祭の人手不足を解消して、さらに寄付も集める2つのアイデア

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今、日本各地で「祭」が衰退しています。

すべてとは言いませんが、自治体や町内会への参加者不足や高齢化で、存続が危ぶまれている祭が多くあるのです。

「地域の結束を高めたい」
「地元の子ども達に、伝統の祭を受け継いでもらいたい」

その想いはあれど、現実問題として厳しい状況に直面しています。

これを解決する方法はあるのでしょうか?

この問題に歯止めを掛け、右肩上がりに盛り上げて行く秘策を考えてみました。今回は、祭の参加者を増やして、寄付も集めるアイデアをお伝えします。

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【問題発生】助っ人なしで祭ができる? 地元住民だけでは人手不足

日本の年間出生数(戦後から現代)

40年間で、子どもの数が半分以下になった

1970年代前半、日本の出生数は年間200万人を超え、毎年200万人以上の子どもが生まれてきました。しかし2016年から年間出生数が100万人を下回っています。わずか40年ほどの間に、一年間に生まれる子どもの数が半分以下になってしまったのです。

今の40代(団塊ジュニア世代)がかつて盛り上げてきた祭りを、今の10代・20代が引き継ぐというのは、超ハードモードの無理ゲーといえる状況です。

そこで「助っ人」という問題が起きてきました。

見物人として祭を眺めているだけではわからないのですが、他の地域から助っ人に来てもらっている祭が全国各地にあります。僕の地元、大阪府の「岸和田だんじり祭」も助っ人に頼っている町内会はありますし、今暮らしている東京都世田谷区でも、神輿の担ぎ手が足りなくて他の地域から応援に来てもらっているという話を聞いたことがあります。

地元の結束を高める役割を担っているお祭りですが、一体誰のための祭りなのか?

人手不足により、こうした問題が起きているのです。

もちろん、助っ人に来てもらった地域は、その地域への恩返し(取引)として、逆に助っ人に行く必要もあるでしょう。そうすると、だんじりを曳いたり、神輿を担いだりする人は、年に2回以上の祭に参加しないといけなくなり、負担が非常に大きくなります。

祭は、祭当日だけではありません。それに向けて何週間も前から準備や練習が必要です。さらに、町内会費や青年団費が必要だったり、祭のために仕事を休んだりバイトを減らしたりすることも必要でしょう。そこまで祭にお金も情熱も時間もかけられない人は、祭に参加できないのです。

人口は減るわ、参加可能な人も減るわで、まさに衰退スパイラル。

団塊世代・団塊ジュニア世代が広げた祭を、今の若者だけで受け継ぐには圧倒的に人手が足りません。

【お金を集める秘策】祭に寄付したくなる仕組みをつくる

寄付者名が入った祭の提灯

それでは、祭を右肩上がりに盛り上げて行くアイデアをお伝えしていきます。

祭には「お金」と「人」が必要です。
まずは、お金の集め方について。

寄付してくれた企業・お店の宣伝活動を行う

祭に寄付をしてれた方に対して、名前を貼り出したり、提灯して名入れをして灯したりする地域は多いと思います。

これをもっと強化するのです。

特に、企業やお店からの寄付に関してですが、このお金は「宣伝広告費」として経費から捻出してくれていると思います。この宣伝広告効果をグーンと高める努力をするのです。

たとえば、祭に寄付をして頂いた企業やお店の「割引クーポンシート」を作って、全町民に配布をします。配布方法は、回覧板に入れてまわしたり、町内一軒一軒のポストに入れて配ったり、お店に置いてもらったりします。

割引クーポンシートの存在により、地域住人は祭を応援してくれている企業やお店をより知ることになります。そうなれば、「一度行ってみよう」「ひいきしよう」という気持ちが芽生え、地域に愛されることにつながります。

また、地域外の方のために、町中に割引クーポンシートを設置しておいてもいいですね。見物のついでに掲載店でお金を使ってくれるかもしれません。

割引クーポンシートは、宣伝効果向上の一例です。祭や町内会の公式ウェブサイトがある場合は、そこで紹介したり、リンクを貼ったりしてもいいでしょう。

とにかく、寄付をもらうのを当たり前だと思ってはいけません。頂いたからには、しっかりそれに応える努力をします。

「えっ、こんなにしてもらえるの!?」

と、驚かれるくらいに。

もちろん、広告効果が得られれば、翌年は予算をアップしてもっと弾んでくれるかもしれません。

寄付してくれた個人に、感謝の意をもっと伝える

祭の寄付は、個人からも頂きます。

寄付のお礼として、タオルやうちわなどの粗品をお渡ししたり、名前を町会館の前に貼り出したり、提灯に名入れして灯したりする場合が大半だと思います。

このお礼の気持ちを、もっと高めるのです。

例えば、祭を撮影したDVDを作っている場合、オープニングで「スポンサー」として寄付頂いた方の名前を流します。従来の名前の貼り出しや提灯だけでは、寄付した事実が告知されるのは祭当日と開催前の数日間だけです。しかし映像に名入れすることで、形として名前を永遠に刻むことができるのです。

孫が大きくなって昔のDVDを見たとき、「あ、おじいちゃんの名前だ」という場面もありそうです。特に地元の名士からは喜んで頂けそうですね。

DVDは一例です。

祭への寄付を「例年のことだから」と、当たり前に集金したり、待っていてはいけません。生活費の中から捻出していただく気持ちを忘れず、感謝の意をもっと伝える方法は無いかと考えてみましょう。

