったこと
  • 保育園の椅子に結んだ座ぶとんの紐がほどけずに苦労したこと
  • ある朝、母親に保育園に送られて、入口の門で突然悲しくなって泣いたこと、など

断片的で変な記憶ばかりですが、これが僕が思い出せる最も古い記憶です。

先日、友達の5歳の子供に「赤ちゃんの頃って覚えてる?」と質問したら、「覚えていない」とあっさり言われました。忘れるのではなく、乳幼児の記憶力って、そもそもすごく短期的ものなのでしょう。

気になって検索したら、日本心理学会の記事にたどり着きました。

幼児健忘期。記憶保持期間は、生後3カ月で1週間、4カ月で2週間

Q. 子どものときのことを覚えていないのはなぜ?

公益社団法人「日本心理学会」の『心理学Q&A』に、掲載されていた質問です。「どうして赤ちゃんのころの記憶がないのでしょうか」という質問に対する回答をご紹介します。

ヒトは誰しも赤ちゃんだったころのことを覚えていません。これを幼児期健忘といいます。詳しく思い出せたのは3歳以降のことばかりで、それ以前についてはほとんど何も覚えていないことがわかりました。

 

しかし、乳児期にまったく記憶できないわけではありません。これまでの研究で、ヒトの生後3カ月で1週間4カ月で2週間ほど記憶が保持されていることがわかっています

 

心理学ふしぎふしぎ:日本心理学会 より一部抜粋

赤ちゃんの記憶力

記憶保持期間

  • 生後3ヶ月:1週間
  • 生後4ヶ月:2週間

3歳までの記憶は、ほとんど残らない

とにかく、3歳未満の乳幼児は記憶力が低い、ということがわかりました。「幼児期健忘」(ようじきけんぼう)という名前までついています。

「妻が幼い子どもを連れて一時帰省」
「夫が長期出張」

などで、父親と久しぶりに会ったらパパの事を忘れていて泣かれた、ということをよく良く聞きますが、本当にすぐに忘れてしまう時期だったようです。

記憶力がたったの1週間。
そんな映画もありましたね。

とにかく、子供が幼いうちは、7日間以上の出張などで「親のことを忘れてしまう」と覚悟しておかないといけませんね

ちなみに、日本心理学会によると、「いつ」「どこで」「何をしたか」というエピソード記憶は4歳くらいからとのこと。つまり、3歳までの記憶力はとても未熟なのです。

ストーリーの記憶は4歳から。

覚えられない理由は?

幼児健忘期については、まだまだ解明されていない事が多く、最近のニュースでも研究中の過程が時々記事になっています。

覚えられない理由については、2つの説があります。

  • 記憶の失敗」 記憶をうまく固着できない
  • 検索の失敗」 記憶の貯蔵が悪く、うまく思い出せない

いずれにせよ、赤ちゃんから3歳位までの脳は、成長途上という訳です。

また、赤ちゃんの頃の出来事は覚えておく必要がないと考える学者もいるようです。たとえば、授乳で母親のおっぱいを吸っていたことや、保護者にオムツを交換してもらっていたことを、いつまでもしっかりと覚えていては、思春期を迎えるにあたって不都合だからです。

3歳より前に、言葉は覚える

東京都神経科科学研究所のウェブサイトでは、子どもの記憶力について、より深く解説されています。

その中に、「ヒトは通常3歳以前の経験を思い出すことが出来ない」と書かれています。しかし、3歳より前に言葉を覚え始めるので、記憶力が無いと言う訳ではなくて、脳の使い方が形成されつつある段階にあると言うことです。

  • 3歳までの経験を思い出すことができない
  • 3歳以下でも、言葉などは覚えることはできる

6〜7歳、脳がアップデートする

5歳の子供が、3歳の頃の出来事を覚えていることはあります。

3歳あたりから記憶が定着し始めるうです。ただ、「3歳、4歳、5歳の頃の思い出をいつまでも記憶しているか?」と言われると、そうではありません。

アメリカ・ジョージア州にあるエモリー大学の、パトリシア・バウアー博士によると、6〜7歳になると脳の成長により、それまでの記憶の多くが消え去ってしまうそうです。5歳の頃に覚えていた3〜4歳の思い出を、7歳になると忘れてしまうのです。

これをネット上で、誰かが「脳のOSアップデート」と表現している人がいて、なかなか上手いたとえだなと思いました。

  • 6〜7歳になると、5歳以下の記憶の大半が消える

幼児期健忘は研究段階。PTSDの軽減にもつながる?

成長の差はありますが、およそ1歳半頃になると「今日は何を食べたの?」「この人は誰?」など質問しても答える事は出来ます。しかし、成長すれば3〜4歳までの記憶のほとんどを忘れてしまうのです。反面、言語は積み重ねで覚えている。

すごく不思議なのですが、脳の働き方の違いということでしょう。この幼児期健忘症は、まだまだ研究段階なのだそうです。これから、また新たな発見が発表されるのが楽しみですね。

ちなみにこの乳幼児の記憶「幼児健忘症」の研究によって、アルツハイマー型認知症心的外傷後ストレス障害(PTSD)の予防や治療にもつながるのでは、とも期待されています。

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