わが家の息子は小学3年生。東京都世田谷区の某公立小学校へ通っています。
子育てをしていると、子どもの年齢・学年によって保護者が集まったときに話す話題が変わることに気づかされます。で、現時点でのホットな話題は中学受験です。
と思われるかもしれませんが、実際はここが大きな分かれ道なのです。子どもを中学受験させようと考えている親の多くは、小学4年生から進学塾に通わせます(実際に入塾するのは小学3年生の2〜3月あたり)。
その前段階として、小学3年生の夏休みの夏期講習があります。塾としてはお客様のかきいれどきで、親としてはわが子に塾通いの適性があるかどうがを判断をする時期でもあるのです。
小学3年生の子を持つ親のあいだでは、「受験考えてる? 塾は?」の話題が絶えません。
さてそんな折、ニュースチャンネル「ABEMA ヒルズ」(通称:#アベヒル)で、気になる特集がありました。
■参考記事
円形脱毛症、下痢、吐き気… 親子の受験「中学受験」で激しい競争 保護者の“学歴偏重主義”に小児科医が警鐘:ABEMA TIMES
中学受験で注意! 保護者の「学歴偏重主義」
番組は、小児科医(*1)が加熱する中学受験に対して注意喚起を促す内容となっています。
特に首都圏では、中学受験者数が右肩上がりに上昇しているそうです。それにともない受験対策を始める時期も早まる傾向です。
ここに、大きく2つの問題があるといいます。
- 【親】学歴偏重主義になっている
- 【子ども】ストレス・激しい競争・睡眠不足などから、病気になったり、いじめが起きたりしてている
*1. 小児科専門医で子育て支援事業「子育て科学アクシス」代表の成田奈緒子さん。著書に「高学歴親という病」「発達障害と間違われる子どもたち」「山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る」など
学歴偏重主義について
「子どもの性格や能力・人格・体調などを全部鑑みた上でより良い環境が与えられると思えるのであれば、中学受験は大変意義深い。一方で、いつの間にか子どもではなく“学歴”を見つめてしまうことが一番怖い」
「少しでも偏差値の高い学校に行ったり、名の知れた大学に行ったりすると、『子どもが幸せになるんじゃないか』という考えになりがちというところが、“学歴偏重主義”になるのかなとは思う」
と、小児科医の成田奈緒子さんはおっしゃいます。
子どもの病気・いじめについて
また、中学受験に向けて進学塾等で勉強するにおいて、健康面や人間関係などで様々なトラブルがよく起きているとのこと。
病気・ストレス
- 急に全身の色々なところに症状として現れる
- 塾や模擬試験に向かおうとするとお腹が痛くなって下痢が止まらなくなる、吐き気がひどくなって家を出られなくなってしまう
- ストレスが溜まり、爪がボロボロに無くなってしまうくらい噛んでしまう。また、髪の毛を引っ張って抜いてしまい円形脱毛ができてしまうことも
いじめ
- 厳しい競争の中、塾の中でクラスが下がったストレスを、上のクラスの人に八つ当たりする
- その逆に、上のクラスの人が下のクラスの人をいじめる
- 親の知らないところで、他人をストレスのはけ口にしてしまう
- いじめは本当にたくさん聞いている
家庭など
- 夜遅くまで勉強に打ち込むことで睡眠不足に
- それがイライラにつながり悪循環に
【子どもの脳】「受験をする」と言ったとしても、自分で考えて決断したとは思わない方がいい
ここまでの話を聞いて……
と、思う方もいますよね。
実は、ここに子どもの脳の発達が関係しているようです。子どもの脳は、まだ大人のように機能していないのです。
小児科医の成田奈緒子さんは、番組内でこうおっしゃっていました。
「子どもの脳の育ちの中で最も大切な『自分で考えて判断する』という前頭葉の発達は、およそ10歳」
「個人差はありますが、小学校4年生を過ぎてからようやく形成されるものなので、 (10歳よりも)前の時期に『受験する』と言ったとしても、それは自分で本当に考えて決断したものであるとは、親御さんは思わない方がいい」
小3ですが、思い当たる節が……
脳の発達のはなし、「大人と子どもは違う」というのは頭に入れておきたいですね。
子どもは小学生になると会話が急速に上達してくる子が多いので、つい大人と同じように話し合えると考えがちです。でも実際は、まだまだ成長過程というわけです。
ちなみに、わが家の息子は小学3年生で、塾には通っていません。ただ、ここまでの話を聞いて、思い当たる節がありました。
中学受験とは関係ありませんが、低・中学年の小学生に……
「あんた、約束したのになんで守られへんの!💢」
と、子どもを責めるのは無理筋なんだなと思いました。押し付けはできても、本人は腹落ちしていない。
✔︎【子どもの脳】『自分で考えて判断する』は10歳から育まれる #10歳 #小学4年生
— パパやる (@papayaru) August 23, 2023
高校生から自主的に勉強すれば、自分が望んだ学歴に到達できる
では、どうすればいいのか? 成田奈緒子さんは、子どもにあった環境が選べる点において中学受験は悪くないとする一方で、学歴については以下のように述べています。
「いい環境の中で、のびのび育っていく中で、『自分の夢を叶えるためにはあの大学に行きたい』と。高校生くらいからガリガリと勉強を自分で自主的にするようになれば、長い目で見た時に学歴が自分の望んだように到達できる仕組みになっている」
「そこまで見据えて、長い目で見据えて、短期的な視点ではなくて中長期的な視点でお子さんを見据えていてあげるといいなと思います」
Ameba ヒルズ、Yahoo! コメントをご覧ください
以上、僕の感想を交えつつ、番組をかいつまんでご紹介しました。
実際の放送では、成田奈緒子さんのお話に加えスタジオトークもあり、中学受験界隈を客観的に俯瞰できる良い内容でした。
スタジオトーク
- 中学受験は特権階級の入り口になっている
- 親が医者であったり、テレビ局や新聞社で働いていたりで、「特別なコミュニティーに入れたい」という親の想いに子どもが振り回されていたら辛い
- 小学生でいじめに遭い、回避的なかたちで中学受験をする子もいる
- 大学や大学院は国際的にも通用するので、学歴はあった方が良いと思う
- 北欧では25歳以上で大学に入る人がほどんどなので、18歳の入学にこだわらなくてもいい
- 他に得意なことが無い子にとって、学歴は救いになる
1週間までは無料で見られるのかな? そのあとは有料会員に入ってみるか、それとも一部がYouTubeに公開されるかと思います。ご興味がある方は、ぜひフルでご覧ください。
また、この記事はYahoo! ニュースにも掲載されていて、ヤフコメ欄が非常に盛り上がってます。こちらも、あわせてどうぞ。
ヤフコメの中でも、個人的には社会心理学者・碓井真史さんのコメントには特にグッときました。
小学生にとって大切なこと(発達課題)は、劣等感をもたずに、計算や作文や行事で頑張ることの楽しさを知ることです。たとえ知識量を増やしても、劣等感を強めたり勉強嫌いになったりしては、その先の人生で困ります。
(中略)
中学受験をさせるなら、良い受験にしましょう。その子にとってちょうど良いチャレンジになること。
Yahoo! ニュースより引用
子どもが主体的に取り組む高校受験・大学受験とは異なり、中学受験は親が段取りをすることが多いです。子どもに親の想いを押し付けてしまったり、子どもの気持ちを置き去りにしたりしないよう、心掛けたいですね。
中学受験を目指しているご家庭においては、子どもの心への向き合いや意志の確認は、常時行っておくと良さそうです。子どもの心や親子関係を壊してしまいませんように。
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