0歳から始まる乳幼児・子供向けの定期接種(予防接種)って、人口統計から必要なワクチン数がわかるので、在庫切れは無いと思うじゃないですか。でも、そうではなさそうです。
ちなみに定期接種とは、厚生労働省が決めて各自治体が実施を勧める無料の予防接種のことです。お住いの市区町村の保健所などから郵送で案内が届きます。
3歳からはじまる日本脳炎の予防接種
![](https://papayaru.com/wp-content/uploads/2017/05/170515_yobouseshu_boshitechou-1024x684.jpg)
息子が3歳になり、久しぶりに定期接種の案内が届きました。今回は日本脳炎です。
予防接種は0〜1歳に集中していて、2歳は一旦休憩に入ります。息子の鼓太郎が2歳で受けた予防接種は、インフルエンザワクチンのみです。
インフルエンザの予防接種は保健所からの案内状ではなく、僕たち保護者の判断で受けに行きました(任意接種といい有料です)。インフルエンザワクチンのような予防接種は、ウイルスの流行によって希望者が増え、さらに接種する年齢が幅広いため、時期によってはワクチンが不足する場合があります。
このワクチン不足は、なんとなく理解できますよね。
でも、月齢・年齢に応じて案内が届く子供の定期接種は、出生届や人口統計で把握できるので、ワクチンが足りずに在庫切れってなさそうじゃないでか。
それが先日、日本脳炎の予防接種へ行ったとき、病院の先生から「今やっておけて良かったですね。日本脳炎のワクチンの在庫がほとんど無いので、これから接種する子は少し待ってもらわないと行けないんですよ」と言われわれたのです。
……えっ! ワクチンが在庫切れなんてあるの!?
日本脳炎ワクチン、在庫切れの原因は熊本地震
医療・介護に特化した総合情報サイト「CBnews」で、日本脳炎ワクチンの在庫切れについて報じられていました。
化学及血清療法研究所(化血研)は2017年5月9日までに、日本脳炎ワクチン「エンセバック皮下注用」の在庫がなくなり、出荷できなくなったことを明らかにした。熊本地震で生産設備が被害を受けて減産を強いられたことや想定を上回る需要があったことが原因だという。
(中略)
化血研によると、昨年4月に起きた熊本地震でワクチンの生産設備が被害を受け、昨年度の生産量は前年度の半分程度まで落ち込んだ。また、定期接種対象の地域から外れていた北海道が昨年度から定期接種を始めるなど、国内の市場が拡大した影響もあり、想定を上回る需要があった。
すでにワクチンの出荷を止めており、卸売販売業者などにある在庫も2カ月ほどでなくなる見通し。
熊本地震は、2016年4月14日21時26分に発生。最大震度7という、激震で熊本県と大分県を襲いました。発生から1年が経ちましたが、その影響はこうした医療にも影響を与えていたのです。
ちなみに、日本脳炎ワクチンを製造している化学及血清療法研究所は、熊本市にあります(熊本市北区大窪1-6-1)。
日本脳炎ってどんな病気? 予防接種が遅れると危険なの?
わが家に届いた、世田谷区保健所・感染症対策室からの案内状を参考に、日本脳炎という病気についてご紹介します。
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスの感染によっておこる、中枢神経(脳や脊髄)の疾患ということです。移る病気ということですね。
では、どうやって移るのか? ヒトからヒトへの感染はなく、ブタなどの動物の体内でウイスルが増殖したあと、そのブタを刺したコガタアカイエカなどが人を刺すことで感染するとのことです。
コガタアカイエカ!?
何それ、イカ?
