保育園に入れず職場復帰できない! 育休を最長2年に、国会で審議

育休こと育児休業とは、出産したあと、勤めている会社を辞めずに1年間仕事を休むことができる制度のことです。育児を行う労働者が、「職業生活」と「家庭生活」の両立ができるよう、1992年4月1日に施行された法律です(育児介護休業法)。

この制度のおかげで、雇用主は出産・育児を理由に解雇できなくなり、労働者は安心して育児を行うことができるようになったのです。

ただ、有給休暇と違い、雇用主は休んでいる期間の給与を支払う必要はありません。また労働者は、会社から賃金はもらえませんが、その代わり健康保険(社会保険など国民健康保険以外)やハローワーク(職業安定局)から、お金が支給されます。

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法律は社会状況に応じで変化する

育児休業ができた背景に、女性の社会進出があります。

1986年に男女雇用機会均等法が施行され、職業による男女差別が禁止されました。この法律により、性別を理由に就職させなかったり、昇進させなかったりができなくなったのです。

余談ですが、男女雇用機会均等法施行前の日本の社会では、25歳以上の女性に対して「売れ残り」のレッテルを当たり前のように貼っていました。『クリスマスケーキ理論』といって、クリスマス(25日)を過ぎたケーキは価値が落ち、割り引きされ、最後は賞味期限が切れて産業廃棄物。女性も25歳を過ぎたら、「まだ結婚しないのかね(寿退社せずに居座るのかね)」という圧力を掛けられていたのです。ひどい時代です……。

そんな男女差別が法律で禁止されたことにより、女性がキャリアップを目指すようになり、社会で活躍する女性が増え始めました。

ただ、働く女性にとっては、出産という大きな壁があります。企業が独自に長期休業を認めない限り、労働者は出産・育児を期に辞めざるを得なかったのです。

このままではダメだということで、男女雇用機会均等法から6年後に、育児介護休業法が作られました。

今は「保育園が足りない」という社会状況

近年、社会問題になっているのは、保育園不足です。

いくら育児休業があっても、その期間内に子供を保育園に預けることができなければ、育休期間が終わっても職場に復帰できません。そんな事態が起きているのです。

働く子育て家庭を守る方法は、主に以下のふたつがあります。

  1. 保育園を増やす
  2. 育児休業期間を伸ばす

今、1の保育園の新設や既存保育園の受け入れ園児の増加は進めていますが、都心部ではそれらで増えた枠以上に入園希望者が増え、待機児童数がさらに増加してしまった自治体もあります。

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このままでは働く子育て家庭を守れない、ということで、国会で「育児休業期間を最長2年に伸ばすべきだ」と話し合われています。

育児休業の取得期間を最長で2年に延長することなどを盛り込んだ雇用保険関連法案が衆議院で審議入りし、塩崎厚生労働大臣は、子どもが保育所などに入れない場合、直ちに離職を迫られないようにするために必要な法整備だとして、早期成立に理解を求めました。

(中略) 塩崎厚生労働大臣は、「子どもが保育園などに入園できないため、職場復帰を諦めて退職する方が一定数いると考えられることから、直ちに離職を迫られることがないよう緊急的なセーフティネットの整備を図るものだ」として、法案の早期成立に理解を求めました。

育休最長2年延長へ 雇用保険関連法案が審議入り 衆院:NHKニュース
(【追記】記事公開終了しました)

国や自治体が税金を投入している認可保育所に入れなくても、認可外保育園やベビーシッターがあるじゃないか! と思われる方もいるでしょう。しかし、認可外保育園の入園も激戦なのです。

さらに認可外保育園へ預けるのを常態とするのは、保育料負担が大きく、高所得者以外の利用は難しいのです。

東京都心部では、保育料は安くて月額10万円ほど。夕方遅め(19時)まで預かってもらったり、環境・設備が良かったり、駅近だったりすると、月額20万円もザラです。認可保育園から内定をもらうまでの一時的な預かり所として頑張れたとしても、ずっと利用するのは家計的には負担が大きいのです。

育休期間を伸ばすには、国家予算・自治体予算の確保だけでなく、雇用する企業にとっても2年間ブランクある人を戻すための体制づくりが必要でしょう。一筋縄では行かないかと思いますが、育休期間を2年に伸ばす法改正は、ぜひとも成立して欲しいです。

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