もし、夫から「専業主婦になって欲しい」と言われたらどうしますか?
これは「小さな子供がいる育児中の家庭」という仮定です。もし、あなたが男性であるならば、奥さんに「共働きを辞めて専業主婦になって欲しい」とお願いすると想像してみてくだささい。
夫婦共働きで「育児と家事」をシェアするのは大変です。毎日、時間に追われながら相当テキパキと動かないといけないでしょう。もし奥さんが専業主婦になれば「妻は家庭、夫は仕事」と持ち場を分担することができます(夫が専業主夫というパターンもありますが)。
どうでしょう。
女性は、専業主婦になりたいですか?
男性は、専業主婦になってもらいたいですか?
職場が辛い。仕事を辞めて彼に尽くしたい
アメリカで26歳の女性が「仕事を辞めたい」とインターネットの人生相談に投稿したら炎上した、という日経ビジネスのウェブサイトに掲載されている記事が話題になっていました。日本とアメリカの価値観の違いが面白く、ぜひ読んでもらいたいのですが、全3ページと長いので、かいつまんで紹介します。
■関連リンク
→ 米人生相談:「26歳女性ですが早期退職してもいいですか」に大波紋|日経ビジネス(【追記】記事公開終了しました)
<相談内容>
この相談した女性は現在26歳、ホスピスという終期末ケアを行う施設で働いています。職場での精神的な負担が大きく、ノイローゼの一歩手前だそうです。
「今、仕事を辞めて、同棲中の彼に掃除や掃除などで尽くしたい。このことは彼も賛成してくれています。でも、26歳で引退とは早すぎますか?」
という相談です。
<批判的な回答>
4,000を超える回答が集まり、そのほとんどが「仕事は辞めるべきではない」というアドバイスでした。一例を紹介します。
- 「今は精神的にまいってしまい、仕事をしたくないと思っているかもしれません。でも自分に負けたことになりませんか」
- 「仕事をしないというオプションは貧困の人生を選択するということです。精神的な病をさらに悪化させます。仕事を続けられる人は絶対に辞めてはいけないと思います」
<肯定的な回答>
わずかながら同調してくれるアドバイスもあったそうです。これは専業主夫(男性)からの一例。
- 「自分自身を破壊するほど追い込む必要はないはずです。金銭を得るという行為に馴染めない人はいるのです。パートナーが『家にいればいい』と言ってくれるのであれば、犬と一緒に森に散歩に出てください」
アメリカでは専業主婦はあり得ない! そうです
日本企業の株式会社ツヴァイが行なった、男女1,000人以上にリサーチした「結婚意識調査 2014」によると、結婚後……
- 専業主婦になりたい女性は39%
- 専業主夫になりたい男性は10%
という結果が発表されていました。日本人女性は総じて、専業主婦への意向が高いそうです。
■関連リンク
→ ツヴァイ 結婚意識調査 2014(【追記】記事公開終了しました)
日本では、育児をする父親のことをわざわざイクメンという言葉を使っています。でも、育児をする母親をイクジョとは言いません。この背景には「育児は女性がするもの、男性も育児参加して欲しい(すべきだ)」という想いが込められているのでしょう。
さて、再び日経ビジネスの記事の話に戻します。
アメリカでも、男性の多くは「妻に育児を見てもらいたい」と思っているのだそうです。しかし妻はそうは考えておらず、もし夫から「仕事を辞めて子どもの面倒をみてほしい」と言われたら、「仕事を辞めるくらいなら離婚して一人で子どもを育てる方を選ぶ」と、約75%の女性が答えているそうです。
事実、アメリカの離婚件数は日本より多いので、こういった事も背景にあるのでしょう。
「専業主婦になる」
↓
「社会復帰できない」
↓
「選択肢が無くなる」
↓
「リスク!」
ということなのかも知れませんね。
日本もいずれアメリカ化するかも
日本と比べ、アメリカはいち早く経済大国を経験し、さらに衰退(経済成長の鈍化も含む)も経験しました。日本は、1960〜70年代の高度成長期で世界第2位の経済大国になり、90年代初頭でバブル崩壊、現在は衰退期に入っています。
アメリカの映画などをみると、ホームパーティーをしている場面が良く出てきます。あれは歴史的、文化的な要因もあると思いますが、その背景には経済の衰退もあると考えれられます。
日本でも数年前に「宅飲み(たくのみ)」というのが流行りました。居酒屋やレストランなどへ行かず、コンビニやスーパーでお酒を買って家(自宅)で飲もう、という習慣です。この方が安上がりだからです。
そんな日本、アメリカのホームパーティー化に少し近づいていると思いませんか?
この他にも、ビジネス、ファッション、音楽、アートなど、日本はアメリカ後追いをしているように感じる部分が多々あります。
「夫に専業主婦になれと言われたら離婚する」という妻の発想は、今の日本人にとっては驚きかもしれません。しかし、この考え方もアメリカの後追いをし、数年後には「そうだね」と同感する人が増える可能性は多いにあるでしょう。
育児や家族のあり方は、同じ日本国内でも時代によって随分違います。ですので、「育児や夫婦はこうでないといけない!」という固定概念にしばられず、柔軟にとらえて、考える。これこそが、これからの日本人に求められている事ではないでしょうか。