東京の子育て支援は、全国でも群を抜いていると感じることが多いです。
僕は大阪出身で、18年前に東京に移り住みました。現在10歳の息子が一人おり、結婚も子育ても始めたのは東京に来てからです。そのため、他府県との違いを直接実感したわけではありませんが、「子育て支援の実行力と迅速さはすごい!」と感心することが度々あります。
これは、2016年に東京都知事に就任し、現在3期目を務めている小池百合子さんの実行力によるものが大きいのではないかと考えています。
もちろん、都庁を支える優秀なスタッフの存在や、豊かな税収、そして都内の各市区町村の努力という背景もあると思います。また、少子化対策が求められる時代背景もあるのかもしれません。ただ、出生率の低下が問題視され始めたのは1989年の『1.57ショック』以降のことなので、今に始まったことではありません。
そうしたことから、歴代の都知事と比べ、小池知事は積極的に子育て支援に取り組んでいると感じるのです。ありがたや〜。
過去30年の歴代東京都知事
- 鈴木俊一(〜1995年)
- 青島幸男(〜1999年)
- 石原慎太郎(〜2012年)
- 猪瀨直樹(〜2013年)
- 舛添要一(〜2016年)
- 小池百合子(2016年〜現職)
今回の記事では、東京で子育てする僕(父親)が、東京の子育て支援の凄さを感じたままに書いていきます。抜けているところもあるかと思いますが、肌で感じた実感重視で。
待機児童対策がすごい! 過酷な保活が解消された
うちの息子が生まれたのは、2014年4月。
当時はすごい保育園不足で、厳しすぎる保活に勝ち抜かないと保育園に入れませんでした。夫婦共働き家庭が増える中、保育施設の数が圧倒的に足りなかったためです。
僕たちは世田谷区で暮らしていますが、当時の世田谷区は日本一の保活激戦区と言われ、並々ならぬ努力をしないと保育園に入れなかったのです。
わが家の保活
- 0歳児クラスで入園しないと入園枠がほぼ無いので、育休は数ヶ月で切り上げて仕事復帰
- 認可保育園に入るためには、認可外保育園での預かり実績が必要
- 認可外保育園に入るための見学予約が取れない。超人気ライブのチケット争奪制ばりの激しさ
- 認可外保育園の保育料は13〜14万円だった(近所では平均的な料金)
- 認可保育園も有料(所得に応じて金額決定)
……など、0歳児の赤ちゃんを抱っこしながら、激しすぎる保活に翻弄されました。
保活のために十分な育休が取れず、仕事復帰しても時短勤務で給与は下がる。そんな中、認可外保育園は月額13〜14万円。
それが、小池さんが2016年に都知事に就任してから、待機児童数が激減! 4年後には10分に1ほどになりました。保育施設の整備や拡充、保育士の待遇向上や復職支援などを行っていましたね。
年度(各年4月1日現在) | 待機児童数 |
2015年(平成27年) | 8,466 |
2016年(平成28年) | 8,586 |
2017年(平成29年) | 5,414 |
2018年(平成30年) | 3,690 |
2019年(令和元年) | 2,343 |
2020年(令和2年) | 969 |
2021年(令和3年) | 300 |
2022年(令和4年) | 286 |
2023年(令和5年) | 361 |
「018サポート」0歳から18歳のこども全員に年間最大6万円支給
2023年、当時の内閣総理大臣である岸田首相が「異次元の少子化対策」を表明しました。
異次元という言葉に驚いたものの、数ヶ月経っても具体的な政策が発表されませんでした。「人気取りのための発言だったのかも」と、モヤモヤしていた頃に……
何の前触れもなく、東京都が同年夏に子供・子育て支援「018(ゼロイチハチ)サポート」をスタートさせたのです。
都内在住18歳以下の子どもが対象で、一人当たり月額5,000円(年間最大6万円)が支給されます。
しかも、所得制限はありません。申請するのは親ですが、支給対象者は子どもだからです。「こどもに支給するね。でも、まだ未成年だから、申請するのは保護者ね」というわけです。
「東京都は無言実行。すげぇ!」と、僕は驚きました。
お金配りではあるのですが、煩雑な所得制限を設けず「子ども全員」というところや、何も言わずにサッと実行するあたりが、気持ちが良いなと感じます。
高校の授業料が無償化! 都立(公立)も私立も対象で、所得制限も無し
2024年度から、東京都では高校の授業料が無償化になりました。
それ以前は、世帯年収910万円以下を目安に「国の就学支援金」「東京都の補助金」が支給されていました。この所得制限を撤廃し、東京都内在住のすべての高校生が実質的に授業料無償化されたのです。
小学校・中学校は公立であれば無償です。それに続く高校も無償化となったのです。
高校無償化については、うちの子はまだ小学4年生(10歳)で、実際に支援を受ける手続きなどをしたわけではないので、詳しくは東京都ホームページをご確認ください。
公立小中学校、給食も無償化!
