2023年に入ってから、AI(人工知能)の話題が連日絶えません。
ネット界隈で仕事をしていたり、新しいもの好きの方であれば、人工知能研究所OpenAIが開発した言語モデルGPT-3.5、GPT-4といった言葉を何度も耳にし、それらを使った「ChatGPT」「Bing AIチャット」などの対話型人工知能はすでに使っていることでしょう。
AIの進化の速度は非常に早く、もはや2〜3週間前のことが古臭く感じてしまうほど。「来月、来週、明日には、一体どうなるんだ!?」と考えてしまうほどの爆速進化です。
そんなAI、毎日小学生新聞でも1面に大きく取り上げられました。
- 【追記 1】青少年読書感想文全国コンクールが応募要項改訂、AI悪用を禁止
- 【追記 2】ChatGPTを巡り、文部科学省がガイドライン(指針)の検討
進化するAI、広がる不安
AIを特集した『毎日小学生新聞』2023年3月17日発行号では、「進化するAI、広がる不安」の見出しで、以下のように子ども達へ伝えました。
その内容を、簡単に要約します。
人工知能(AI)が飛躍的に進化しています。AIが、自然な文章を書いたり、美しい絵を描いたり。たとえば「日本の小学生の未来は明るいですか?」と問いかけると、日本の教育レベルに触れつつ少子化などの課題を挙げました。他にも、法律相談、プログラミング、小説や歌詞の創作などをこなせます。
今後、AIが生み出したものを、自分で生み出したかのように振る舞う人が出てくることが予想されます。たとえば、読書感想文をチャットGPDに書かせるなど。人間が書いものと見分けがつきづらいので、不正がまかり通るようになるかもしれません。
今後、人間はAIとどう向き合うべきかは大きな課題です。
AIの進化により、小学生の学習に与えるメリットとデメリットは?
AIの進化により、小学生の学習には以下のようなメリットがあります。
メリット
- 個別に合わせた学習:個人に合わせた学習プランを提供することができるため、生徒の能力や進捗に応じた個別学習が可能となり、より効率的な学習ができるようになります。
- テキストマイニング:大量のテキストを分析することができ、それに基づいて最新の情報や教育的な知識を網羅的に習得することができます。
- 知識の可視化:知識をグラフや図表などの形で視覚化することができ、学習内容をより理解しやすく、応用力を高めることができます。
一方、以下のようなデメリットも存在します。
デメリット
- 人間との対話不足:生徒が自分の疑問や理解できなかった点について質問できる場が少なくなる可能性があります。
- 意図しないバイアス:プログラムに組み込まれたバイアスが学習に影響を与え、適切でない知識や偏見を伝える可能性があります。
- 人間の判断力の低下:生徒たちは自分自身で問題を解決する力や、正確な情報を見極める力を失う可能性があります。
最新バージョンGPT-4は司法試験合格レベル、画像解析も可能に
2023年3月14日に公開された、人工知能研究所OpenAIが開発した言語モデルGPT-4は、画像解析する能力が身につきました。
冷蔵庫にあるものに基づいて、食事のアイデアをいくつか紹介します。
- ヨーグルトパフェ:ボウルや瓶にヨーグルト、いちご、ブルーベリーを重ねる。はちみつやナッツをトッピングすると、食感と風味が増します。
- ニンジンとフムスのラップ: トルティーヤまたはラップにフムスを広げます。千切りしたにんじんとその他の野菜をトッピングします。ロールアップしてお楽しみください!
また、GPT-3.5からGTP-4へのバージョンアップにより、「遥かに創造的で信頼性が高く、より細かい指示に対応できる」と、OPEN AIは解説しています。
具体的には、司法試験合格レベルにあるとのことです。凄いですね!
子育て・教育において、AIをどう受け入れていくのか
技術革新というのは止まりません。
スマートフォンが普及する以前の社会にはもう戻せないですし、テレビや冷蔵庫が無い生活には戻れないですし、車輪が発明される前には戻せません。
「AIなんて、私には関係ない」
そういうわけには行かない時代がやってきます。実際、僕はフリーランスライターとしての仕事を請け負っていますが、AIが数十秒で記事が書ける時代において、どう仕事をしていこうか頭を悩ませているところです。
AIがある前提で、それを活用し、生き抜いて行く方法を考えないといけないのです。
当然、子どもたちの教育においても同じで、冒頭で書いた読書感想文などの作文はAIが得意とするところです。子ども達に「AIは使うな」とするのか、それとも「AIを活用してさらなる高みを目指そう」とするのか、そうしたことを考えないといけないのです。
もしかしたら、考えるのはAIに任せて、人間は感じることが重要な世の中になるかもしれませんね。映画『燃えよドラゴン』の名言、「Don’t Think, Feel(考えるな、感じろ)」のように……。
【追記 1】青少年読書感想文全国コンクールが応募要項改訂、AI悪用を禁止
全国学校図書館協議会が毎年実施している「青少年読書感想文全国コンクール」で、AIの利用拡大を受け、応募要項の改訂を決定しました。
小中高校生の読書感想文コンクールを主催する全国学校図書館協議会は、AI=人工知能を悪用して作成された感想文が応募されてくることを懸念して、来年度の応募要項を改め、盗作や不適切な引用があった場合に審査の対象外となり、事実上の失格となることがあるとする規定を追記することを決めました。
ネットでは賛否両論の意見が溢れ、「AIを使いこなす方がすごい」「AIが生成した文章を見分けられるの?」「盗作ではないよね」「コンクールのかたちを変える時代になったのでは」などの声があります。
【追記 2】ChatGPTを巡り、文部科学省がガイドライン(指針)の検討
ChatGPTなどのAIを使えば瞬時に感想文がつくれるなどを懸念し、文部科学省は、専門家の意見を聞くなどしガイドラインを検討。早期に示したい姿勢だと報じられました。
質問に応じて自然な文章を作成する対話型AI(人工知能)「チャットGPT」を巡り、文部科学省が教育現場での取り扱いを示すガイドライン(指針)の検討を始めたことがわかった。読書感想文などが瞬時に作成できることから学習への影響を懸念する声が高まっており、文科省は国内外の事例を集めて留意点などを示す考えだ。