- 保育園不足の解消
- 企業の社員への育児支援
このふたつの足並みが揃わないと、働きながらの子育ては困難です。
説明するまでもなく、仕事があっても保育園に入園できないと働けません。また保育園が決まっても、会社が保育園の送迎に合わせて勤務時間を調整してもらえないと保育園に通えません。
資生堂ショック。「資生堂不買!」を叫ぶのはちょっと待った。
資生堂が、百貨店などの美容部員の働き方を昨春、見直した。子育て中の短時間勤務者に、できる限り土日や平日夜も働くよう求める内容だ。狙いは「周りの負担軽減と、育児中もキャリア向上できる働き方への挑戦」だが、最近は「やり方が厳しい」といった波紋も広がる。この改革、前進か、後退か――。
資生堂の働き方改革に賛否 子育て社員「時短」でも遅番:朝日新聞デジタルより一部引用
資生堂はこれまで、育児しながら働ける企業として、度々注目されてきました。なかでも特徴的な取り組みは2007年からはじまりった「カンガルー制度」。
資生堂には、小学校3年生までの子どもを持つ社員に「短時間勤務」という育児時間制度があり、その時短勤務で不在となる時間を補うのがカンガルースタッフ。育児中スタッフのピンチヒッターを務める専門のスタッフがいるのです。この制度は現在も続いています。
朝日新聞の記事を読んだだけなので、資生堂で働く社員たちの空気感まではわかりませんが、なぜ育児中のスタッフに優しい資生堂が、厳しい方針を打ち出したのか。世間ではこのことを「資生堂ショック」と呼んでいるようです。
その理由として、資生堂が育児をしながら働くのに適しすぎて、時短勤務を利用するスタッフが増えすぎたのが背景にあるようです。百貨店の化粧品売り場が忙しくなるのは、平日の夜や土日。朝日新聞の記事によると、「時短の人と支える人との仕事のバランスが崩れ、不協和音まで出ていた」と書かれています。
資生堂は、育児中でも働きやすい環境を整えすぎて、逆に窮地に陥った、というところでしょうか。
ですので、ニュースを見て「資生堂はひどい会社だ! 今後、資生堂製品は買わないぞ!」と、こぶしを上げるのは早計なのです。
転職・退職したくてもできない保育園事情。
全国的に認可保育園が不足していて、待機児童が多数いるのはご存知かと思います。
認可保育園に入園するには、まずはお住いの市区町村の役場に申し込みをするのですが、その際「指数」が計算されます。
- 親が週5日フルタイムで働いている
- 実家の育児支援が受けられない
- シングルマザー(ファーザー)である
など多数の項目があり、それぞれに得点が付けられていて、指数合計が高い児童が優先的に入園できる仕組みです。
実質、待機児童が多い地域では「両親とも週5日間フルタイム」「両親のうち一人がフルタイム、もう一人が時短」など、とにかく両親ともにガッツリ働いていないと入園はまず不可能となります。
そんな状況ですので、今勤めている会社を自己都合で辞めた場合、早めに就職しないと保育園を退園させられることになります。猶予期間は市区町村によって違いはあるかと思いますので確認する必要がありますが、およそ2ヶ月間です。
保育園不足・保育士不足からの厳しい保育園事情があるため、うかつに仕事を辞めることができないのです。
子どもを産まないのが問題なのではなく、子どもを産みにくい社会にしている政治家が問題だと思う。
— G.D.Greenberg (@G_D_Greenberg) 2015, 12月 9
企業、保育園の両輪がまわってこその、働きながらの子育て。
いわゆる「資生堂ショック」。
この問題に関しては、企業努力にも限界はあるかと思います。
資生堂の問題を受けて、他の企業経営者たちが「育児中の社員に対して、優しい時短勤務にしすぎるのもリスクがあるな」と考える方向に流れて行かないよう願うばかりです。
もし皆さんが資生堂の社長だったとしたら、どう乗り越えるべきだと考えますか?