小学校のお子さんがいらっしゃる保護者の皆さん、学校から紙のプリントはまだ配布されていますか?
わが家の息子は、現在小学4年生。東京都世田谷区の某公立小学校へ通っています。今年・令和6年度(2024年)より、学校から保護者宛への紙のプリントが廃止されました。デジタル配信への移行です。
ここ最近、児童たちへのICT教育に加え、保護者へのデジタル化の流れもすさまじく、数年前とはガラッと様子が変わってきました。そんな様子をお届けします。
保護者宛の紙のプリントを廃止し、アプリ「すぐーる」でデジタル配信
世田谷区では区立幼稚園・小学校・中学校で、学校緊急連絡情報配信サービス「すぐーる」を導入しています。これはスマートフォンで利用できるアプリです。
令和3年度(2021年)あたりから導入されはじめ、令和4年(2022年)12月下旬より本運用が実施されました。
「すぐーる」でできることは?
うちの小学校では、以下の用途で「すぐーる」が活用されています。
すぐーるの用途
- 当該小学校からのお知らせ配信
- 世田谷区教育委員会からのお知らせ配信
- 欠席・遅刻の連絡
- アンケートの募集と回答
- 健康連絡帳(体温・体調などを記録)
去年度までは「すぐーる」と「プリント配布」の2通りがあったのですが、それがすぐーるに一本化されました。これにより、担任を含む学校の負担軽減となり、さらに児童がプリントを保護者へ渡すのを忘れるリスクも無くなりました。
また、遅刻・欠席もアプリで行えます。欠席・遅刻を選択し、理由を書いて送信するだけ。すごく簡単です。以前は電話対応だったので朝の慌ただしい時間帯に先生方は大変だったのですが、その手間が無くなりました。始業前に連絡が無いかをチェックするだけです。
それと、コロナ禍は健康連絡帳が活躍しました。毎日、体温や倦怠感などの記録していきます。ちまみに、コロナが5類に移行した令和6年度(2024年度)より、この機能は使っていません。
アンケートに関しては、運動会や学校公開などの感想をMicrosoft Formsを使って募集しています。以前は手書きだったのですが、今はスマホで入力できるので保護者としても随分手軽になりました。
どれくらいの自治体・施設で使われているのか?
すぐーるを提供するバイザー株式会社のウェブサイトによると、「導入自治体数 146」「導入施設数6,063」とありました(2024年4月末現在)。
日本全国の自治体数はおよそ1720なので、1割近くの自治体で利用されているのですね。
実際、4月の前半頃にApp Store(Appleのアプリ配信ストア)を見ると、毎年「すぐーる」が上位にランクインしています。そこからの導入数の多さが伺えます。
PTAではLINEグループ・Googleドライブを活用
また、PTAでもデジタル化は進んでいます。
連絡ツールとしてはLINE。委員ごとにLINEグループを作ったり、用途に応じてLINEオープンチャットを活用したりしています。また、学校内にあるPTAのための部屋の予約も、LINEグループのカレンダー機能を使って予約するようにしました。
かつては配布枚数分のプリントを印刷し、クラス単位に分け、担任の先生を通じて児童に配布してもらっていました。また、部屋の予約は紙のノートでした。それらにかけていた手間が一切なくなった訳です。
また、作成したExcelやWordなどのファイルは、Googleドライブで一元管理しています。以前はUSBメモリでした。Googleドライブでは、アクセス権を設定して必要な人だけがログインできるように設定しています。また、個人情報が含まれるものについてはディレクトリ(フォルダ)やファイルそのものにパスワードを設定するなどし、厳重に管理しています。
アンケートや委員・係の募集に関しては、Googleフォームを使っています。集計データはcsv形式(Excel)で児童集計されるので便利ですね。
児童はiPadを使用 授業・宿題で活用
デジタル化が最も進んでいるのは子どもたちです。世田谷区ではApple iPadが導入され、1人1台貸与されます。
先生が「皆さん、この問題わかりますか? 答えはiPadに記入してください」と声をかけ、各自iPadに回答します。すると、各教室に設置されたプロジェクターでみんなの答えが表示。テレビのクイズ番組のような感じで、みんなで盛り上がっています。
iPadはキーボードカバー付きで、授業中の板書も紙のノートではなくiPadで行います。3年生あたりから、キーボード入力が猛烈に早くなります。うちの息子は4年生ですが、もはや父親の僕よりもタイピング速度が速いので驚かされます。
また、資料作成、動画制作、音楽制作なども、iPadでおこなっています。2〜3年生になると、ほぼみんながアプリ「iMovie」「CapCup」などを使って動画撮影・動画編集ができるようになります。
そして宿題に関しても、子どもたちが帰宅する頃に、iPadのアプリ「ロイロノート」を通じて配信されます。帰宅後、各自iPadを開いて、宿題を確認して取り組むのです。国語の音読に関しては、iPadで録音して、音声を先生にオンラインで提出します。
あと、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などで学校を休んでいる子に対しては、児童が望めば授業をリアルタイムにオンライン配信してくれることもありまます。
デジタル化のメリット・デメリット
以上、わが家の息子が通う公立小学校での様子です。
デジタル化は現在進行形でどんどん進められています。僕自身、保護者として、PTA役員として、デジタル化を目の当たりにし、ほぼメリットしか感じません。何より、先生・保護者の負担を大きく軽減することができたのが素晴らしいですね。時間に余裕ができた分は、児童への関わりを増やすことができます。
デメリットは情報漏洩の不安です。デジタルなので、プリントや書類を一枚をどこかに落としてしまうより、漏洩時の被害は大きくなりがちです。ここに関しては課題が残っていると感じます。
ちなみに、東京都PTA協議会(通称:都P)では、「個人情報漏えい補償制度」の補助制度を設けています。PTAが適切に個人情報を取り扱う中で、万が一個人情報漏えい事故が発生した際の備えとしての保険です。