自宅にいながら小学校の授業が受けられるなんて、未来の話だと感じていました。
担任の先生だけではありません、クラスメイトも教室や自宅からインターネットを通じてこちらに手を振ってくれるのです。
対面ではなく遠隔で行うリモート学習は、心身の不調であったり、通えない距離であったり、何らかの事情がある子どもが受けるものだという印象が僕にはありました。
しかし、2020年初頭から広まった新型コロナウイルス感染症により、在宅でおこなうリモートワークやリモート学習が急激に広がったのです。
わが家は小学1年生の息子を、東京都世田谷区で育てています(父はフリーランス、母は会社員)。2021年9月、感染第5波の影響を受け、2学期から分散登校が始まりました。クラスを半分に分け、交互に登校・リモート授業を受けるスタイルです。
先日、初めてのリモートでのオンライン授業を受けたので、親としての気づきや要注意点をまとめました。
リモート学習(遠隔学習)とは
リモート学習とは、対面ではなく、遠隔でおこなう学習のことです。
主に2つの手法があり、ひとつはZoomなどのビデオ会議システムを使ってリアルタイムに行うスタイル。同期型学習と呼ばれます。
もう一方は、録画されたビデオをみるなど自分のペースで進めるスタイル。こちらは非同期学習、もしくはオンデマンド学習と言います。
いずれも、リモート学習(遠隔学習)です。
リモートの意味
ちなみにリモートは、英語で「remote」。意味は、遠隔です。
似た言葉にリモコンがありますが、これは和製英語。remote controller(リモートコントローラー)や、remote control(リモートコントロール)が語源です。
テレの意味
テレワークで使われるテレは、英語で「Tele」。意味は、離れた場所です。
似た言葉に、telephone(テレフォン)、television(テレビジョン)、telepathy(テレパシー)などがあります。
オンライン授業、テレスクール、リモート学習の違い
よく使われる言葉にオンライン授業があります。これはリモート学習とほぼ同じ意味です。これらには生配信の同期型学習も、録画された動画などを見る非同期型学習(オンデマンド学習)も含みます。
また、離れた場所で授業が受けられる小学校・中学校・高校を、テレスクールと呼ぶこともあります。
現状、いろんな言葉が混在していますが、「リモート学習」「オンライン授業」が使われることが多いです。
【朝の会】Microsoft Teamsで、担任の先生からお話
さて、ここからが体験談。
この日のメニューは以下のとおりです。
1日の流れ
- 朝の会
- 4時間授業
- 昼休み(給食)
- 宿題タイム
- 終わりの会
まずは、朝の会から。
リモート学習だからと行って、朝ゆっくり寝ていられる訳ではありません。学校が始まる時間までに、起きて、朝食を食べて、身支度を整えて、iPadの前に座る必要があります。
ちなみに、iPadは学校から貸与されたものです。無償です。
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公立小学校で配布された iPad のスペックと重量(東京都世田谷区)
おそらく世田谷区の公立小学校では統一されていると思うのですが、使用する基本アプリはMicrosoft Teams(マイクロソフト・チームズ)です。
Microsoft Teamsは、マイクロソフトが2018年にリリースした、リモートワークのためのコラボレーションプラットフォームです。わかりやすく言うと、グループで作業を進めるための連絡ツール。この中でチャット、ビデオ会議、通話などが行えます。
リリースされた当初はビジネスシーンの限られたユーザーでしか使われていませんでしたが、2020年のコロナ禍以降、利用者が急増しました。学校などの教育現場や、会えない家族との連絡ツールなどにも活用されています。
まず、息子はこのMicrosoft Teamsを起動。
朝の会がはじまる8時20分、担任の先生からメッセージが投稿され、クラスのビデオ会議がはじまりました。
iPadの画面いっぱいに、クラスメイトの顔がタイル上にずらり。
僕はその様子に思わず嬉しくなりました。なぜなら、息子の同級生のマスクを外した顔を見るのが初めてだったからです。みんな本当にいい顔をしていました。感激!!
