「妊娠中、コロナに感染したらどうなるの?」
「病院の対応は? 分娩方法は?」
「出産事例を教えて!」
新型コロナウイルスが感染拡大する中、妊娠中の方は「もし私が感染したら……」と不安を覚える方も多いでしょう。
今回は、コロナに感染した妊婦さんの出産事例をご紹介します。
慶應義塾大学病院、コロナ陽性の妊婦は手術室で帝王切開
2020年8月1日、FNNプライムオンラインに掲載された記事をもとに、引用・参考にしながら要点のみまとめました。
この記事は、新型コロナウイルス陽性の妊婦さんを、実際に分娩した貴重なレポート。慎重に取り組まれている様子がわかります。
産院は、慶應義塾大学病院です(東京都新宿区)。
ポイント
- 帝王切開
- 産後、赤ちゃんに会えない、触れられない
- 赤ちゃんは2週間入院(PCR検査)
- 精神科医も産後ママをサポート
入院前、妊婦全員にPCR検査
慶應義塾大学病院では、2020年4月6日から、新しく入院する患者全員にPCR検査を実施しているとのこと(出産のため入院する妊婦も含む)。
そんな中、無症状の妊婦さんがいることがわかりました。
「妊婦は普段から気をつけているから大丈夫だろうと思っていたが、4月に2人の無症状の陽性妊婦が出てしまい、本人もびっくりしただろうが、医師らも晴天の霹靂」
陰圧の手術室と陽圧の分娩室 換気システムが違う
行うべき対策は「院内感染の防止」と「母子の保護」があります。まずは院内感染の防止から。
まず、院内の換気システムには、「陰圧」「陽圧」の2つがあります。
陰圧とは、室内の空気が外に出ていかない特別な換気システム。SARSなどの感染症患者を受け入れる病院などにあるとのことです。
陽圧は、食品工場などのクリーンルームなどでも使われているシステム。こちらは、空気は循環しているのでウイルスが病棟中に広まる可能性があり、対応したスタッフだけでなく、他の入院患者や新生児も感染してしまう恐れがあるとのこと。
慶應義塾大学病院では、陰圧の手術室はあるが、陰圧の分娩室は無い。
いきみ声は空気感染リスク 経膣分娩は新生児へ感染リスク
まだ事例やデータがほとんどない状況において、不確定要素はできるだけ排除する必要があります。
そこで、慶應義塾大学病院では以下のような対応がとられました。もちろん、妊婦には説明・納得の上です。
- 通常の分娩室ではなく、陰圧の手術室で帝王切開で出産。
- いきみ声は空気感染のリスクがあるため、医師・看護師らはN95マスクやフェイスシールド、防護服を着用し、陰圧の手術室で分娩。
- 経膣分娩(膣からの出産)は新生児への感染リスクがあるため、帝王切開で分娩。
帝王切開で分娩(出産)後、ママは赤ちゃんに触れられずそれぞれ隔離
帝王切開で分娩後(出産後)、陽性の妊婦さんは、我が子の産声を聞き、顔をチラッと見ることはできるが、触れることはできず、そのままコロナ専用病棟へ。
赤ちゃんは、ママに抱っこされることなく、そのままNICU(新生児集中治療室)へ移動。新生児もコロナ陽性の疑いがあるためすぐさまPCR検査をし、その後も退院までの2週間強の間に数回検査。
慶應義塾大学病院では、コロナ感染の入院患者全員に精神科医が1人ずつ付きサポートを行っているとのことです。
京都府立医科大学附属病院、妊娠38週でコロナ感染確認
次は、臨月で新型コロナウイルスの感染確認がわかった妊婦さんの事例。
2020年7月25日、NHK NEWS WEBに掲載された記事をもとに、引用・参考にしながら要点のみをまとめました。
病院は、京都府立医科大学附属病院です(京都市上京区)。
ポイント
- 帝王切開
- 産後、赤ちゃんに会えない、抱っこできない、授乳できない
- 看護師が赤ちゃんの様子を撮影し、産後ママに届けている
- 感染予防は、同居家族も細心の注意が必要
家族のひとりが感染。妊娠38週で症状、PCR検査
妊娠38週で、出産を目前に控えていた妊婦さん(37週〜41週が正期産)。
家族の1人が新型コロナウイルスに感染。本人も味覚の異常を感じたため、PCR検査を受けたところ、陽性が判明しました。
女性はすぐに入院し、翌日には帝王切開で出産。
帝王切開で出産。産声を聞けただけで、顔を見たり、抱っこしたり、授乳もできない
帝王切開での出産を終えた女性は、NHKの取材に対し心境を語りました。
