「妊娠初期に栄養素「葉酸」は必須なので、妊活中から積極的に取っておくように」
葉酸(ようさん)に関する、上記のような話を聞いたことがある方はいらっしゃいますか? 2000年以降に妊娠・出産経験がある方にとっては馴染みのある話題かと思いますが、出産未経験者にとっては、知らなかったという方も多いでしょう。
- なぜ妊娠初期に葉酸が必要なのか?
- なぜ妊娠前から葉酸を採るべきなのか?
今回のパパやるでは、妊婦にとって大切な栄養素「葉酸」についてお伝えします。
葉酸とは? 水溶性のビタミン
葉酸とは、ビタミンB群のひとつで、肉、魚、野菜、穀物、豆など、あらゆる食材に含まれています。葉酸は、血液(赤血球)をつくるのに役立ち、細胞の再生を助けます。
妊婦に限らず、葉酸は常に必要な栄養素のひとつなのです。
成人が一日に必要とされる葉酸の量は、200μg(マイクログラム)。ふつうにバランス良く食事をしていれば、自然に摂ることができる量です。
ちなみに葉酸は水溶性ですので、まとめて摂ることはできません。逆を言うと、仮に葉酸を過剰摂取してしまったとしても、尿などで排出されます。必要な分を毎日摂り続けることが大切なのです。
葉酸は、なぜ妊娠初期(超初期)に必要なのか?
精子と卵子が出会ってできた受精卵は、子宮内膜に着床(ちゃくしょう)し、細胞分裂を繰り返しながら妊娠6〜8週目頃に胎芽(たいが)、妊娠8〜10週目頃に胎児(たいじ)へと成長して行きます。
このとき、赤ちゃんの脳や脊髄(神経幹)が作られるのですが、それを助けるのが葉酸というわけです。もし葉酸が不足していると、脳や脊髄がうまく成長できず、二分脊椎症や無能症などの先天性異常のリスクが高まります。
また、葉酸はダウン症を予防する効果があるとも言われています。
欧米では、小麦粉、パン、パスタなどに葉酸添加が法律で義務化されていますが、日本では世界に遅れること2000年に、厚生労働省が妊娠を計画している女性に対して、神経管閉鎖障害の発症リスク低減のため葉酸を摂取するよう呼びかけました。
産婦人科など病院によっては、妊娠がわかった時点で、葉酸のサプリメントが処方される場合もあります。
非妊娠中の成人が一日に必要とされる葉酸の量は「200μg」ですが、妊娠予定の女性に対してはその倍の量の「400μg」の摂取を推奨しています。
<厚生労働省推奨 葉酸摂取量>
・非妊娠の成人 – 200μg
・妊娠予定の女性 – 400μg
葉酸は、なぜ妊娠前から採るべきなのか?
葉酸は、受精卵から胎芽、胎児へと成長して行く過程で特に必要な栄養素。妊娠0週目の超初期から採っておきたいので、妊娠に気づいてからだとすでに週数が進んでいて遅いからです。
そのため、妊娠を計画している段階から、積極的に葉酸を摂るよう呼びかけられています。
葉酸が多く含まれる食材ランキング(野菜、豆)
さて、葉酸はどうすれば摂取できるのか? サプリメントで補うのも良いですが、せっかくなら葉酸が多く含まれている食材・食品を知っておいて、美味しく食べてカラダに取り入れたいところ。
葉酸は、牛・豚・鶏のレバーにかなり多く含まれています。レバーは葉酸だけでなく鉄分も豊富で、血液が必要な妊婦にとっては理想的なのですが、レバーに含まれているビタミンAを摂りすぎると、奇形のリスクが高まると言われています。適度に摂る分には問題ありませんが、ここでは、野菜と豆類から、葉酸を多く含む食材をご紹介します。
【豆類】葉酸含有ランキング
- 枝豆 – 260
- 大豆(だいず) – 230
- 小豆(あずき) – 130
- そら豆 – 120
- ひよこ豆 – 110
ランキングには含めていませんが、大豆を原料とした「きな粉」「納豆」も、かなりの葉酸を含んでいます。ちなみに、枝豆は成長すると大豆になります。同じものなんですね。なにかとスゴイと言われる大豆パワーは、妊婦さんにとっても優秀!
【野菜類】葉酸含有ランキング
- モロヘイヤ – 250
- パセリ – 220
- 芽キャベツ – 220
- ほうれん草 – 210
- 菜の花 – 190
- アスパラガス – 180
- 小ねぎ – 120
- サニーレタス – 120
- ブロッコリー – 120
- わけぎ – 120
- オクラ – 110
モロヘイヤは、比較的近年知られるようになった夏野菜。20数年前に日本に輸入され始めたのですが、栄養分析を行った研究者が、あまりの数値の高さに間違ったのでは無いかと驚いたという逸話もあります。日本で年中スーパーに並んでいる食材で優秀なのは、ほうれん草! ほうれん草は、鉄分やカルシウムも豊富に含まれているので、胎児の成長をしっかりサポートします。葉酸を含む野菜は数多くありますので、好きな野菜をモリモリ食べましょう!
*食品100g当たりの葉酸の含有量
*単位:μg(マイクログラム)
*スーパーで手に入りにくい材料は省いています
*参考 – 簡単!栄養andカロリー計算
摂りすぎ、偏りはダメ。栄養バランスを大切に
ただし、上記の食材は摂れば摂るほど良いかというと、そういうわけではありません。例えば、大豆、および大豆を原料とした食品に含まれている大豆イソフラボンの摂りすぎは、妊婦や子供に対しては推奨されていません。
妊婦についてはどのくらいの大豆イソフラボンの摂取であれば胎児に影響がないのか、現時点では科学的に明らかになっていません。
そのため、子どもや妊婦が、日常の食生活で食べている「伝統的な大豆食品」に加えて、特定保健用食品などにより、日常的な食生活に上乗せして大豆イソフラボンを摂取することは、推奨されていません。
厚生労働省:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A より引用
大豆に葉酸が含まれているからといって、大豆、納豆、豆腐、豆乳、きな粉……など、大豆製品ばかりを過度に摂りすぎるのは良くないということです。
何事も適量。バランスのよい食事を心かげましょう。
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