同級生と軽く挨拶をし合ったあとは、担任の先生より「ミュートにしてくださーい」の指示。
ミュートとは消音のこと。画面下に表示された小さなマイクアイコンをタップして、マイクに斜めのスラッシュが入ればOKです。
先生から今日のお話があり、そして絵本の音読もありました。
でも、途中でトラブル発生! 先生の声が聞こえないのです。
児童たちの何人かはミュートを解除し「先生聞こえません!」「ミュートを切ってください」「はぁ……(ため息)」と伝えたり、画面上で手を振って知らせようとしましたが、先生はなかなか気づきません。
読み聞かせの終盤で先生が気づいて、やっと音が聞こえました。
驚いたのが、小学1年生の子ども達(6歳・7歳)が、ミュートをしっかり理解していたこと。
【授業中】Zoomで、学年全体で同じ授業を受ける
いよいよ授業です。
授業で使うアプリケーションは、オンラインビデオ会議アプリのZoom(ズーム)です。
朝の会の最後に、「授業は、Microsoft Teamsに届くURLをタップして、Zoomのミーティングに参加してださい」と先生から案内がありました。
授業は各クラスではなく、同じ学年の子が全員で同じ授業を受けるスタイルで行われました。Zoomの画面には、先生の顔がドーンと大きく表示され、その下に参加者の顔が小さく並びます(レイアウトは変更可能)。
授業を担当する先生は、各クラスの担任の先生が順番に持ち回っていました。いろんな先生の授業が見られたり、他のクラスの子ども達にの様子も見られて、なかなか面白いです。
iPadを使ったリモート学習のメリット
小学1年生の2学期では、文章の書き方やカタカナを学びます。
最初は先生の顔がiPadの画面に映っていたのですが、先生がお手本を示す際は、カメラがドリルの真上からに変わり、書いている様子がよく見えます。
息子は、iPadと並べてドリルを開き、先生の手の動きを真似ながら字の練習をしていました。
ただ息子は、「先生の手でペンの先が見えなかったので、そこが良く見えるとわかりやすくなる」と言っていました。
確かにそうですね。
撮影は難しそうですが、その方がわかりやすそうです。
リモート学習での、トラブル・気になったこと
リモート学習は始まったばかりなので、これから試行錯誤を繰り返していくのだと思いますが、今の時点で気になったことを書き記しておきます。
ひとつは、ミュート忘れです。
マイクのミュート(消音)を忘れて、授業中にいろんな声が飛び交ってしまう一幕がありました。また、中休み中に、ふざけた声を炸裂させる子もいました(笑)
Zoomには、ミーティング主催者が参加者の音声を全員ミュートにする機能があるので、授業中はこれを使った方がいいかもしれませんね。
あと、贅沢なことを言うと「授業のテンポが悪いな」と感じることもありました。
実際の授業ではふつうのテンポであっても、画面を見ているとどうしてもYouTubeやテレビなどのコンテンツと無意識に比較してしまうのです。間が気になってしまうんですよね。
先生はユーチューバーを研究して画面で魅せるノリやテンポを身につけると、子ども達から「〇〇先生の授業は楽しい」なんて声が上がってくるかもしれません。
いや、これは贅沢な要望ですね。すいません……。
体育・音楽、リモートでどうやって授業するの?
小学校の科目には体育や音楽もあります。これらもリモートで授業が行われます。
ちょうどこの日、体育の授業がありました。
まずは、Microsoft Teams宛に「URLをクリックして、NHK for School にある番組を見てください」と指示が届きました。この日は「がんばれ!パラスポキッズ」という番組で、10分間の陸上の動画をみました。
その後は、縄跳び。
先生から「縄跳びができる人だけでいいので、◯時〇〇分まで縄跳びの練習をしてください」の指示。
わが家は、2DKの狭小賃貸住宅なのですが、ありがたくも庭があるのでそこで練習しました。息子の縄跳び姿を見るのは保育園の年長ぶり。めちゃくちゃ上手くなっていてビックリしました!
音楽の授業はこの日ありませんでしたが、自宅でピアニカなどを練習するのだと思います。
リモート学習だからといって、授業をはぶく訳では無いんですね。
【休み時間】中休み・昼休みは、親子で遊びました
授業と授業のあいだには、10分〜15分ほどの休み時間があります。
この時間、僕は息子とドッチボールでパスの練習をしました。
親子でそんな会話をしながら、たっぷりと身体を動かしました。
めちゃくちゃ楽しかったです!!!
息子は、なんだかとても幸せそうな様子で、終始笑顔でパパとのパス練習を楽しんでくれました。僕も童心に帰って、短い休憩時間を存分に満喫したのです。
「幸せすぎる……」
また、お昼休みは残念ながら雨が降ったので、オセロの勝負! 時間が来たので中断しましたが、楽しかった〜。
ちなみに、休み時間に本を読もうと考えている親御さんもいるかと思いますが、今回のリモート授業では先生による3度の読み聞かせがありました。
朝の会、
2限目の最後、
お昼休み明け。
余程読みたい本があるなら良いですが、そうでないなら、読書・読み聞かせ以外の過ごし方が良いかなと感じました。本ばかりになってしまうので。
【給食】パパの手料理を振る舞いました
実際の時間割に沿って進むので、当然お昼休みもあります。つまり給食の時間です。
この日、僕は息子にナポリタンを振る舞いました。
ということだったので、親子で山盛りのナポリタンをがっつきました。
またも幸せなひととき。
僕は4時間目の授業が終わりに迫る15分前に料理をはじめました。昼休みは1時間ほどですので、短時間で作れるメニューや、事前に仕込んでおくのがおすすめです。
【自宅】Zoomの背景で、部屋が丸見え!
