NHKドラマ10「下流の宴」 過干渉の母親が主役、中流家庭の息子が大学受験をしないという苛立ち

多くの親は、わが子の将来が幸せであることを願っています。しかし一方で、「子どもは親の思い通りにはならない」ともよく言われます。

また子どもは、親に育ててもらって感謝の気持ちはありつつも、「〇〇しなさい」「〇〇しないで」など、行動にいちいち干渉されると不快に思うものです。

僕は家族もののドラマや映画が好きでよく見るのですが、先日、過干渉の母親が主役のドラマを見ました。まさにこの親子のすれ違いが繰り広げられ、親の気持ちも子の気持ちもわかって、「あぁ……」と切なくなってしまう展開。

これがなかなか面白かったのでご紹介します。

配信されているのはNHKオンデマンド。僕はAmazonプライムビデオ内でNHKオンデマンドに加入して、テレビやスマホで視聴しました。

NHKドラマ10「下流の宴」全8話

ドラマ「下流の宴」 医者のムスメ、国立大学卒、高学歴の夫、そんな私が「下流」になるの?
画像:Amazonプライムビデオ「下流の宴」より
ストーリー
理想の家庭を築いたはずが、気がついたら崖っぷち。夫は左遷娘の就活は失敗。そしてフリーターの息子が「下流」の娘と結婚宣言!愛する息子を取り戻すため、「中流家庭」を守るため、専業主婦・由美子の戦いが始まる!

NHKより引用

【キャスト】母役・黒木瞳さん、息子役・窪田正孝さん

【中流】福原家

  • 母:福原由美子(黒木 瞳)
  • 父:福原健治(渡辺いっけい)
  • 高校生の息子:福原翔(窪田正孝)
  • 大学生の娘:福原可奈(加藤夏希)
  • 母方の祖母:木下満津枝(野際陽子)

主要な周囲の人々

  • 【下流】息子の彼女:宮城珠緒(美波)
  • 【下流】珠緒の母:宮城洋子(余貴美子)
  • 【?】由美子の同級生:島田直樹(遠藤憲一)
  • 【上流】エリート男性:北沢玲一(眞島秀和)

【原作】林真理子さん

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差別と偏見に満ちた、過干渉の母

過干渉の母親

舞台となる福原家は4人家族。

専業主婦の母親・由美子は、地方の医者の娘で、国立大学卒。子育てに関しては、とにかく過干渉です。幼いころから親の意向で習い事や塾通いなど教育熱心。母親の思い描く理想の息子・娘をつくりあげようとしてきました。

しかし、これまで母親に従順だった長男・翔が、高校生で不登校に。高校を中退し、無気力な引きこもりになってしまうのです。

一方の娘・可奈は、弟とは真逆で見栄っ張り。男受けする大学へ進学し、就活中。自分自身のキャリアや価値を高めようとするわけではなく、とにかくテクニックで高学歴・高収入・イケメンの男性をつかまえて結婚しようと画策します。

そして夫・健治。早稲田大学卒のエリートで大手企業に勤めるも、子会社へ出向させられ給与は減少。妻から収入が減った分を補うために残業をするよう言われながら、そこで部長をつとめています。子育てなど家庭のことに関して、大事な場面では前へ出ますが、日ごろは妻任せです。

「いい大学に入れば、人生の選択肢が増える」は正しいのか?

ドラマではたびたび「いい大学に入れば、人生の選択肢が増える」と、母親らが高校を中退した息子を諭すシーンがでてきます。高校は中退したけど、卒業認定試験を受けて大学受験に挑めば、人生をやり直すことができる……と。しかしこのままでは中卒です。

幼児の頃からあれこれさせてきた母親からすれば、現状に耐えられません。息子にあの手この手で大学を目指させようとするのです。

一方の息子は、マンガ喫茶でアルバイトをしながら、オンラインゲームで知り合った女性・珠緒との交際をはじめます。しかもあろうことか、息子から結婚を考えているとまで言われます。

彼女は、沖縄の離島出身の高卒。礼儀はなく粗暴。仕事はリサイクルショップに勤めるフリーターです。

ふたりとも学歴も収入も低いのに、自分たちは幸せだというのです。良い大学を卒業して得られる人生ではなく、今に満足しているのです。

母親は、思い描いてきた理想と現実のギャップに苦しみます。「いい大学に入れば、人生の選択肢が増える」の説得が、まったく響かないし、通じないのです。

高学歴や出世を望まない生き方

子どもを信じて応援する母親

沖縄出身の珠緒の母親も登場し、翔の母親とは対照的に描かれます。

珠緒は上京して東京で暮らしていますが、家族は沖縄の離島で暮らしています。そこでの母親は、高学歴や出世を望みません。そして、わが子にはあれこれ干渉せず、子どもの言葉や行動を信頼していつも応援しています

「フリーターの彼氏と結婚したい」と娘に言われても、「あんたの言うことなら間違いない!」と、どっしり受け止めます。

娘は、そんな母親に感謝し、母のことが大好きです。

子どもを見て応援、子どもを見ないでコントロール

ドラマ「下流の宴」のキモは、2人の母親の子育て方針の違いです。

息子・翔の母親

  • 息子に大学を目指させたい
  • 彼女と別れさせたい
  • 人生をやり直して欲しい

娘・珠緒の母親

  • 娘を信じて、応援

翔の母親は、子どもの気持ちや希望を無視して、親の希望や気持ちだけを押しつけます。

珠緒の母親は、子どもの気持ちや希望を受け入れ、親としてそれを信じて応援します。

こうした対照的な母親を客観的に見ることができるのが、このドラマの魅力です。どちらが正しいとか間違っているとかではありません。価値観が違うだけで、ふたりとも母親として一生懸命です。そんな姿を見ながら、自分の子育てについて俯瞰しながら思いを巡らせてみるのが良いのではないでしょうか。

あと、もしご覧になられたら、最終話の最後まで見て欲しいです。とても面白い作品でした。

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