TikTok、YouTube、Instagramなど、ショート動画で使わるBGMとしてバズっている『はじまりの曲』。荘厳で徐々にアップテンポになっていく高揚感高まる曲で、一瞬で人の心をギュッとつかむ魅力があります。
実は、なんとこの曲……
作ったのは、小学5年生の女の子だったのです!
現在は6年生ですが、作曲したのは去年5年生の夏休み。お父さんが、半年後の2月にTikTokへアップしたところ大反響。そこからあっという間に世界中へ拡散しました。
厚揚げろが。『はじまりの曲』
@roga.atuage 小5の娘が作曲しました。 娘コメント:「夏休みに作った曲だから、季節と合っていないけれど、誰かの心に残る曲になっていたらいいな!😖✨」 厚揚げろが。の父です。たくさんの方に動画をご覧いただけて、娘と驚きながらも楽しく皆さまのコメントを拝見いたしております。娘は今小学五年生で、2年ほど前から独学で作曲を始めました。今までは家族やクラスメイト達に曲をきいてもらうだけでしたが、今回皆さまにきいていただけてとても嬉しそうにしております。まだ小学生なので、語彙力が溜まっておらず(?)、歌詞の作成は苦手なようです笑 #作曲 #曲名募集中 #オリジナル曲 ♬ オリジナル楽曲 – 厚揚げろが。
説明欄には、以下のように書かれています。
その後、おそらく追記だと思いますが、以下も説明文にありました。
小学3年生に独学で作曲を始め、5年生でこの曲を作ったそうです。すごい!
うちのひとり息子は、ちょうど小学5年生。息子のこの曲はよく知っていたので「5年生が作ったんだって」と伝えたら、かなり驚いていましたね!
僕は、この曲が小学5年生によって作られたとは知らず、曲調が素晴らしいと感じて自分のYouTubeショートのBGMとしても使っていました。BGMのおかげもあって、チャンネル登録者数1,000人ちょっとなのに、再生回数は2万回を超えるバズ。感謝!
【インタビュー】厚揚げろが。iPadでアプリ「Medly」「GarageBand」で作曲
さて、「音楽シーンの今」が分かる記事を届けてくれるウェブメディア『Real Sound(リアルサウンド)』に、厚揚げろが。さんのインタビューが掲載されていました。
詳しくは、ぜひ記事をご覧いただきたいのですが、僕が気になったところをかいつまんでご紹介します。
- iPadで作曲。使用アプリは「Medly」と「GarageBand」
- ピアノは習っているけど楽譜は読めない
- 直感的に曲づくりをしている
- 夏休みの宿題の自由研究として提出した
ピアノは習っているものの、作曲に関して何か特別な教育を受けたわけではなく、直感的にiPadで作ったとのこと。しかも、夏休みの自由研究の宿題として!
自由研究で作った曲が世界中でバズるなんて、夢があるし、今の時代だからこそですね。クラスのみんなに広がっていく様子をみて、「この様子が世界に広がったら面白いんじゃない?」と思い、お父さんに頼んでTikTokに投稿してもらったそうです。
Real Soundのインタビューでは、アーティスト名「厚揚げろが。」の由来や、今後の目標も語られています。話している感じは小学5年生って感じなのですが、才能と行動力が素晴らしいなぁ!
YouTubeチャンネルでは、厚揚げろが。さんの他の楽曲も多数アップされているので聴いてみてください。
子どもの好きを応援する親も素晴らしい!

ここからは余談です。
うちの息子は現在小学5年生です。東京都世田谷区で暮らし、某公立小学校に通っています。今、日本の義務教育の現場では、GIGAスクール構想とICT教育に基づき、児童・生徒に1人1台の端末が支給され、学校内には高速Wi-Fiが完備され、タブレットやパソコンを使ったインタラクティブ(双方向)な授業が行われています。
世田谷区ではAppleのiPadが採用され、公立小学校・中学校ではみんながiPadを使っています。
厚揚げろが。さんと同じく、息子が通う小学校では音楽の授業でアプリ「GarageBand」を使うこともあります。サンプリングした音を使って作曲したり、別々に録音した楽器の音を編集して曲を作ったりしています。小学3年生でやっていましたね。
息子も気に入って、家に帰ってからも時々曲づくりに励んでいました。
他にも動画を撮影して、テレビ番組のようなものを作ったりもしています。算数・国語・理科・社会などだけでなく、あらゆる授業でiPadが活用されているのです。「今の小学校では、創造力を育む教育がふんだんになされていて、とてもありがたいし、素晴らしいな」と、僕は保護者として感じています。
一方で、小学4〜5年生頃から中学受験対策に忙しくなる小学生がものすごく多い。
息子が通う世田谷区の某公立小学校では、6年生の3学期(1月)は5〜6割の児童が欠席しているようです。理由は、学校の授業より受験勉強に集中させるためです。また、風邪やインフルエンザなどの感染症対策として休ませるという意図もあるそうで、在学する弟や妹も一緒に学校を休ませてお兄ちゃん・お姉ちゃんの受験対策に備えているご家庭もあります。
つまり、家族総出で子どもの受験に注力するご家庭が多いということです。
そんな中、受験に無関係な音楽などは軽視されることも多々あります。自分の子が作曲に夢中になっていても、受験に関係がないから親としてはイライラするので、子どもが作曲ばかりしないように興味を削ぐよう仕向ける場合があるのです。実際、その意図はなくても、塾と宿題がハードなので、結果的にそれ以外に時間を割くことができなくなります。
受験や学歴に関しては、ご家庭ごとにいろいろな思いがあるかと思います。
僕自身の中学受験に対する考えは、本ブログ『パパやる』に何度も書いているので、そちらをご覧ください。こうした中学受験熱狂時代において、子どもの好きや得意の芽を摘んだり、後回しにさせたりすることに対して、それで大丈夫なのだろうかと不安を抱いてしまうわけです。
- 好きなことを辞めさせられた
- 私の得意を褒めてくれなかった
- 親の言うとおりにしたのに、幸せになれなかった
……など、才能の芽を摘むことに加えて、親子関係にまで悪影響を及ぼしてしまうのではないかと。
もちろん、受験勉強とそれ以外の芸術やスポーツなどバランスよく取り組ませているご家庭もありますよ。でも、中学受験はハードです。一般的に小学5年生だと週に3回程度の塾があり、夜8〜9時頃まで授業を受けています。それ以外にも宿題や自習にあてる時間も必要ですし、塾についていくための塾も存在します。つまり、他のことをやる余裕がなかなかつくれないのです。6年生になるともっと忙しくなります。
厚揚げろが。さんのご家庭では中学受験をするのかどうかは分かりませんが、こうした時代背景や周囲の環境の中、子どもの好きを応援する姿勢は素敵だなと感じました。
もちろん子育てや教育についての考えや価値観は、人それぞれです。正解・不正解はありません。
受験も大切。でも、音楽、芸術、スポーツなど、どんな小さな「好き」も、子ども本人にとっては宝物です。今の子ども達は、好きなことにチャレンジできる環境がどんどん広がっています。子どもの好き・得意・やってみたいという気持ちを、大人としても大切にしてあげたら良いなぁと思います。
未来を切り拓いていくのは、今の子どもたち自身ですからね。