【祭参加者を増やす秘策】プロモーション担当部署を設ける

テレビのプロデューサー

かつて、祭の多くは、五穀豊穣や先祖を祀るなど、地域のなかでひっそりと行うものであったと思います。しかし、新聞やテレビなどのメディアの出現により、祭が全国に知られるようになりました。

そうなれば、祭の目的は「集客」へと変わってきます。

2014年、日本経済新聞で「岸和田だんじり祭」のすごい経済効果について、記事になりました。

 


昨年9月の祭の波及効果は岸和田市で約25億円、泉州地域全体で約40億円だった。同研究所は「祭は文化の継承だけでなく、地域に大きな経済効果をもたらしているとみている。(中略)昨年の祭は台風の影響で観客が約46万人と少なかったが、例年通り観客数が約60万人であれば、岸和田市では約28億円、泉州地域全体で約46億円に達するとした。

昨年の岸和田だんじり祭、経済波及効果は約40億円:日本経済新聞より引用


 

■関連リンク
初の調査、岸和田だんじり祭りはドル箱!? 人口20万人の街に観客60万人。経済効果は40億円!:Swingin’ Thinkin’

 

祭は地域活性の大きな力を秘めています。

日本中から大注目されれば、ものすごい集客が期待できるでしょう。さらに日本は今、外国人観光客が急増していますよね。海外へも観光イベントとしてアピールできれば、集客は大爆発します。

世界中から見物人が集まり、経済効果はとんでもないことになるでしょう。

そこに欠かせないのがプロモーションです。町毎ではなく、地域の祭全体を統括したプロモーション専門の部署を設けるのです。

そのプロモーション部が、国内外のメディアへアプローチをします。テレビや新聞などのマスメディアだけでなく、雑誌、ウェブマガジン、インフルエンサー、インスタグラマー、ユーチューバーなど、影響力があるところへ。

「こんな祭をやっています。自由に掲載してもいい写真・動画素材をお渡しします。ぜひ媒体に掲載してください。あなたの取材もお待ちしています!」と。

だんじりを曳いたり神輿を担いだりする祭参加者にとって「現物人」は重要です。やっぱり見てくれる人がいるからこそ、やる気が増すのです。誰も見にこない祭では、力が入りませんよね。

逆に、何十万人、何百万人が見物に押し寄せ、世界中で話題になる祭だったらどうですか? 力が湧き上がってきますよね。

そんな人気の祭であれば、「俺もやりたい」「私も力になりたい」と、参加者はおのずと増えてくるでしょう。

【未来】地域のブランド力が高まり、祭が盛り上がって経済も潤う

祭が盛り上がると、地域の名前が世に知られます。そうすると「〇〇産」の、売り上げが伸びてくると考えられます。

たとえばスーパーへ買い物に行って、いろんな産地のトマトが並んでいるなかに、岸和田産のトマトがあったとします。もし、岸和田だんじり祭のことを知っている方であれば、手にとってみたくなるのではないでしょうか。

また、有名な地域にあやかって、〇〇を舞台にした映画やドラマも作られるかもしれません。そうなれば、ますますその地域のことが大勢に知られるようになります。

さらに、そこで暮らしている方は、地元をより誇りに思うようになります。

「結婚しても、その地域で暮らし続けたい、この街で子育てをしたい」

そう思う若者が増えてきます。また、地域外から引っ越してくれる人もいるかもしれません。

祭をきっかけに、地域のブランド力がアップし、経済が潤い、人も増えてくるのです。

やるなら今、目立つのは1番手!

金メダル

  • 寄付したくなる仕組みを作る
  • プロモーション担当部署を設ける

以上が、僕が考える祭文化を盛り上げる秘策です。

ただし、この効果を最大限に得るには、先陣を切ることが重要です。少子化時代において、右肩上がりに盛り上がっているお祭りというのは、「すごい祭だ!」と話題になります。

話題になれるのは、1番手です。

どこかの真似をしたような、2番手、3番手ではインパクトに欠けます。

「伝統の祭に変化は不要」という声があったり、しがらみがあって新しい取り組みがしづらい場合があったりすると思いますが、ジリ貧になるのが見えているようだったら、一刻も早く手を売った方が良いでしょう。

記事冒頭の話に戻りますが、

「地域の結束を高めたい」
「地元の子ども達に、伝統の祭を受け継いでもらいたい」

と思うのなら、変えて行く勇気が必要です。

【余談】祭にも育休を

本サイト「パパやる」は、男性視点の子育てメディアですので、メディアの立場から最後にひとこと。

祭は、人口減少・参加者減少の流れから、「辞めたい人への引き止め」を厳しくしている町内会や自治体もあると思われます。一昔前であれば、村八分的なのを恐れて、踏みとどまる人もいたでしょう。でも、今や地元にこわだらなくても生活できる時代ですので、そうした強制力は効果が薄いと思います。

ましてや、強制的な実態をネットで暴露されて炎上……というリスクすらあるでしょう。

それよりも、その逆の方針をとった方が得策です。

祭の戦力となる若者層が、祭に参加しずらくなるタイミングは「出産」「育児」です。

イクメンが叫ばれて久しい時代において、子育てより祭を優先するのは不可能と言っていいでしょう。

赤ちゃんが生まれたら、3年育休。

そんな制度があったら、参加に無理がなくて嬉しいのでは無いでしょうか。そして、「育休がある祭」としてメディアに取り上げられて、話題になって……。

最後の最後に。
大阪・岸和田の地元のみなさんへ。祭に参加せず、遠くから口だけすいません!m(_ _)m

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