産後、「妻が怒りっぽくなった」「いつもイライラしている」、と悩む夫は多いといいます。
週末、家じゅうの掃除をしたり、子供と遊んだりしているのに、ふと合間にテレビを見てくつろいでいると、妻から「あなたは暇で良いわね〜」と嫌味っぽく言われる。
「おい、俺だって一生懸命やっているだろ!」と夫婦喧嘩になったり、「ごめん……」と、妻の様子におっかなびっくりになったり、夫の反応はさまざま。
なぜ、優しかった妻が鬼の形相になるのか。
なぜ、ラブラブだった夫婦関係に溝ができるのか。
NHK Eテレ「すくすく子育て」の、特集「パパの育児~どうする?ママとの関係~」で、妻のイライラに悩める夫が集まり、その対策方法が解説されていました。
哺乳類の見地に立ち、とても納得が行くものでしたので少しご紹介します。
子育て中の夫婦がギクシャクしてしまう理由は?
この問題について、回答してくれたのは脳科学を研究する黒田公美さん。
黒田さんは、まず子育て中のママの身体の変化について理解する必要があると言います。
哺乳類にとって、出産・育児は最大の事業。一生の中でも、もっとも大変なこと。そのため、メスは子育て中に劇的に変化します。ホルモンの変化や、それ以外の生理的な変化など。
具体的には、多くの種において攻撃性が増します。
哺乳類は未熟な状態で生まれるので、母親に守ってもらわないと生き残ることができません。そのため、母親は子供を守るために攻撃的になるのです。
たとえば、熊は普段だと人間に出くわすと逃げて行くのに、子連れの時は人間に襲いかかってくる。自分は逃げることができても、子供は逃げられない。だから、人間に対して先制攻撃を仕掛けてくることがあるのです。
哺乳類において母親になるということは、母性本能において攻撃性を持ち、それが重要な部分を占めています。
そして、その攻撃性が、子供の父親(夫)へも向くことがある、ということです。
妻のイライラ、夫はどう対応すべき?
腹を立てている理由がはっきりとしているのであれば、それを聞いてあげればいい。だけど、理由がはっきりないのにイライラが止まらない時は、会話の文字面(じずら)を追うと、訳が分からなくなって対立してしまうことがあります。
男性は、物事の筋道を追って理論的に考えがちですが、この場においては、それは逆効果。なぜなら、その攻撃性は理路整然と説明できるものではなく、身体の中から湧き出てくる母性本能だからです。
ですので、ここでは相手の感情について聞くのが効果的です。
今、何をしゃべっているか? ではなく、どんな気持ちなのか?
悲しんでいるのか、
怒っているのか、
悩んでいるのか、
寂しがっているのか……。
夫がそういう部分に注意を向けて聞いていると、妻にもそれが伝わります。すると妻は、「自分の気持ちを受け止めてもらえた」と感じ、問題が解決しなかったり、アドバイスがもらえなくても、かなり気持ちが落ち着くことがある、ということです。
イライラ妻に対して、夫がすべき会話の仕方は?
憎悪をぶつけてくる妻に対して気持ちを理解しろって、男性からすれば「はぁっ? 意味がわかんねえ!」と思わず逆ギレしそうですね。でも、それじゃぁダメってことです。
結論としては、産後・育児中のイライラする妻に対して、「夫は理屈で話してはダメ! 気持ちを受け止めるのが大切」ということでした。
妻が突然イライラをぶつけてきた時は、理不尽という想いはグッとこらえて、今度「気持ちを理解する」を試してみてください。妻は子供を命がけで守っている熊……のような状態なのですから。