子どもが3〜4歳になると、「なんで?」「どうして?」と質問するようになります。
そんなWhyの質問がとても多い時期を、通称「なぜなぜ期(質問期)」と呼んでいます。
- 「なんで、パパはもう大きくならないの?」
- 「なんで、コーヒーは苦いの?」
- 「なんで、テレビの中には入れないの?」
- 「なんで、アンキロサウルスは強いの?」
……知らんがな。
1度や2度の質問ならともなくとして、1日中質問攻めにされると、子守りをする大人にとっては結構辛いです。適当に答えて嘘をつくのは心苦しいし、「知らない」「いい加減にして」と突き放すのも可哀想です。
でも、このWhyの質問。
とっても大切で、特別なものなのです。
大人向けの本ですが、細谷功著「メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問」を参考に、「なんで?」「どうして?」の質問が、人の成長においていかに重要であるかをお伝えします。
「なんで?」 Whyだけが名詞一語で答えられない
まず、「なぜ」の疑問とは何か。
英語の疑問詞「5W1H」のなかで、Whyだけが別格な質問となっています。なぜなら名詞一語で答えられないからです。
- What?(これは何?) 虫取り網
- When?(いつにする?) 明日
- Where?(どこへ行く?) 公園
- Who?(誰がする?) パパ
- Why?(なぜ?) 雨が降っているから
Why以外の質問が求めている回答は「点」です。何であるかの答えをズバリ知りたいわけです。「これは何?」「これは誰?」などは、名詞一語で答えられます。
それに対し、Whyは「線」です。「なぜ?」の質問が求めている回答は「〜だから」ですよね。どんなに短くしようとしても名詞一語にはなりません。
点と線。
一次元と二次元。
Whyは、次元が違う、特別な質問なのです。
「なんで?」 Whyだけが何度も繰り返すことができる
また、Why以外の質問は、何度聞かれても答えは同じです。
「これは何?」
「カブトムシ」
「誰と行くの?」
「パパ」
でも、Whyだけは、何度も質問を繰り返すことができます。
「なんで行けないの?」
「雨が降ってきたからね」
「なんで雨は降るの?」
「お空に雲があるからね」
「なんで雲があるの?」
「お水が少しずつお空に上がっていって、お空で固まるからだよ」
Whyは、繰り返し使える、特別な質問なのです。
「なんで?」 Whyの質問で本質に迫ることができる
「なんで?」の質問は、繰り返すことでより本質に迫ることができます。
「なんで、歯みがきしないとダメなの?」
「虫歯になるからだよ」
「なんで、虫歯はダメなの?」
「ごはんが食べられなくなっちゃうからだよ」
「なんで、虫歯になるの?」
「歯についているバイキンが、食べかすをえさにして増えちゃうの。そしてバイキンは酸を出して歯を溶かしちゃうんだよ」
「なんで、パパは歯みがきをしているのに虫歯になったの?」
「お菓子を食べすぎたからなんだよ。砂糖には酸がついていて歯が溶けるの」
このように、Whyの質問は何度も繰り返すことができます。「虫歯になるから」だけで終わるより、「なぜ虫歯になるのか」「ごはんを食べないと人はどうなるのか」など、より本質的に理解できるようになります。
一つ上の視点でものごとを見る、メタ思考
「なぜ?」「どうして?」を繰り返すと、どうなるか。
自分自身や物事を、客観視できるようになります。
わかりやすく例えるなら、「ドローンで空から見る」「幽体離脱して上から自分を見る」といったイメージです。
これまで、自分がいま見えている狭い視野でしか考えられなかったのが、大きな視点で物事を捉えられるようになるのです。
あるものを一つ上の視点から客観的に見てみることを専門用語で「メタ認知」と言います。メタ認知で考えることが「メタ思考」です。
メタ思考をすることで、「私には今まで気づいていない世界があった」「私にはわかならいことがあった」と気づけるのです。気づいていないことを認識することで、人は知的に成長します。
また、思い込みが激しい人も、メタ思考をすることで自分の視野の狭さに気づき、他人の考えを受け入れられるようにもなります。
こうした気づきや発想の広がりにより、人は、他人に優しくなれたり、斬新なアイデアを生み出したりできるのです。
なぜなぜ期、子どもの「なんで?」を大切に
「なんで?」
これは子どもだけでなく、大人にとっても大切です。
家庭や職場に起きている問題を何か思い浮かべてください。それについて「なぜ?」を繰りかえし、自問自答で深掘りしていきます。1回、2回、3回……。回数を重ねるにつれて、答えが出なくなり苦しくなります。
それで良いのです。物事を俯瞰することで、新たな問題に気づき、それに取り組むことができるからです。
もちろん自問自答に限りません。夫婦、家族、職場など、一緒に考えていくのも大切です。
さて、子どものなぜなぜ期(質問期)。
これはWhyの芽生え、メタ思考の始まりです。ここで大人が拒絶してしまっては、せっかくの成長の芽を摘んでしまうことになってしまいます。
子どもの「なんで?」「どうして?」の質問には、すぐに答えられなくてもかまいません。だって、質問自体が難しいのですから。そんなときは、なぜなのだろうと一緒に考えていくのです。
教育といえば、「これはなあに?」「きゅうきゅうしゃ!」といった「点」の教育を思い浮かべがちです。それだけではなく「なんでだろうね?」と思考する習慣も大切ではないでしょうか。
「なんで?」「どうして?」の質問攻め。
大変ではありますが、ぜひ前向きに捉えてみてください。
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