只今、深夜2時。
日付が変わって、うちの息子が本日生後10ヶ月となりました。
育児、仕事、家事、育児、仕事、家事……。日々追われて過ごしているうちに、不思議なもので過去の記憶が薄らいでゆきます。パソコンで作っている書類を上書き保存するような感覚でしょうか。もうアンドゥ(戻る機能)は効きません。
写真やビデオ、パパやる日記を見ることで、「あ〜、そうだった、そうだった」と、子供の成長や妊娠中のことを思い出すことができるのです。
10ヶ月経ったけど、忘れられない助産婦さんの言葉があります。
出産を目前とした妊娠10ヶ月目だった頃、通っていた中目黒の育良クリニックさん(産婦人科)が実施している両親学級に参加しました。いよいよ迎える陣痛、分娩(出産)、そして新生児の育児について学べる3時間の勉強会です。
そこで講師をされていたベテラン助産婦さんが言っていた言葉が、いまだ記憶にしっかり残っています。その言葉とは……。
「奥さんが陣痛で苦しんでいる時、旦那さんがスマートフォンの陣痛間隔カウントアプリをずーっと触っていたんです。その時はそんなの良いから、奥さんをしっかり見てあげて! 奥さんの様子をしっかり見ていればわかるから」。
えっ? 陣痛は10分間隔あたりから始まって、5分間隔になったら病院へ電話して、指示を仰いで病院へ向かうんだよね。陣痛の間隔こそが大事なんじゃないの? そう思っていたのでビックリしました。
出産を経験したことがある方なら「そうだね〜」と理解できるかもしれませんが、初産の僕たち夫婦にとっては、あと数日、数週間でやってくる『陣痛と出産』は未知との遭遇でしかなく、「見ていればわかる」なんてのは謎でしかありませんでした。
ですが、出産を終えて、その意味がわかりました。
「激しい痛みに耐えている」から「悶絶」に変化したのです。明らかに痛がり具合が違っていました。「激しい痛み」くらいだと全然産まれてこなかったのです。
(と、書きながら思い出してチカラが入ってきました。嫁よ、ほんまご苦労さまでした!)
■パパやる関連リンク
→ 夫婦で参加。育良クリニックに両親学級「いくら倶楽部」に参加してきました。
→ 4日間の陣痛の末、無事出産!育良クリニックでの分娩ストーリー。
→ 妊娠発覚から出産まで。パパやる日記「妊娠・出産編」まとめ。
赤ちゃんが生まれて、初めて「様子をしっかり見る」ということをしている。
赤ちゃんは喋れないので、泣くことで自分の意思を伝えます。ですが、泣いている理由は様々です。
- お腹が空いているのか
- 眠いのか
- 何か気に入らないのか
- 遊んで欲しいのか
- 怖い夢でもみたのか
- どこか痛いのか
- どこか苦しいのか
- 体調がものすごく悪いのか
その泣いている理由を知るには、赤ちゃんの「様子を見る」しかありません。顔色は悪くないか、熱はないか、ウンチの色や柔らかさはどうか、泣き方がいつもと違わないか。そういったことを見て感じながら、次は抱っこをしてみたり、授乳をしてみたりして、泣いている理由を探ってゆきます。
そこで、助産婦さんが言っていた「様子を見ていればわかる」という言葉が、よく頭に浮かんでくるのです。赤ちゃんに対しての説明ではなかったけど、これは赤ちゃんも同じだ、と。
大人同士でも相手の気持ちを推し測ることはありますが、いざとなれば直接聞くことができます。ですが、赤ちゃんにはそれはできません。
こんなに人の様子を毎日じっくり見ているのは、人生初めての経験です。出産・育児を通じて「人の様子をしっかり見る」ということを学びました。僕は日頃、パソコンのメールやスマートフォンのメッセンジャーで人とやりとりすることが多く、もはや電話で話すことすら減っています。「人の様子を見る」という行為からは、ずいぶん遠ざかっていたことに気付きました。
もっとも基本的なこの行為。もしかしたら、とても大事なことなのかも知れませんね。