わが家の息子は2歳10ヶ月になり、公園に行くと放っておいても自由に遊び回るようになりました。数ヶ月前までは親がずっと側にくっついていたのですが、今は目の届く範囲にいて「たくましくなったなぁ」と見守っていることもあります。
でも、そんな油断こそが危険なんですよね。
ところで皆さん、怪我・死亡事故が多い公園の遊具のはどっちだと思いますか? 以下の2つから、どちらかを選んでください。
- ブランコ
- 滑り台
遊具の事故、3月から増加、5月がピーク
消費者庁は今年2017年2月、公園・広場や学校・ 保育施設、レジャー施設・店舗等の遊び場に設置されている「遊具」の事故統計を公表しました。
この資料内にある月別の事故発生数を見ると、3月から増加し、5月にピークを向かえることがわかりました。
……え? 公園で遊ぶのって、夏じゃないの? 夏休みがあったり、日暮れも遅かったりで、公園で過ごす時間が多いはず。なぜ、5月がピークで、あと10月にも山場があるのか?
これについては具体的に説明はないのですが、資料内の事故事例から垣間見ることができます。事故の原因として、アウターのフードや紐、ポンチョが遊具に引っ掛かって転倒したり、首がしまったりしています。夏場はTシャツ一枚など薄着なので、洋服が引っ掛かりにくく、事故が少ないのだと思われます(*1)。
また、1月、2月の事故が少ないのは、寒かったり、寒冷地では雪が積もったり、日暮れが早かったりで、そもそも公園にいる時間が少ないからでしょう。
*1. 洋服の引っ掛かり事故については、2015年に改定された子ども用衣料(ひもの安全基準) の新JIS(JIS L4129 よいふく)を検索してみてください。
ブランコとすべり台、事故が多い遊具はどっち?
さて、冒頭で書いた最も事故が多い遊具。あなたはブランコとすべり台、どっちだと思いましたか?
正解は「すべり台」です。
消費者庁の資料では、圧倒的にすべり台の事故が多くなっています。ブランコ事故のおよそ2倍、すべり台事故が発生しているのです。
具体的には、
- 「すべり台の手すりにポンチョが引っ掛かり、首が締まり死亡」
- 「すべり台を逆走して、上から滑ってきた子と衝突・転落し、頭がい骨骨折」
- 「すべり台の上で順番待ちをしていたら、割り込んできた子に押されて転落、右肘頭骨折」
などの事故が起きています。
どれも起こり得そうな事ばかりで、ヒヤリとさせられます。
次に、ここ1〜2ヶ月のあいだに報道された、遊具での事故を2件ご紹介します。
4歳女児、すべり台で縄跳びが首に絡まり死亡
住宅地の一角にある、小さな児童公園での死亡事故です。遊具は、すべり台、鉄棒、砂場くらいの小規模で、見通しのよい公園。
4歳の女の子が、公園の滑り台の斜面で、縄跳びのひもが首にからまり、窒息した状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。
当時、公園には、女の子と6歳の姉しかおらず、姉が泣き続けていることを不審に思って近づいた高校生が、119番通報した。滑り台の上にある柵の部分に、縄跳びのひもの片方が結んであり、もう一方が、女の子の首に巻きついていたという。
小学一年生・7歳男児、ジャングルジムにランドセルがひっかかり意識不明
市営住宅の敷地内にある公園で、宙吊り、意識不明の重体となった事故です。
屋外の遊具で遊んでいた小学1年の男児(7)が意識不明となった事故は、背負っていたランドセルが遊具の金属製パイプに引っ掛かり、衝撃で首が前方のパイプにぶつかって圧迫されたのが原因とみられる。(中略)数分間にわたって宙づり状態となり、呼吸困難に陥ったとみて調べている。
親ができる、事故防止対策
消費者庁では事故防止のため、以下の7つの注意点をあげています。
- 施設や遊具の対象年齢を守りましょう。
- 6歳以下の幼児には保護者が付き添いましょう。
- 子供の服装や持ち物に注意しましょう。
- 遊具ごとの使い方を守らせましょう。
- 遊具を使う順番待ちでは、ふざけて周りの人を押したり突き飛ばしたりし
ないようにさせましょう。 - 天候にも気を付けましょう。
- 遊具の不具合や破損を見付けたら、利用を控え、管理者に連絡しましょう。
しかし、これらをいつも完璧に守ることって、かなり難しいと思います。そんな子供や保護者がいるのだろうか……と思えるほどです。
ただ、だからと言って無頓着になって良いという訳ではないでしょう。
親など保護者は、「公園で死亡事故や重傷を負う事故が起きているんだ!」ということを知っておくのが大切だと思います。たとえば、ランドセルで窒息するなんて思わないじゃないですか。また、ポンチョで命を落とすなんてのもショッキングです。
保護者がこうした思いがけない事故を知ることで、「あ、これは危ないかも」と気づき、いくらかは事故を未然に防ぐことができると思います。事故は100%防げませんが、事故発生を抑えることはできるはず。そのためには、まずは知ることが大切かと思います。