今回の記事は重要ですので、最初に結論を書きます。
赤ちゃんや小さな子どもは、写真とICチップ入りの「マイナンバー個人番号カード」を申請する必要はありません! むしろカードを持つことが危険につながります。
これは政府批判のかたよった意見ではありませんよ。専門家に意見を聞いたり(リンク)、専門書を何冊も読んだ結果、「どう考えても子どもにマイナンバーカードは必要ありませんし、持っているとリスクを背負うことになる」、ということがわかったのです。
ですので、個人番号カードの交付申請は不要です。
以上! おしまい。
……と、これでは納得いかない方のために、ここから先はその詳しい理由を書きます。マイナンバーカードの怖さを知りたい方は、読み進めてください。ちょっと長いです。
マイナンバー「通知カード」と「個人番号カード」
今年2016年1月4日からスタートした「マイナンバー制度」には、ふたつのカードが用意されています。
ひとつは日本に住民票を有する全員に簡易書留で郵送された「マイナンバー通知カード」。これは皆さん、もう手元にありますよね。ペラペラの紙で出来ています。
もうひとつは、写真とICチップ入りの「マイナンバー個人番号カード」です。これは別途、皆さんお住いの市区町村の役場にカード交付の申請をして手に入れます。任意です。
マイナンバーカードは、表面に「顔写真」「氏名」「住所」「生年月日」、裏面に「12桁の個人番号」「ICチップ」が記載されています。
マイナンバーカードにしないといけないの?
「マイナンバーは、ICチップ入りの個人番号カードを申請しないと使えない」と、思い込んでいる人が時々います。
これは間違いです。
マイナンバーを使用する際、受け取る相手は「個人番号」と「本人確認」をセットで行うことになっています。ですので、本人であると確認できる運転免許証やパスポートを見せれば、マイナンバーカードはなくても大丈夫なのです。
もしマイナンバーカードがあれば、それには顔写真がついているので、これ一枚で本人確認ができますが、なくても特に不都合はありません。
マイナンバーは、どこで必要になるの?
マイナンバーは、「税」「社会保障」「災害」の、3つの分野での活用されることになっています。
多くの方は、勤めている会社にマイナンバーを申告する場合が多いでしょう。また、生活保護や失業保険を受け取っている方や、育児休暇中の育児休業給付金などの手当を受け取っている方も、マイナンバーが必要になります。
それ以外で多くありそうなのは、資産運用をしている方。収入を得ると税が発生するので、銀行などからマイナンバーの申告を求められることがあります。
将来的には、「税」「社会保障」「災害」の3分野以外にもマイナンバー活用の場が広がるようですが、実は、今のところはそれほど使う場面は多くないのです。
マイナンバーカードを持つメリットは?
顔写真とICチップ入りの「マイナンバー個人番号カード」を作っておくメリットは、以下のとおりです。
■これ一枚で、本人確認ができる
運転免許証やパスポートを見せなくても、これ一枚で「個人番号」と「本人確認」をセット行うことができます。
■身分証明書として使える
レンタルビデオ店の会員に入るときなどに身分証明書を求められた際、このカードが公的な身分証明書として使える。
■コンビニで、住民票の写し、印鑑登録証明書などを発行できる
現在一部店舗のみ。市町村によりサービスの内容が異なります。
どうでしょう。
身分証明書はこれまでマイナンバーカードがなくても出来ていましたし、コンビニで住民票が発行できるのも一見便利なような気もしますが、住民票なんて数年に一度程度しか使わない方が大半ではないでしょうか。無くても大丈夫ですよね。
と言うか、赤ちゃんや小さな子どもに「身分証明書」や「住民票」「印鑑証明書」なんていらないですよね。子どもがマイナンバーカードを持つメリットは無い、と考えて良いでしょう。
マイナンバーカードを持つデメリットは?
ここ重要です! マイナンバーカードを作ることで、逆にこんなデメリット(リスク)が発生します。
- 紛失した際に、あなたのマイナンバーが漏えいする。
- 身分証明書として使った際、あなたのマイナンバーが第三者に見られる恐れがある。
- 身分証明書として使えるので、盗難や紛失で第三者の手に渡ると、あなたになりすまし、悪用される可能性がある。
マイナンバー個人情報カードには顔写真がついているので、他人が使えばバレるだろ。そう思う方もいるでしょう。
しかし! 赤ちゃんや幼い子どもの写真が入ったカードを見せられて、赤の他人か本人かどうか判断できるでしょうか? また、子どもの場合、マイナンバーカードの有効期限「5年」の内に容姿はずいぶん変わってしまうのではないでしょうか。
ちなみに、マイナンバーカードの有効期限は、20歳以上で10年、20歳未満は5年です。
個人番号カードの有効期限
- 所有者が20歳未満の場合は、発行から5回目の誕生日
- 所有者が20歳以上の場合は、発行から10回目の誕生日
マイナンバー(個人番号)漏えいの恐怖
ここも重要です!