ZoomやMicrosoft Teamsでビデオをつないでいる間、子どもの顔だけでなく背景も映り込みます。
背景をぼかしたり、バーチャル背景を設定することもできるのですが、それを利用している子は今回いませんでした。みんな家の様子が丸わかりです。
気になる方は、事前にどのように映るかを確認しておくと良いかもしれませんね。カメラアプリを起動し、内側カメラで見れば、大体どの範囲が映るかがわかるでしょう。
背面や天井が映る場合が多いと思います。床は余程のことが無いと映らないと思います。多分(笑)
【親】お父さん・お母さんも画面にちらほら映る
子どものそばで見守っていると、どうしても保護者もカメラに映り込みます。
僕は最初、ボサボサの頭だったので、やばい!と焦って帽子をかぶり、途中で髪を整えにいきました。
子どもだけでなく、親も見なりは整えておいた方がいいですよ。油断した姿をさらしたくない、パパ・ママは……。
【親同士】LINEグループを作っておくと安心
「つながらない! どうするの?」
「このプリントうちに無いけど、みんな持ってるの?」
「今やる課題、これで合ってる?」
リモート学習に慣れていない頃は、きっと操作に悩むと思います。僕は「小学生向けだし簡単なはず」とたかをくくっていたのですが、「これで良いの!?」と焦る場面が何度かありました。
ですが、同級生の保護者さんとのLINEでやりとりすることで、皆んなでなんとか初めてのリモート学習を乗り切ることができたのです。
今は個人情報保護法のもと「クラス名簿を作らない」のが一般的ですが、何人かの保護者さんとはLINEや電話連絡取れるようになっておいた方が安心です。
隣で仕事をしようと考えている親御さんへ
子どもがリモート学習をしている間、親がリモートワークなどの仕事をしようと考えている方へ。
正直、全然はかどりません。
子どもだけでは理解できないことがあったり、休憩時間に一緒に遊んであげたり、給食(お昼ごはん)を用意してあげたりするので、終始目も手も離せないのです。
慣れてくれば、親は仕事・子は勉強のスタイルが築けるかもしれませんが、最初はできないものだと思って準備んしておく方が無難でしょう。
それと人によっては、「授業参観をしている気分になり、幸せで目が離せない♪」なんて方もいらっしゃるかと思います。僕はまだ授業参観未体験だったので、今回初めての授業参観となりました。幸せ。
親としての心構え
最後に、親としての「これは意識しておくと良いよ」と感じたことをいくつかまとめます。
- 自宅でも学校と一緒だと言い聞かせる
- ふざけさせない
- 授業中と休み時間のメリハリをつける
- 休み時間に学校でできないゲームやスマホをさせない
- 子どもをめっちゃ褒める!
学校へ行かずに自宅に居られるなんて、子どもからすれば最高ですよね。でも、そこで「甘えを見せない方が良いな」と感じました。
2〜3回だけのリモート学習なら乗り切れるかもしれませんが、これがいつまで続くかわかりません。子どもに対して「リモートは真面目にしなくても余裕」なんて思われないようにすべきです。そうしないと、後々大変なことになると思います。
ただ、個人差はあるだろなぁ……と感じます。
ZoomやMicrosoft Teamsの画面を見てると、まじめに取り組んでいる子がいる一方、集中力が無くじっとしていられない子も見受けられました。後者の場合、親は大変ですよね。場所を変えたり、親のサポートを強めたり、弱めたり、色々試しながら慣れていくほか無いのかな。
これは、リモート学習の悩ましい課題のひとつだと思います。
それと、親がそばにいるメリットを活かして、子どもがよくできたときは盛大に褒めてあげましょう!
僕も、こんな感じでした。
まぁ、大袈裟ではありますが、子どもにとって学習の様子を褒められるのは嬉しいし、やる気につながるかと思います。
まだ初日ですので、今後新たな気づきも得られそうですね。日々のささいな出来事はTwitterに投稿していますので、よかったらフォローしてみてください。子育て中の皆さん、がんばりましょう!
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