卵子の凍結保存に補助金。医療費が1割〜3割負担に。精子凍結保存も進める。(千葉県浦安市)

2001年、ある高校2年生の女性が悪性リンパ腫にかかり、抗がん剤投与の治療を受ける事になりました。しかし、抗がん剤治療の影響で卵子がつくれらなくなる可能性があるという事がわかったのです。そこで、彼女は自分の卵子を守るため、凍結保存という医療をおこなうことにしました。

そして昨年2014年の暮れ、12年の時を経て、凍結卵子をつかって無事に妊娠。さらに出産ができた、と話題になりました。

凍結卵子技術が無ければ、彼女は一生子供を産むことが出来なかったかも知れません。彼女は「子どもが生まれてとても毎日が幸せです。血液疾患の患者さん全てが希望を持ち、治療に励んでほしい」と心境を語ったそうです。

*画像参照元:FNN – いのちの“選択” 「卵子凍結」に向き合う女性を取材しました。

千葉県浦安市の女性は、3割負担の費用で凍結卵子ができるようになる。

日本経済新聞のウェブサイトに、凍結卵子のニュースが掲載されていました。

“千葉県浦安市は6日、加齢による不妊を避ける目的で健康な女性が卵子を凍結保存する拠点整備に向け、研究支援名目で順天堂大浦安病院に2015~17年度の3年間に計9千万円を補助する方針を明らかにした。専門資格を持つ職員の人件費や凍結保存費用に充当することが可能で、浦安市在住の女性は保険適用と同等の3割負担で利用できるようにする

市と順天堂大浦安病院の構想では、将来の出産に備えたい20歳から35歳ぐらいまでの健康な女性の卵子を凍結保存するがんが見つかった女性が、抗がん剤治療による副作用で不妊になるのを避けるために凍結するケースも想定し、この場合、費用は1割負担にする。(中略)

 市民の男性の精子凍結保存にかかる費用も3割負担で済むよう検討しており、対象年齢などの具体的な条件について今後、大学側と協議を進める。

女性の加齢不妊を回避、卵子凍結拠点に補助金 千葉・浦安市 :日本経済新聞より一部引用”

卵子の凍結保存は、現在保険適応外です。費用は、卵子ひとつにつき採取から保存までに70万円〜100万円掛かると言われています。 これは初年度の費用で、保管料は毎年1万円ほど掛かります。

また、凍結卵子の出産成功率は10%程度ですので、凍結卵子を行うのであれば、卵子を10個は保存しておきたいところです。単純に卵子の個数分の費用が掛かる訳では無いようですが、凍結卵子には数百万円掛かるというのが実情です。

それが、3割、または1割負担で可能というのであれば、そのハードルはグッと下がるでしょう。

出産後の働きやすい社会づくりも急務。

抗がん剤治療のように、不妊になってしまう可能性がある病気に掛かってしまった場合には、凍結卵子は大きなチカラになってくれるでしょう。

しかし、近年の晩婚化に合わせて、凍結卵子や凍結精子が当たり前になれば、これはこれで問題が起きそうな気がします。

現在、男女ともに結婚の平均年齢はおよそ30歳。昔に比べると遅いので晩婚化と言われているのですが、考えてみれば「学校を卒業して、就職して、産後も働けるようキャリアを積んで、恋愛、結婚……」となれば、30歳なんてあっという間です。

なぜ晩婚化が進むのか? 職場環境、再就職の難しさ、保育園不足、核家族化などを背景に、「働きながらの子育てが困難」という日本の社会事情が大きいでしょう。晩婚化に備えての医療の発達は素晴らしいことですが、それと並行して、育児しながら働きやすい社会づくりも急がないといけないな、と強く感じます。

少子高齢化が加速する日本。その問題に猶予はありません。

コメントを書く

ここにコメントを入力してください
ここにあなたのお名前を入力してください(本名でなくてもOKです)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください