今年2月15日、認可保育園4月入園の結果発表が全国で出てきた最中、はてな匿名ダイアリーに投稿された「保育園落ちた日本死ね!!!」が大きな波紋を呼びました。
まずは、はてなブックマークのコメント覧で火が付き(関連リンク)、その後、様々なウェブメディアに波及。その様子をテレビ局とりあげ、ニュース番組などで紹介されました。まさに炎上です。
そしてさらに、その勢いは国会にまで波及。
今、国会で「待機児童問題」「保育士の待遇」など、認可保育園事情についての議論が繰り広げられています。
匿名の記事が国会にまで届くというのは、かなり異例の自体ですが、それだけ保育園問題については社会に不満の空気が充満していたのでしょう。この匿名の投稿が、そのたまった不満というガスに着火し、炎上を巻き起こしました。
安倍首相、遂に「待機児童ゼロを目指す」と明言
匿名記事投稿から25日後、3月11日に国会で行われた参議院本会議で、「待機児童」「保育士の待遇改善」についての発言がありました。
安倍総理は「保健所」を「保育所」と言い直し、このように述べたうえで、「働くお母さんたちの気持ちを受け止め、待機児童ゼロを必ず実現させる決意だ」と強調。保育士の待遇についても「この春にとりまとめるニッポン1億総活躍プランの中で、具体的で実効性のある改善策を示し、人材を確保していく」と訴えました。
首相「保育所」言い間違え、議場が騒然とする場面も:TBS News i より一部引用(【追記】記事公開終了しました)
安倍首相が保育所を保健所と言い間違えたことに対して、国会では野党が大騒ぎしたり、そのことに着目しニュースでも取り上げられました。動画を見てみましたが、単なる読み違いで、安倍首相はすぐに訂正しています。注目すべきはそこではないでしょう。
読み間違えで騒然としたため、その後の発言がなんとも打ち消されているような印象ですが、安倍首相はこう言っています。
- 待機児童ゼロを必ず実現させる
- 保育士の待遇を改善し、人材を確保してゆく
匿名の投稿が着火させた保育園問題。ついに、ここまで達したのです。
具体的な解決策はまだ述べられていないので、世間では「どうやって実現するんだ?」という声もあがっていますが、揚げ足取りばかりせず、今後の進展に注目してゆくべきかと思います。
翌日、加藤1億総活躍担当大臣が保育園を視察
翌3月12日、加藤1億総活躍担当大臣が保育園の視察を行いました。視察に訪れた保育園は、大阪・枚方市にある「光の峰保育園」。なぜ、大阪の地方にあるこの保育園なのかというと、保育士の離職率が低いため、保育士の待遇を知るにはうってつけだと考えたようです。
加藤大臣は、大阪・枚方市にある「光の峰保育園」を視察しました。ここではフルタイムやパート、ベテランと若手など働き方の異なる保育士が助け合う「チーム保育」で離職を防いでいるということです。この保育園の有給休暇取得率はほぼ100%で、平均勤続年数は21年に上っています。
(中略)
加藤大臣は、働き方に制約のある保育士も働きやすい環境を整え、保育士の給与改善にも「当然、取り組む」と発言しました。
「日本死ね」ブログ受け 1億総活大臣が保育園視察:テレ朝news より一部引用(【追記】記事公開終了しました)
待機児童が多い東京都を中心に、認可、認可外を含め実態調査。
また、待機児童数が多い東京都とその周辺地域では、認可保育園だけでなく、認可外保育園の実態調査にも乗り出しました。施設の設備状況や、園児の受け入れ可能数などです。
厚生労働省が定める設置基準の範囲内で、保育所の定員を増やすことが可能かどうかや、保育士の確保のため、都内の保育所に勤める保育士の家賃補助を増額することができないかなどについて検討が行われています。
待機児童対策 東京都中心に実態調査へ:NHK NEWS Web より一部引用(【追記】記事公開終了しました)
東京都周辺は待機児童数そのものが多いので、保育施設を増やすというより、現状の保育所で園児数を増やせないかと検討しているようです。もちろん、新しい保育園もできているのですが、実態としては近隣住民の反対により、なかなか場所が確保できず、思い通りにつくれないという問題もあります。
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待機児童がゼロになる日。
政治家が待機児童問題の解決に向けて声を上げるのは、今世間が注目している話題なだけに、票集め・支持率アップという観点からみても、やる価値はあるでしょう。
ただ、認可保育園は90%が税金で運営されていると言われています(10%が利用者の保育料)。その現状をふまえ、「受け入れ園児の数を増やす」「保育士の待遇改善を行う」となれば、それだけの財源が必要になります。他の予算を削る、税金を上げる、保育料を上げるなど、いずれにせよどこかで痛みが発生してしまいます。
しかし、保育園に子どもを預けることにより、夫婦共働き家庭が増え、労働人口の減少に歯止めをかけ、国内総生産(GDP)が伸び、結果、税収が増えるということも考えられます。
人気取りと予算の兼ね合いで、進められることになるのでしょうか。
安倍首相は、「待機児童ゼロを目指す」ではなく、「待機児童ゼロを必ず実現する決意」と述べました。とても力強い言葉です。安心して子どもを生み育てることができるよう、有言実行でお願いしたいです。