高校の授業料無償化と同時期に、都内の公立小学校・中学校の給食の無償化も進められました。
これは東京都がすべてを負担するわけではなく、都内の各市区町村が給食無償化をする場合、都が半分を支援するというものです。また、この都からの支援金は、今後拡充すると発表しています。
うちは世田谷区の公立小学校ですが、確か2023年度から無償になりました。あと、最新のニュースによると、2024年度3学期より小金井市と日野市が給食無償化をすると公表し、これで東京都内の全区市町村の「給食費無償化」は実現することとなります。
世田谷区の場合、給食費は月に4,000円台でした。夏休みなどの長期休みを除くと、年間おそよ3〜4万円ほど支払っていたと思います。
2022年度 世田谷区の給食費
- 1〜2年生 244円/1食
- 3〜4年生 272円/1食
- 5〜6年生 294円/1食
東京都立大学の授業料も無償化! 世帯年収910万円未満は全額免除に
2024年度から、大学の授業料も無償化されました。
これは東京都立大学が対象(*1)となるのですが、これまで世帯年収478万円未満が対象だった授業料全額免除の所得制限が広がり、世帯年収910万円未満の学生の授業料が無償になりました。
詳しくは、東京都のホームページをご確認ください。
*1. 【支援対象者】「東京都立大学の学部生、博士前期課程、法科大学院及び助産学専攻科の学生」「東京都立産業技術大学院大学の専門職学位課程の学生」「東京都立産業技術高等専門学校の本科4、5年生及び専攻科生」
保育園も無償化! 2025年10月から、第一子も対象に
こちらは最新のニュースです。各ニュースメディアの報道によると、2023年度から第2子から保育園が無償化されていましたが、さらに2025年10月より対象が拡充し、第一子から無償化になるとのこと。
これにより、保育園が完全無償化となります。
うちが世田谷区内の認可保育園(公立)を利用していた際、保育料は収入に応じて月額0円から10万円近くまでかかっていたと思います(不確かですいません)。それが無償とはすごいです!
東京都が保育料無償化の第1子への拡充を、2025年10月から始める方向で検討していることが29日、関係者への取材で分かった。都は23年度から第2子の保育料を無償化し、小池百合子知事が今年7月の知事選の公約で拡充を掲げていた。
東京は、働きながら子育てがしやすい街!
以上、僕自身が特に印象の残った、東京都による子育て支援を振り返ってみました。
これは、2016年に小池百合子さんが東京都知事に就任してから、わずは8年間の出来事です。すごい実行力だし、とにかく迅速! 政治って時間がかかるものだと思っていたのですが、まるでロケットが発射されたような爆速であらゆる支援が繰り出されていくのです。
もし「東京は何でも高くて、子育てがしづらい」と思っている方がいたら、それは昔のイメージかもしれませんね。今はすごく子育てがしやすいと感じます。
また、子育て支援は都だけでなくく、国や市区町村や実施するものもあります。
国が実施するものとしては、「育児休業制度」は最長2年まで延長可能になり、父親も産休がとれる「産後パパ育休制度」もはじまりました。また、2025年4月からは、夫婦で14日以上の産休をとった世帯に向けた「出生後休業支援給付」や、時短勤務で給与が下がった方を支援するための「育児時短就業給付金」もスタートします。
また、市区町村による「医療費助成制度」もあります。これは健康保険で病院にかかった際にかかる医療費やお薬代が無償になる制度です。世田谷区では高校生まで所得制限無しで無償です。期間については、市区町村によって差があります。
他にもいろいろとあり、とにかく子育てにかかる費用をすごく支援してくれているのです。
東京都の子育て支援、国の子育て支援、各市区町村の子育て支援、これらを合わせると「働きながら子育てしやすい環境づくり」の姿が見えてきます。
土地が高い以外は、すごく満足
最後に、ひとつ余談。
良い面ばかり言いましたが、住宅に関しては厳しいものがあります。なぜなら、東京は地価がものすごく高いからです。
僕は大阪府岸和田市出身なのですが、今暮らしている世田谷区と比較すると、地価は約10倍でした。世田谷区で家を購入すると、3LDKのマンションで1億円、戸建てで1.5億円以上するイメージです。賃貸にしても、3LDKは安くても家賃20万円、30万円超もまったく珍しくはありません。
わが家は狭小賃貸住宅で暮らしているのですが、なかなか引っ越せずにいます……。
ただ、東京は広いし、公共交通網がかなり張り巡らされているので、都心から少し離れて暮らすのも良いと思います。住宅費を抑えつつ、東京の子育て支援を受けられるので。
すでに子育てをはじめている方は転園・転校などが発生するので引っ越すハードルが高くなりますが、まだ乳幼児であったり、これから子育てを検討している方は、東京都全体を見渡して暮らす場所を考えてみるのが良いかもしれませんね。23区に限らず、素敵な街はたくさんあります。個人的には、水道水が100%地下水のミネラルウォーターという昭島市が気になっています。美味しい水が毎日飲めて、自然にも恵まれ、都心へのアクセスも便利。結構良さそうなんです。何でも揃うと言われる立川も近いしね。
ということで、今回は以上です。
東京都の子育て支援はすごいし、小池百合子都知事の実行力もすごい、という話でした。
東京で子育てしようか迷っている方の参考になれば幸いです。