離婚後の養育費、きちんと支払っているのは約半数。法律改正で逃げられなくなるかも

日本では『母子家庭』になる時期で最も多いのが、子どもが0歳〜2歳の頃で、これは全母子家庭のほぼ3割を占めているという調査があります(参考記事)。子供がいる家庭で離婚をする場合、子どもが2歳になる前にその決断をした夫婦が多いということです。

幼い子供を残しての離婚。まず、心配になるのはお金でしょう。

不倫やDVなど夫婦の一方に責任がある場合は、『慰謝料』というかたちで有責者に支払い義務が発生する場合があります。しかし、子供に対しては別です。子供に対しては、『養育費』として子供が成人するまで(もしくは高校を卒業する18歳、大学を卒業する22歳まで)支払いの取り決めを行う場合があります。

その場合、養育費の相場としては毎月4万円から6万円が多いようです。

離婚後の養育費、定期的に支払っているのは約半数

子供がいるからといって、必ずしも養育費を取り決める訳ではありません。また、養育費の取り決めをしたからといって、絶対に支払わないといけないという強制力がある訳ではありません。

「ひとり親」家庭の貧困の背景に、離婚後の養育費の不払いがあるケースは少なくない。厚生労働省の調査では、養育費の取り決めがあった母子家庭は4割弱。NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の調査では、取り決めがあっても定期的な支払いがあるのは半数で、一度も支払われない人も15%を超えた。

養育費「逃げ得」許さない 支払い強制へ議論スタート:朝日新聞デジタル

離婚時に養育費の取り決めを行なっていたとしても、実際に定期的に支払っているのは50%程度で、一度も支払わない人も15%いるということです。

近年、母子家庭の貧困化が問題になっていますが、こういった養育費の未払いも大きく関わっていそうです。

貧困母子家庭

養育費を支払ってくれない! どうすればいいの?

離婚時に公正証書を作っていれば、そこに記載している養育費などの支払いが滞った場合、財産差し押さえなどの強制力があります。しかし離婚時に、そこまで大げさにしない方(できない方)も多いでしょう。

その場合、このような方法があります。

  • メールや電話、手紙や内容証明で養育費を支払ってもらうよう催促。
  • 家庭裁判所へ調停の申し立てをし、審理を行う。
  • 家庭裁判所から、相手方へ支払うよう勧告・命令を行なってもらう。

要は、面倒な上に、法的強制力が得られる可能性も低く、泣き寝入りなりがちなのです。

法律改正で、養育費の逃げ得ができなくなるかも

そんな養育費未払い問題を受け、近い将来、強制的に支払わせるよう法律が変わるかもしれません。法改正の審議が行われているようです。

裁判で確定した損害賠償金や子どもの養育費などの債務を強制的に支払わせる制度の創設などに向けた議論が18日、法制審議会(法相の諮問機関)で始まった。法務省は、2018年ごろに民事執行法の改正案の国会提出をめざす。

この日の民事執行法部会の初会合では、今後の議題を確認。離婚した親が養育費を支払わない例が相次いでいることなどを踏まえ、強制執行の際、裁判で支払い義務が決まった債務者の預貯金口座を特定しやすくする仕組みをつくる。

(中略)

今回の民事執行法の見直しは、支払いを逃れようとする債務者に対し、強制執行の手続きを進めやすくすることが目的だ。特に、夫婦関係の破綻(はたん)で経済的な困難を抱える女性たちに期待の声が大きい。

養育費「逃げ得」許さない 支払い強制へ議論スタート:朝日新聞デジタル

今回は、とても重いテーマを取り上げました。「離婚なんて関係ない。うちは夫婦円満だ!」に越したことはありません。しかし、子供が幼いうちに離婚する夫婦が多いようですので、子育て中の方は知識として知っておいても良いかと思い、ご紹介させてもらいました。

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