「生まれたときに産声を聞けただけで、顔を見たり触れたりすることができませんでした。すぐにだっこしておっぱいをあげたかったし、家族みんなに祝福してもらって写真を撮るなど、普通のことができず、悲しかったです。私がまだ陽性なので会えないのはしかたないですが、大切な時間を一緒に過ごせないことが本当につらいです」
病院では、看護師が「赤ちゃんがミルクを飲んでいる様子」「身体を洗ってもらっている様子」などを撮影し、メッセージを添えて女性に届けているとのことです。
妊娠中、感染予防には細心の注意を払っていたが……
また、女性は妊娠中、買い物は週1回程度に控え、マスクの着用や手洗いなど、感染防止には細心の注意を払っていたそうです。
しかし家族の1人が、親しい人と会うときにはマスクを付けておらず、体調不良だった時も私に伝えることなく過ごしていたとのこと。
「親しい人でも実際にどのような行動をとっているかまではわかりません。もう少し家族でしっかり話し合っておけばよかったと思います」と、振り返りました。
妊娠中の友人にインタビュー
以上、2つの事例をご紹介しました。
いずれも大学病院です。立派な施設・設備があり、優秀な医師・看護師もおられると思いますので、こうした万全の対策をとった上での分娩が行われました。
しかし、新型コロナウイルスは、現状、感染拡大が進んでいます。妊婦の感染者が今後さらに増えてくれば、こうした医療が受けられなくなる可能性があるのではないでしょうか。
不安を感じます……。
さて、話は代わって、僕の友人に妊娠中の女性がいます。少し話をうかがってみました。
コロナ禍における病院の対応は?
■北野啓太郎(パパやる)
お二人目の妊娠ということで、以前とは病院の対応が変わったな? と感じることはありますか。
■妊娠中の友人
5月に妊娠がわかり、コロナ禍ということで今回は産婦人科がある総合病院ではなく、あえて小規模なクリニックを選びました。
クリニックでは、密にならないよう工夫されていますね。予約制で「その時間に行って、その時間内に診てもらう」という感じです。他の妊婦さんとも、ほとんど会いません。
分娩はどこの病院で?
■北野啓太郎(パパやる)
産むのは、どこの病院で?
■妊娠中の友人
今通っているクリニックでは分娩できないので、出産に関しては大きな総合病院を予約しました。
ただ平時であれば、分娩予約のために一度病院へ行かないといけないのですが、今はコロナの影響で「病院には来なくていい。電話予約でOK」とのことでした。
出産に向けての不安はある?
■北野啓太郎(パパやる)
今は妊娠中期で、これからお腹もどんどん大きくなってくると思うけど、出産に向けて何か不安を感じていることはありますか?
■妊娠中の友人
新型コロナウイルスは「高齢者や持病を持った方が重要化しやすい」と言われているので、私は感染しても酷くなる可能性は低そうではあるんだけど……「胎児に何かあったら嫌だな」と思います。
妊娠中、妊婦は服用できる薬に制限があるので、しっかりとした治療が受けられないかもしれない。そうなると、妊娠中に高熱が続くこともある訳ですよね。
そのときお腹の赤ちゃんに悪い影響を与えてしまったり、生まれてから後遺症が残ったり。そうした不安はあります。
後悔しないためにも、コロナには感染したくないですね。
妻が妊娠中、夫ができること
最後に、男性へメッセージ。
Googleの検索窓に「妻が妊娠中 夫」と入力してみました。すると……
- 飲み会
- 浮気
と、自動的に表示されました。
これはサジェストと言って、「ここ最近、このキーワードで検索するユーザーが多いので、あなたが調べたいのはこれじゃ無いですか?」と教えてくれる機能です。
これは誰が、
どんな意図で、
検索したのでしょうか?
妊娠中の妻が検索していそうな気がしますね。切ない……。
男としては「生まれてくる子どものためにも、働いて稼がないといけない」というプレッシャーもあると思いますが、コロナ禍ですので飲み会は極力控え、浮気は永遠に無しでお願いします。
とにかく、今はコロナで、妊娠中の女性はいつも以上に不安を抱えているかと思います。
夫は、そんな妻を心身ともにサポートし、新型コロナウイルスだけに限らず、病原体を家に持ち込まないよう心がけたいですね。
元気な赤ちゃんが無事誕生することを願っています。
夫ができる具体的なサポートについては、週数別にまとめた記事があるので、併せてごらんください。