プレパパをパパと断言してはいけない理由。妊娠 = 出産ではありません

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最近、SNSでこういった投稿を見かけました。

  • プレパパに違和感
  • プレパパではなく既にパパ

妻などのパートナー妊娠中で、もうすぐ父親になる男性のことを「プレパパ」と呼んでいます。この言葉や表現に対して異議を唱えられています。その理由は「お腹のなかに命があるのだから、プレパパではなくもうパパなんだよ」ということです。

男性もパートナーの妊娠中から父親としても意識を持とう! というのは僕も賛成です。大切なことですね。

でも僕は、プレパパをパパと呼ぶのは、ちょっと乱暴だと思うのです。

今回は「プレパパはパパではなく、やっぱりプレパパで」としておきたい、僕の考えを書きます。

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妊娠には流産のリスクがある

母子手帳「妊娠中と産後の食事」
パパやる「母子手帳にも書かれている妊婦の葉酸摂取。染色体異常(先天性疾患)を防ぐため、妊娠前からの取るのが重要」より

僕が「プレパパはプレパパ」と言うのと同じく、「プレママはプレママ」と考えています。

なぜなら「妊娠=出産」ではないからです。

妊娠が出産に至らない理由は、主に「流産」があります。何事もなく無事出産できた方には、流産を意識しずらいかもしれませんが、実は流産率はかなり高いのです。

厚生労働省の統計によると、妊娠をした女性の約40%が流産を経験していると言われています。

流産の理由はさまざまです。稽留流産、切迫流産、不育症など。

「もうすぐママになれる」
「もうすぐパパになれる」

妊娠を喜ぶプレママ・プレパパの気持ちを、流産は無くしてしまうのです。

年齢別の流産率

慶應義塾大学医学部産婦人科の准教授、丸山哲夫さんが公表する「不育症診断と治療」に、流産率についての記述がありました。グラフを引用します。

画像参照元:http://jsog.umin.ac.jp/68/handout/3_2Dr.Maruyama.pdf
  • 20〜24歳 流産率 9%
  • 25〜29歳 流産率 11%
  • 30〜34歳 流産率 15%
  • 35〜39歳 流産率 25%
  • 40〜44歳 流産率 51%
  • 45歳以上 流産率 75%

母体が高齢になるにつれ、流産の頻度が上がっていますね。しかし20代の若い女性であっても、およそ1割が流産しているのです。流産は誰しもにありえるリスクです。

出産年齢の高齢化に伴う、出生前診断の増加

新出生前診断(染色体)の検査報告を受けに昭和大学病院へ。
パパやる「新出生前診断(染色体)の検査報告を受けに昭和大学病院へ」より

流産は妊娠初期に起きやすいリスクですが、妊娠後期にも無事に出産を迎えられないリスクはあります。

近年、晩婚化・出産年齢の高齢化にともない、先天性疾患を持つ胎児が増えているからです。先天性(せんてんせい)とは、生まれ持ってという意味です。ひとくくりに「障がい児」と言われることもありますが、そも疾患は様々です。

軽度の先天性疾患であれば、病気と上手く付き合いながら生きていくことができます。しかし、重度の先天性疾患であった場合、生涯に渡って完全介護が必要であったり、寿命そのものがわずが数年であったりすることがあります。

「先天性疾患を持った子どもであっても、ひとつの命だから大切にすべきだ!」

という考えもあると思います。

しかし、家庭的事情・経済的事情などから、重度の先天性疾患を持つ子どもを育てることができない家庭もあるのです。

先天性疾患は、妊娠中に行うエコー検査でもわかる場合がありますが、近年は染色体を調べる新型出生前診断(NIPT)が増えてきています。新型出生前診断(NIPT)は、母体の腕から注射器で少量の血液を採取し調べることができます。これでわかる先天性疾患は、「13トリソミー」「18トリソミー」「21トリソミー」です。

どうしてもお腹の赤ちゃんを諦めざるを得ない場合もあるのです。

赤ちゃんは産まれるまで何があるかわからない

妊娠が出産に至らない理由は他にもありますが、とにかく「妊娠=出産」ではありません。

記事冒頭にも書きましたが、妻の妊娠中から父親としての意識を高めておくのは大切です。でも外野が、パパだと決めつけるのは良くありません

もし何らかのトラブルや問題に直面したとき、「あなたはすでにパパなんですよ」と断言していた方は、どうするのでしょうか。

以上が、「プレパパはパパではなく、やっぱりプレパパで」とする僕の考えです。

プレパパ・プレママが使われ出した時期

「プレパパって、最近の言葉なのかな?」

最後に、ひとつ余談を。
プレパパ・プレママという言葉が使われはじめて時期についてお伝えします。

これに関してはGoogleを活用しました。Googleの「期間指定検索」で調べてみると、2000年代前半頃から一般的に使われ出した言葉のようです。産婦人科や行政でもプレパパ・プレママを使っています。

最近の流行語という訳ではなく、すでに20年くらい使われている言葉のようですね。

ちなみにプレ(Pre)とは、「以前の」「前の」の意味を持つ和製英語です。

用例としては、「プレオープン」や「プレ大会」。レストランのオープンを前に、関係者だけを集めた「プレオープン」をしてご賞味してもらったり、取材をしてもらったりするのが最近増えていますね。また、スポーツの世界でも、本番前の前哨戦として「プレ大会」というのもあります。

プレパパ・プレママは、すでに一般的な言葉と言えますね。出産前に無理にパパ・ママとせず、積極的にプレパパ・プレママを使えば良いと思います。