そもそも、マイナンバーが他人に知られるとなぜ危険なのか? 単純にマイナンバーだけを知られただけでは、何も悪用できません。しかし、あなたの個人情報にマイナンバーついていることで、「名寄せ」をすることができるのです。
かつて「消えた年金問題」というのがあったのを覚えているでしょうか? 齋藤さんが、斉藤さん、斎藤さんなどとバラバラに管理されてしまい、同一人物であるかどうかがわからなくなってしまったのです。また、結婚して苗字が変わったり、引っ越して住所が変わったりで、記録のミスや不備で同様のことが起きました。
しかし、これにマイナンバーが付いていれば間違いを防ぐことができます。マイナンバーは一生涯変わりません。マイナンバーで情報を寄せてくることで、同一人物であることが特定できるのです。
これが役所であれば問題ありませんが、もし、悪徳名簿屋の手に渡ったらどうでしょう。
マイナンバーをキーにあなたの個人情報を寄せて(集めて)くることで、あなたのプライバシーが漏洩してしまう可能性があります。さらに、その情報をもとに、詐欺師などがあなたを狙うことにつながってきます。
マイナンバー制度はまだ運用がはじまったばかりですが、将来的にどれだけの情報が付加して行くのかは、考えただけでも恐ろしいです。
マイナンバーは、迂闊に他人に見せてはいけないし、紛失するリスクを減らす努力もしないといけない。ですので、結論としては……
- マイナンバーは、うかつに他人に教えてはいけない。
- マイナンバーは一生変わらない。「名寄せ」で個人情報が丸裸になる可能性がある。
- 紛失・盗難などでマイナンバーカードが他人の手に渡ると、「なりすまし」被害に遭う可能性がある。
マイナンバーに関する詐欺事件は早くも発生しています。役所の人間や警察官を語って「マイナンバーを教えてください」「銀行口座を教えてください」など。悪徳名簿屋や詐欺師が、あなたのマイナンバーを狙っていますので、どうかくれぐれもご注意ください。
昨年末郵送された「マイナンバー通知カード」はサッサとしまって、マイナンバー個人番号カードの交付申請はしないようにしましょう。(子どもだけでなく、大人も無くても特に不都合ありません!)
もし、すでにマイナンバーの交付申請してしまった……という方は、カード裏面に個人番号が記載されているので、身分証明書として使う際は、この裏面の番号を絶対に見られないようにしましょう。
【余談】政府はマイナンバーカードを、作らせよう、使わせようと、なぜか必死!
昨年暮れ、麻生太郎副総理・財務相が「消費税の軽減税率にマイナンバーカードを活用してはどうか」と発言し、国民から非難が殺到しました。「すべてのレジに読み取り機を設置する費用はどうするのか」「買い物の度にマイナンバーカードを見せなくない」など。
その炎上がひと段落し、今度は新年早々、高市総務大臣が「民間企業のポイントカードとマイナンバーを連携させるよう取り組みたい」と発言しました。
僕、個人的には、バカかと……。
もう一回言います。バカかと、アホかと。
政府は「個人番号は大事なので、むやみに他人に教えるな」と警告しています。にもかかわらず、ポイントカードだと? 支離滅裂、まったく辻褄が合いません。
先に述べたように、マイナンバー及び個人情報の漏えいにつながります。さらに、これだけではありません。マイナンバー制度では、集めた個人情報を漏らした者には、最大で懲役4年という厳しい罰則が規定されています。企業のポイントカードなどと連携したら、企業はそれを情報漏えいさせてはいけない重い責務を負うことになってしまうのです。
なぜ、こんなにも政府はマイナンバーカード普及に必死なのか? 裏には様々な思惑が潜んでいるような気がします。
将来的に「マイナンバー個人番号カード」が必須になる時代が来るかもしれませんが、しばらくの間は慌ててつくる必要は全くありません。
デメリット(リスク) >>>>>>>>>>> メリット
……なのですから。