パパやる読者様より、重要な情報をご提供いただきました。ありがとうございます。
2014年前に公開した「確定申告」に関する記事ですが、当時と今(2017年)とでは記載内容が食い違っているとのご指摘です。関わりがある方にとっては重要な事項ですので、該当記事に追記し、さらに只今確定申告〆切目前ということもあり、新たに本記事も公開しました。
要点を簡単にまとめると、こうなります。
- 新型出生前診断(NIPT)の費用は、確定申告で医療費控除の対象にならない
■パパやる 修正記事
妊娠33週目。年間医療費が10万円を超えたので確定申告へ行って来ました。
かつて、僕たちが新型出生前診断(NIPT)を受けた際、その費用(約22万円)を確定申告で医療費控除してもらいました。確定申告の会場へ出向いて相談したのですが、その時の職員が間違っていたのか、分類が変わったのかはわかりませんが、今は医療費控除されないそうです。
ご報告いただいた読者様は、国税庁のウェブサイトにて確認し、さらに国税庁へ直接問い合わせをし確認したとのことです。
母体血を用いた出生前遺伝学的検査の費用
*以下、専門的な話になりますので、興味がある方のみお読みください。
国税庁のウェブサイトには「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」について書かれていて、新型出生前診断(NIPT)の表記はありません。
しかし、本文中の「母体の血液中に存在する胎児由来のDNA及び母体由来のDNAに含まれる遺伝情報を解析」から推測するに、いわゆる新型出生前診断(NIPT)で間違いないでしょう。
NIPTは「non-invasive prenatal genetic testing」の略語。無侵襲的出生前遺伝学的検査という意味で、無侵襲的というのは「身体を傷つけないで」という意味です。
同じく出生前診断として知られている羊水検査や絨毛検査は、お腹に針を刺して胎児のそばにある細胞を採取するため、流産のリスクがあります。それに対してNIPTは、母体の腕から注射器で血液を少量採取するだけですので、お腹の赤ちゃんには危害はありません。だから、無侵襲的という訳です。
NIPTは、2013年から日本で臨床試験として始まった、遺伝子異常による先天性疾患(21、18、13トリソミー)を調べるための検査です。妊婦が35歳、紹介状が必要など、受けるにはいくつかの条件があり、健康保険の適応外で全額実費負担となります。
さて、確定申告の話に戻ります。
国税庁のウェブサイトには以下のように書かれています。
【照会要旨】妊婦に対して行う母体血を用いた出生前遺伝学的検査(以下「本件検査」といいます。)の費用は医療費控除の対象になりますか。
【回答要旨】医療費控除の対象とはなりません。
医師又は歯科医師による診療等の対価として支払われるものは医療費控除に該当しますが、いわゆる人間ドックその他の健康診断のように疾病の治療を伴うものではないものは、医療費控除の対象とはなりません。しかし、健康診断の結果、重大な疾病が発見され、引き続きその疾病の治療を行った場合には、治療に先だって行われる診察と同様に考えることができますので、その健康診断のための費用も医療費控除に含まれます(所得税基本通達73-4)。
本件検査は、胎児の染色体の数的異常を調べるものであって、診断の一種であり、また、本件検査を行った結果、染色体の数的異常が発見されたとしても、それが治療につながらないとされていることからすると、本件検査は、妊婦や胎児の治療に先だって行われる診療等と解することはできません。
したがって、本件検査に係る費用は、医療費控除の対象となりません。
新型出生前診断(NIPT)は新しい検査であり、また税に関する扱いが変更になる可能性もあります。本記事の記事執筆時の情報ですので、詳しくはお住いの地域の税務署にご相談してみてください。
妊婦に厳しい日本。少子化対策と女性活躍を推進する政府なのに……
最後に個人的な意見を。
日本は今、人口減少が始まっています。「このままでは日本の労働人口が減る一方だ」という、強い危機感を持っている方も多いでしょう。そこで政府は、女性活躍を推進し、働く人そのものを増やそうとしています。
ただ、女性が働くということにより、妊娠、出産、子育てを始める年齢そのものが上がってしまうのです(生涯未婚率も上がっています)。要は、今の日本は「35歳以上の高齢出産になりやすい」ということです。
政府が女性を外で働かせておいて、新型出生前診断(NIPT)の検査費用は100%実費で、高額療養費制度も適応外で、そして医療費控除も対象外とは、厳しい措置だと思います。このあたりもぜひ、国会などで議論して欲しいです。