本サイト「パパやる」では、こどもの表記を、長らく「子供」としていました。しかし、少し前の記事より「子ども」と表記を改めています。
実はこれ、どれが正解で、どれが不正解という訳ではありません。子供、子ども、こども、どれも正しいのです。
ではなぜ「供」を巡って、世間では表記が分裂しているのか? そして僕はなぜ、「子ども」とすることにしたのか。そこには、ライターならではの葛藤があったからなのです。
2013年 文部科学省が公文書を漢字の「子供」で統一
パパやるを始めたのは、2013年の夏。
僕はこの頃、ごちゃ混ぜに使い分けていました。
- 「子供」 真面目な記事のとき
- 「子ども」 ふつうの記事
- 「こども」 可愛くみせたいとき
- 「コドモ」 サブカル感を出したいとき
しかし、パパやるをはじめた直後、「文部科学省が、公用文書の『こども』の表記を漢字書きの『子供』に統一することを決めた」と、新聞各社が報じたのです(参考:日本経済新聞)。
「なるほど、これは一気に広がるぞ!」
僕はそう思い、パパやるでの表記を「子供」一択に決めました。
さすが縦割り行政! 厚生労働省など他の省庁は「子ども」のままだった
ちなみに先の文部科学省は、学校基本法に基づいて運営される幼稚園、小学校、中学校などを管轄しています。教育機関では「子供」表記で統一されたということです。
では、他の省庁はどうなのか?
でたー! 縦割り行政!!
他の省庁では、まったく統一されていませんでした。保育園などを管轄する厚生労働省では「子ども」「こども」が使われていますし、経済産業省、消費者庁、農林水産省、さらには内閣府にいたっても同じです。
以下、その一例。
- 厚生労働省「子ども・子育て支援」
- 経済産業省「子どもデー」
- 農林水産省「こども霞ヶ関見学デー」
- 消費者庁「子どもを事故から守る!プロジェクト」
- 内閣府「子ども・子育て本部」
- 【余談】1948年、国会で祝日として制定されたのは「こどもの日」
日本の各省庁や地方自治体は「縦割り行政」と言われ、横つながりがあまりありません。縦割りは、トップダウンの運営(経営)には適しているかもしれませんが、横つながりがないと、せっかくの資産や知識が共有財産として各省庁で活用できず、非効率になりがちです。
僕は、この時点でモヤモヤとしていました。ただ、学校を管轄する文部科学省が「子供で統一する」というのだから、僕はそれにならうことにしたのです。
子育て系メディアでは、「子ども」表記を指示
さて、僕が「子供」から「子ども」に改めた理由をお話します。
僕は、本サイト「パパやる」を立ち上げた頃に会社勤めを辞め、フリーランスとしてライターや編集者などの業務を請け負うようになりました。かつて音楽業界にいたので、しばらくは子育てとは無縁でしたが、徐々に子育て業界とのつながりが広がりました。
そのうちに、ウェブや雑誌のメディアから「記事を書いて欲しい」と執筆の依頼を頂けるようになったのです。
その際、どこのメディアであって、指定の表記は「子ども」でした。
場面によっては「こども」「コドモ」も使用可能ですが、「子供」は不可です。
そこで僕は、パパやるでは「子供」、外仕事では「子ども」と、しばらく使い分けていました。しかし、世間では一向に子供表記に統一される機運が高まりません。
もう、面倒だ!
僕は、書き分ける必要性を感じなくなり、また、他メディアと混乱しないよう、僕が書く記事においては「子ども」で統一することにしたのです。ただ、子ども一択ではなく、場面に応じて使い分けるつもりです。
そもそも、なぜ漢字の子供表記を避けるようになったのか?
子供という漢字があるのだから、本来は「子供」という表記が正統な気がします。ではなぜ、「子ども」表記が広まったのでしょうか。
それには、諸説あります。
【1】差別的だ! 大人に付随する「お供」ではない
子供の「供」の字は、「お供」として使えますよね。これにより、こどもは大人に付随するものである印象を与え、差別にあたるのではないかと言うことです。
【2】差別的だ! 捧げる「お供え」ではない
子供の「供」の字は、「お供物(おそなえもの)」として使えますよね。これにより、こどもが捧げるもの、貢ぐものとしての印象を与え、差別にあたるのではないかと言うことです。
【3】差別的だ! 供は複数形で軽蔑している
子供の「供」の字は、複数形ですよね。これにより、こどもをひとまとめにして軽視している、差別にあたるのではないかと言うことです。
以上、こうした理由から子供表記を避けるようになったのです。調べてみると、特に「子供」よって被害を受けた人がいただけではなさそうなので、おそらく「不快になる人がいるだろう」と忖度して、子ども表記にしたのだと思われます。
ちなみに、先の文部科学省では、子供表記は差別にあたらないとしています。
【おまけ】Google先生に聞いてみた
最後に、世間の人はどの表記を使っているのかを、Google検索で調べてみました。その結果……
- 「子ども」 約2億3,900万件
- 「こども」 約1億2,300万件
- 「子供」 約6,600万件
- 「コドモ」 約375万件
1位は、圧倒的に「子ども」でした。ウェブメディア・ウェブライターとしては、ユーザーがより多く使っている「子ども」表記にする方が、記事としてはより多くに届けられそうですね。
また、意外にも「子供」は3位。
ひらがなの「こども」が2位でした。
漢字の子供は少数派だったのですね。
みなさんは、どの表記を使っているでしょうか? 冒頭で書いたように、どれが正解で、どれが不正解という訳ではありません。日本語って、改めて難しいですね。
【追記】allintitle: でタイトル名検索すると……
たゆたえさん(@tayutae)が、Googleの面白い検索方法を教えてくださいました。検索する際、最初に「allintitle:」を付けると、タイトルにそのキーワードが含まれている記事のみが抽出されるそうです。
そこで、「allintitle:子ども」などで調べてみました。
- 「子供」 約264万件
- 「子ども」 約67万件
- 「こども」 約36万件
- 「コドモ」 約6万件
おぉ、順位が入れ替わった。記事タイトルにおいては「子ども」「こども」より、漢字の「子供」表記が多いようです。なるほど、面白いですね! 教えてくださり、ありがとうございます。
子供の字は付き従う、供えるの意味でよろしくない、と言い出したのは朝日新聞や毎日新聞を始めとする左翼系メディアでした
この2社の主張に呼応し、各新聞メディアが新人教育の際に「子供は子どもと表記するように(現在は朝日と毎日を除いてどこもしていない」と指導し、現在はその頃の記者が成長して各ポストに付き、記事を校正するさいに子供を子どもに修正してる
だから記事のほとんどは『子ども表記』らしいです