産前・産後の夫、およそ10人に1人がうつ(鬱)になることが、初めての大規模な調査・分析でわかりました。
妊娠中のマタニティ・ブルー、そして産後うつ。
産前・産後の女性は、ホルモンバランスの急激な変化などの影響により、気分が落ち込んだり、意欲が低下したり、うつになったりしやすいことが知られています。
それはこれまで女性特有の問題だと思われてきましたが、男性にも起きていることがわかったのです。
妻の出産 夫もうつ状態
読売新聞は2019年8月22日朝刊で、「妻の出産 夫もうつ状態 獨協医大など研究 1割該当」というニュースを報じました。
産前産後の妻がいる男性の約1割が、うつ状態にあるとする分析結果を、独協医大などの研究チームがまとめた。妻の妊娠・出産に関連した男性のうつを大規模に分析したのは初めて。これまで女性だけの問題と思われていたが、男性にもサポートが必要な可能性があるとしている。
読売新聞 2019年8月22日朝刊より引用
延べ4万9,000人のデータを分析したとのこと。調査対象は、妊娠中か出産後の妻がいる男性。
男女比較、鬱になる時期と割合
- 妊娠中 8.5%
- 産後1か月以内 9.7%
- 産後1〜3か月 8.6%
- 産後3か月〜半年 13.2%
- 妊娠中期 14%
- 妊娠後期 16.3%
- 産後1か月以内 15.1%
- それ以降 11%台
男性と女性、鬱になる時期が違う
比較を見てわかるように、男性と女性とでは「うつ状態」になる時期に違いがあります。
女性は、妊娠中と産後1か月がピークです。主な原因は「ホルモンバランスの乱れ」や「ストレス」だと言われています。
しかし男性は、産後3か月から半年がピークとなっています。
男性は妊娠・出産をするわけではないので、ホルモンバランスが乱れることはありません。では、なぜ男性がうつになるのでしょうか。
男性が、産後うつになる原因
読売新聞の記事では、男性がうつになる原因として、以下の2つの理由を伝えています。
- 父親として期待される役割に重圧を感じた
- 育児と仕事の両立に困難を抱えた
男性は、実際に育児が始まって数か月が経ってから、うつになる方が多いようです。つまり、生活環境の変化により心や身体に強い負担を覚える、ということです。
セックスレスによる喪失感も原因?
記事には書かれていませんが、「セックスレスも原因があるのではないか」と、僕は思います。
産後、多くのご夫婦は一時期セックスレスになると言われています。
なぜか?
それは、「プロラクチン」というホルモンが関係しています。
授乳中の女性は、「プロラクチン」いう乳汁分泌ホルモンが大量に放出されます。このプロラクチンは母乳を分泌すると同時に、排卵を抑え、性欲を抑制する作用もあるのです。
なぜ、性欲を抑えるのか?
もし、授乳中に妊娠すると母乳が止まってしまいます。現代は粉ミルクがありますが、昔であれば、それは赤ちゃんの死につながるからです。
産後、セックスレスになるのは仕方がないことなのですが、男性にはそれが理解できず、「妻との愛が無くなってしまった」と喪失感を覚えることがあるのです。
こうしたことも、うつを促進していると言えるのではないでしょうか。
男性も産前産後に鬱になりやすい、と知っておくことが大切
対策としては、「産前・産後の夫、およそ10人に1人がうつになる」と知っておくことが大切です。
これにより、鬱を見落とすリスクを減らすことができます。
精神的につらくなったとき「俺は鬱ではないか」と考えられたり、妻が「夫の様子がおかしい、鬱ではないか」と気づけたり。
もし、男性の産前産後うつを知らなければ、何が原因かわからず苦しみ続けることになるかも知れません。
うつ病は、早期に治療することが大切だと言われています。軽症の時期に早期治療にかかれるよう、男性の産前産後うつについて、まずは知っておきましょう。
うつ病かも知れない……
最後に、塩野義製薬と日本イーライリリーがうつ病について啓発を行うウェブサイト「うつ病 こころとからだ」に掲載されている、うつ病のサインをご紹介します。
うつ病は、自分で気づかないことがあります。家族や周りの人が、以下のような「いつもと違う」と感じたときは、うつを疑ってみてください。
参考:うつ病のサイン
家庭におけるうつ病のサイン
- 元気がない
- ぼんやりしている
- 食欲がない
- 以前からの趣味に興味を示さない
職場におけるうつ病のサイン
- 作業の能率が下がる
- ミスが増える
- 集中力が低下している
- イライラしている
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