いいえ、イカではありません。
これは、厚生労働省が配布している日本脳炎のポスターです。コガタアカイエカは「蚊」です。蚊には色々な種類があるのですが、そのなかの一つということです。
豚が多い地域での蚊には、特に注意が必要です。トラックや衣服で遠くまで運ばれることもありますが、自走ではおおむね2km(8kmの報告もあり)ということです。
また、感染するとどうなるかですが、7〜10日間の潜伏期間ののち、数日間の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、引き続き急激に、光への過敏症、意識障害、けいれん等の中枢神経障害(脳の障害)を生じるそうです。
しかし、感染しても発病する割合は少なく、過去には100人から1,000人の感染者に1人が発病すると報告されています。感染しても症状が出ずに済むことが多いということです。
ただし、もし発症してしまった場合は、20〜40%が死亡するという高い死亡率がある感染性疾患(感染症)なのです。また、生存者の45~70%に精神障害などの後遺症が残ると言われています。
ポイントをまとめると、以下のようにになります。
- 日本脳炎は、人から人へは移らない
- ウイルスを持った蚊に刺されることで感染する
- 感染しても発症する割合は低い
- 発症すると死亡や重度の後遺症の危険性が極めて高い
日本脳炎は発症すると大変危険ですが、感染しても症状が出ずに済むことが多いようなので、「日本脳炎のワクチンが在庫切れ = 今すぐ危険!」という訳ではなさそうです。
ただし、これから梅雨入りし、蚊が大量に発生する季節に入ります。とにかく蚊には注意しておいた方が良いでしょう。豚が多い地域では、特に注意が必要です。
また、蚊を媒体にして感染する病気は、日本脳炎だけではありません。日本国内ではデング熱もよく話題になります。「たかが蚊」とは思わず、対策を心がけることが重要ですね。
日本脳炎、予防接種を受ける時期
先にお伝えしたとおり、予防接種は厚生労働省が決めて、各自治体が実施します。そのため、自治体によって多少摂取の時期が違う可能性があります。
以下は、一般的な日本脳炎の摂取時期です。
- 【3歳】2回摂取
- 【4歳】1回摂取
- 【9歳】1回摂取
詳しくはお住いの市区町村のホームページにアクセスし、「予防接種 日本脳炎」でサイト内を検索してください。
予防摂取を受けさせない? ネット上の賛否両論
新生児の頃から次々と予防接種の案内が届き、「えっ……赤ちゃんにこんなに予防接種しても大丈夫なの?」と不安になる方は多いと思います。僕もビビりました。
気になってインターネットで検索すると、子供に予防接種受けさせないという反対派(不要派・自然派)が結構いらっしゃるのです。そういうのを見ると、やっぱり不安が高まります。
でも、わが家では考えた末、定期接種も任意接種もすべて摂取することしています。
副作用により、予防摂取後に障害や死亡する可能性もないとは言い切れません。ですが、僕たち夫婦は以下の4つの理由から摂取を決めたのです。
- 国がじっくり検討して決めたことと自己判断(素人判断)とでは、やっぱり自己判断は甘いと感じた。
- 受けるリスクより、受けずに重症化するリスクの方が高そうだと判断した。
- 保育園に通っているので、予防接種をしないと集団生活の中で息子が感染源になってしまう危険性があると考えた。
- 受けない派の考え方が、僕にはしっくり来なかった。
特に3番目に関しては、移してしまう相手は園児だけではありません。例えば風疹は、妊娠初期の母親や保育士に移してしまうと、胎児が重い病気になったり、死亡・流産してしまう危険性があるのです。そんなことになっては大変です。
また4番目ですが、「うちの子は一切予防接種は受けていません。公園で泥だらけになって遊んでいるので、自然のワクチンがあるから病気にもならず元気です!」といったことを書いているママブログを見かけ、「そ、そんなので大丈夫なのか!?」と、僕としては共感できませんでした。まぁ、これは極端な事例かもしれませんが。
こうしたことから総合的に悩み、考え、予防接種を受けています。
とはいえ、「絶対に!100%!受けるべき!!」とは、他人には言い切れない不安はあります。「赤ちゃんを守りたい」「子供が元気に育って欲しい」と、願う気持ちは同じだと思いますが、予防接種に関しては悩ましいですね。
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