文部科学省は、いじめ・暴力問題についての調査報告書を公開しました。
2022年(令和4年)10月27日付の「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、小学生・中学生・高校生の中で暴力行為がもっとも多いのは中学1年生だということがわかりました。
以下、学年別の加害児童・生徒数のグラフです。

多い順
- 中学1年生 10,668人
- 中学2年生 8,201人
- 小学5年生 6,666人
- 小学3年生 6,260人
- 小学2年生 6,079人

*暴力行為は、対教師暴力・生徒間暴力・対人暴力・器物破損が含まれます。また、学校の管理下、管理下以外のいずれも計上しています(器物破損のみ学校の管理下で起きた場合のみ計上)。
割合では小学生が最多、暴力行為が年々増えている

中学1年生・2年生での暴力行為が多いことは、先ほどのグラフでわかっていただけたかと思います。
もうひとつ、あわせて知っておきたいのが小学校での暴力行為の発生件数が右肩上がりだということ。令和2年に少し減少していますが、これはコロナ禍による緊急事態宣言による休校の影響。ずっと増え続けているのです。
小学校は急増、中学校は減少傾向です。
暴力行為の発生率についても、令和3年度で初めて小学校は中学校を上回りました。
1,000人あたりの暴力行為件数
- 小学校 7.7人
- 中学校 7.5人
- 高等学校 1.2人


「子どもが荒れるのは中学生から」は古い感覚

思春期を迎える前の子ども(未就学児・小学校低学年頃)の親としては、「中学生から荒れてくるのだろな」という感覚を持っている方は多いのではないでしょうか。
僕は大阪府岸和田市というところで生まれ育ったのですが、小学生の頃は悪い奴といってもヤンチャ坊主程度。中学校に上がった途端、ど不良だらけでビビりました! おとなしくやりすごそうとしていた僕でさえ、部活の先輩から殴られるのは日常。ケンカっぱやい子は、タイマンや他校との決闘もよくしていましたね。
また、当時は先生も指導と称して暴力を行使していて、体育の先生は1メールほどある巨大しゃもじ、技術家庭科の先生は角材を使って、フルスイングで生徒の尻をビシバシ殴りまくっていました(のけぞるほど痛くて、しばらく椅子に座れないほど)。
今の時代は、不良も流行りませんし、先生が暴力を振るいまくることもありません。昔と比較すると穏やかな中学校生活なのではないかと思います。しかし、年齢的には思春期を迎え、いわゆる第二次反抗期が起きる時期。
「荒れるのは中学生」
そんな風に思ってしまがちです。
しかし近年は小学生なのです。親として「まだ小学生だから」と、うっかり油断しないよう認識を改めておく必要があるでしょう。
都道府県別・小中高暴力行為発生ランキング

文部科学省の調査報告書では、「都道府県別の暴力行為の発生件数及び1,000人当たりの発生件数」も掲載されています。資料を参考に、1,000人当たりの発生件数の多い順・少ない順をご紹介します。
地域によって、かなりの差があります。
多い順
- 新潟県 13.5件
- 鳥取県 13.2件
- 青森県 11.6件
- 岐阜県 10.7件
- 高知県 10.7件
- 広島県 10.3件
- 静岡県 9.9件
- 宮城県 9.9件
- 神奈川県 9.8件
- 島根県 9.6件

少ない順
- 愛知県 0.4件
- 福井県 0.8件
- 山形県 0.9件
- 北海道 1.1件
- 鹿児島県 1.3件
- 熊本県 1.4件
- 群馬県 1.7件
- 東京都 1.9件
- 秋田県 3.1件
- 福岡県 3.2件

教育現場で一体何が起きているのだろうか!?
わが家には小学2年生の息子がいて、東京都世田谷区の公立小学校へ通っています。
以前、学校の授業のお手伝いで「街探検の引率」をしました。
僕は近隣の中学校へ児童数名を引率する役割を受け持ち、中学校を訪問。副校長先生に校内を案内していただき、最後は児童たちによる副校長先生へのインタビューを行いました。
その中に一つに「大変だったことはありますか?」という質問がありました。
そのとき、中学校の副校長先生は「生徒同士で喧嘩が起きるので、そのときはちょっと大変かな」と答えていました。
それを僕は耳にしながら……

と感じていたのですが、それは呑気すぎますね。まさに今から、「子どもたちの間で暴力が増えるかもしれない」という心構えを持っておかないといけませんね。
でも、なぜ小学校で暴力が増えているのだろう。
PTAの集まりや校長先生らと話す機会に、その理由などを訊ねてみたいと思います。
今回の統計は文部科学省のウェブサイトに掲載されていますので、詳しく知りたい方はご覧ください。