昨今、若年層を中心にショート動画の人気が高まっています。
流行し始めてからすでに数年が経過していますが、TikTokに端を発し、YouTubeでも同様のショート機能が追加され人気を博しています。
HIKAKINらを筆頭とする日本最大のYouTuberマネジメント事務所「UUUM(ウーム)」は、YouTubeショートの台頭により、会社の身売りする事態に陥ってしまいました。ショート動画は通常動画に比べて広告(Google AdSense)の単価が低いため、いくら再生数が伸ばしても収益がさほど上がらないからです。
ところで、なぜ子どもや若者はショート動画を好むのでしょうか?
わが家の小学3年生男児の様子眺めながら、YouTubeショートばかり見る理由はこれではないか……と気づいたので記事にします。
YouTubeショートは広告が無いから(実際はあるけど簡単にスキップできる)
子どもがYouTubeショートを見たがる理由は、広告の表示方法の違いです。ショートに表示される広告は、スワイプするだけで簡単にスキップすることができるのです。通常動画のように5秒待ったり、終わるまで待ったりする必要はありません。
息子に聞いても「広告が出ないから」と言っていました。
実際はYouTubeショートにも広告はあるのですが、ユーザーが投稿したコンテンツと同様の形式で表示されるので、1秒も待たずして一瞬で広告スキップが可能。「あぁ、また広告!」とイライラさせられることなく、ノンストレスで動画を次々に見ることができるのです。
しかも広告クリエイターは、ショート動画に馴染むように、そしてスキップされないように、面白おかしくつくっています。視聴者は広告であっても違和感無くつい見てしまい、広告を見せられるストレスを感じにくいのです。
ただし、同じ広告が繰り返し表示されると、さすがに「うざい」と感じてしまいます。
自分でコントロールできず、強制されることがストレス!
人は、自分の意思とは無関係に強制させられることにストレスを感じます。
子どもに「勉強しなさい」と強要すれば子どもにストレスが溜まりますし、夫婦間でも「食器洗いして」と指示されたらストレスが溜まりやすよね。でも、自分で決めて行動すると強要されるよりもストレス度合いが減り、むしろ清々しい気持ちになることもあるしょう。
つまり、YouTubeショートに表示される広告の見る・見ない(スキップする・しない)は、ユーザーに委ねられているのでストレスを感じにくいのです。
一方、コントロールができないのは通常動画。特に最近は、Amazon Fire TV Stick やスマートテレビを使っての、テレビでYouTubeを視聴した際の広告はひどい! CMがすごく増えています。
- 「5本連続で広告が流れた」
- 「30秒スキップ不可の広告が流れた」
こういった声も上がり、コントロール不可でCMを長く強制的に見せられるようになっています。これまでは「2本連続」「15秒スキップ不可」だったのですが、それ以上にCMが強化されつつあるようです。
そんなこともあり、自分の意思で容易にCMがスキップできるYouTubeショートが、益々見られるようになっているのです。
若者はタイパ主義だからショート動画を好むは本当?
ところで、「若者はタイパ主義だからショート動画を好む」という説もあります。これは結果的にそうなっているだけで、広告配信の仕組みの違いが前提としてあり、若者達はショートへと誘導させられているというのが理由じゃ無いかと、僕は考えています。
大人であれば、広告を非表示にできるYouTube Premium(月額1,280円)に容易に加入できますが、子どもや若者の課金は難しいですからね。
たとえば、うちの息子はゲーム実況動画が好きなのですが、ショートだと得られる情報は限られています。攻略やノウハウを知るためには通常の長尺動画を見る必要があるのです。
過去20〜30年の間に子どもの性質が大きく変わってしまったと考えるより、「仕組みによりそうなっているように見える」「そうならざるを得なった」と考える方が自然でしょう。
YouTunbeのメイン動画ではスキップできない・しづらいCMが増え、一方のショートではCMスキップが容易に可能であれば、今後もショートの試聴回数は高まっていくことでしょう。いくらでも見られるので、まるで中毒のように……怖っ!(みなさん要注意で)