2〜7歳程度の小さなお子さんがいるご家庭、そして妊娠を希望している大人の男性は、特に要注意! 今年2016年は、5〜6年ぶりに「おたふく風邪」流行の兆しをみせていると、国立感染症研究所・感染症疫学センターが注意を呼びかけています。
流行性耳下腺炎(mumps:ムンプス、おたふくかぜ)は、ムンプスウイルスの感染を原因として発症する感染症である。
2〜3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て発症し、片側あるいは両側性の唾液腺(耳下腺が最も多い)のびまん性腫脹、疼痛、発熱を主症状とし、2〜7歳の小児に好発する。
不顕性感染が3分の1程度認められ、発症しても、通常は1〜2週間で軽快する予後良好の疾患であるが、無菌性髄膜炎をはじめ、髄膜脳炎、難聴、睾丸炎、卵巣炎、膵炎等の種々の合併症を起こす場合がある。
感染経路はヒト−ヒト間の飛沫感染、接触感染であり、特に保育施設等、ムンプスウイルスに免疫を持たない乳幼児の集団生活施設では、しばしば集団発生が認められている。また成人での発症例では、髄膜炎、精巣炎、熱性痙攣、難聴、膵炎などの合併症によって入院を要する例が比較的多い。
IDWR 2016年第23号 注目すべき感染症 「流行性耳下腺炎」2016年06月24日 より一部引用
保育園や幼稚園で流行しやすく、大人が感染すると睾丸が腫れて無精子症に
おたふく風邪は子供が感染しやすい病気ですが、大人に移ると厄介です。おたふく風邪に関して、トピックスをまとめましたので、サラッとご一読ください。
- おたふく風邪は感染症。ウイルスによって広がる。
- 特に、子供がかかりやすい。
- 感染ルートは、咳やくしゃみなどの唾、または粘膜の接触。
- 育児中の親は注意。感染した子供とキスをしたり、食器を共有したり、食べ残しを食べたりすると感染する。
- 潜伏期間は2〜3週間と、割と長い。
- 思春期以降の男性が感染した場合、およそ2割に睾丸炎(精巣炎)が発症
- 睾丸がひどく腫れ上がり、精子をつくる機能が破壊される
- 両方の睾丸に炎症が起きることは少ないので、無精子症(不妊症)になる可能性それほど高くない
- 赤ちゃんは様々な予防接種を受けるが、おたふく風邪のワクチンは任意扱い(自己負担)。摂取可能年齢はは1歳以降。
- おたふく風邪の特効薬はない。
感染症予防の基本ではありますが、まずは「手洗い・うがい」を丁寧に行うようにしましょう。最後に、大人の男性がおたふく風邪に感染・発症し、睾丸炎を併発した事例をご紹介します。
38歳の男性が感染した壮絶な記録