子どもの過失はどこまで親の責任か。監督責任について注目の裁判が、まもなく最高裁で判決。

子どもの過失はどこまで親の責任か。監督責任について注目の裁判が、まもなく最高裁で判決。

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子育て中の親にとって、注目の判決が来月でます。

争いの発端は、11年前。

当時、小学6年生だった男子児童が、小学校の校庭で友だちとサッカーボールを蹴ってフリーキックをして遊んでいたところ、ボールが学校のフェンス(1.2メートル)を越えて、道路に飛び出してしまいました。

そこをバイクで通りかかった、85歳の男性がボールを避けようとして転倒。そして骨折。この怪我が原因で寝たきりとなり、1年半後に肺炎で死亡しました。

<遺族側の主張>
両親には、周囲に危険を及ばさないように遊ぶよう、少年を指導する義務があった。ボールが公道に飛び出す危険性は十分認識できたはずで、教育不十分。

<児童側の主張>
一般家庭並みの教育やしつけはしていた。親として必要な監督義務は果たしており、責任は免除されるべきだ。

2審判決、児童の親に1,100万円の賠償を命じる。

裁判所の2審判決は、「児童の両親に1千100万円の賠償を命じる」というものでした。

民法では、「責任能力を果たせない者の過失は、監督者が代わりに責任を追う」と定められています。責任能力を果たせない者とは、子供であったり、痴呆症や認知症など介護が必要な方であったりなど様々です。

この場合、「小学6年生の児童本人に過失がある。しかし賠償能力がないので親がそれを支払いなさい」と、裁判所が判断したということです。

これ不服として、事故から11年を経て最高裁へ。

小学校6年生だった児童は、現在は22〜23歳でしょうか。事故から11年の時を経て、ついには最高裁判所で争われることとなりました。

最高裁判所とは、2審判決をくつがえすことができる、日本における最上位の裁判所です。ここでのジャッジは最後の判断となります。

判決は、来月2015年5月9日におこなわれる予定です。

■参照記事

皆さんは、どう考えますか?

いずれにせよ、人の命が失われる切っ掛けとなった悲しいできごとです。

85歳という高齢でバイクに乗っていたということは、お元気な高齢者だったのでしょう。遺族の皆さんは、事故により突然寝たきりとなった男性をみて、さぞ辛かったかと思います。

また、小学6年生から11年間、「ぼくは人の命をうばった加害者なのか……?」と思い悩みつづけた、男性の心中も辛いことでしょう。

この出来事に対して、皆さんはどう考えますか。

  • そもそもフェンスが1.2mって、低すぎたのではないか。
  • 学校での事故なので、責任は学校側にあるのではないか。
  • お元気とはいえ、高齢者のバイク運転は危険ではなかったか。
  • 親は一体どこまで子供の責任を追わないといけないのか。
  • 子供の過失は妥当。
  • 亡くなった男性は、ただ単に不運だったということなのか。
  • ……など。

もし最高裁判所での判断が、子供の過失・親の責任となれば。

最高裁判所で、児童側に過失があったと判決がくだされると、今後、親などの保護者は、子供たちの遊びや行動に大きな制限をもうけないといけなくなるでしょう。もちろん保護者だけでなく、小学校や中学校など学校側も、校庭の使い方を再検討しないといけなくなります。

  • 校庭をフェンスをものすごく高くする。もしくは完全に取り囲む。
  • 体育の授業から球技をなくす。休み時間も球技禁止。
  • 室外でのボール遊びを禁じる(野球、サッカー、テニス、ドッジボールなど)。

ところで、親の監督責任は、子供が何歳になるまであるの?

民法第713条で、こう定められています。

未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。 ”

未成年者といっても、知識が無い者に限るということです。これまでの裁判例では、おおむね小学生以下(12歳未満)は「知識を備えていないだろう」と判断されることが多いようです。

しかし、民法第714条にはこうあります。

“1. 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2. 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。”

子供で知識がなく賠償責任を負わない場合であっても、監督する者に賠償責任がかかるということです。監督者とは、たいてい「親」ということになります。ただし、中学生以上で知識を持っていると判断されても、賠償能力が無い場合は、監督する者(親)が賠償責任を負う場合があります。

結論としては、子供が成人(20歳)になるまでは親に監督責任があるということです。賠償については考え方が様々ですので、裁判沙汰になるということです。

注意点としては、これは民法ですので、刑事事件となる少年法とは、また別の話となります。

最後に。

前述しましたが、双方にとってとても悲しい事故だったと思います。

ただ、ぼくの小学生時代を振り返ると、むしろ校庭や公園だけに限らず、ちいさな道路でキャッチボールやボール蹴りなどをしていました。また、町中が遊び場で、鬼ごっこや探偵ごっこなど、ありとあらゆる場所で走り回っていました。

ときには大人に注意されることもありましたが、なんとなく許されていた時代のように思えます。

危険なことを排除してゆくのは当然かと思いますが、子供達がのびのびと外で遊べるような環境づくりはしたいですね。このまま排除し続けて室内ばかりになってしまうと、やはり子供達にとっては窮屈だと思いますので。