コンビニアイスのなかで、僕が累計本数で一番食べているのは井村屋の「あずきバー」です。理由は3つあります。
- 美味い!(あっさりとした甘み)
- 固い!(歯ごたえがあってしっかり食べた感)
- 低カロリー!(普通サイズで1本、たったの112kcal)
井村屋あずきバー、とにかく大好きです! あずきバーは年間販売本数2億5000万本以上と、日本の人口を超えるほど売れている国民的アイスなんですよ。
あずきバーは、幼い子供は食べられない
あずきバーをつくる井村屋の創業は1896年(なんと120年以上)。1963年にアイス事業を開始し、あずきバーが誕生したのが1973年。
もう40年以上も前からあるアイスなので、多くの方は物ごころついた頃からあったでしょう。
でも、あずきバーは幼い子どもは食べられないアイスなんですよね。固すぎて噛めない。僕が小学生だった頃、ある程度溶かしてから少しずつ食べた思い出があります。
実は世界一固いアイスキャンデー
そんな井村屋あずきバーですが、世界一固いアイスキャンデーと言われているそうです。
わが家の3歳の息子は、すでにアイス大好きで、公園の自動販売機やコンビニでアイスを買って、1本まるごと完食しています。ただ、あずきバーはさすがに固すぎて無理です。食べられないし、乳歯(子供の歯)の時期は怖くて与えられません。
タカラトミーアーツって、面白い会社だな……ww って思います
おもちゃを作る会社ってすごく楽しそうだな、って最近感じています。
僕はわが子が生まれるまで、しばらくおもちゃとは疎遠になっていたのですが、いざ子供のためのおもちゃを選んだり、おもちゃ屋さんへ遊びに行ったりすると、たくさんの面白いおもちゃと出会えます。
僕が最近、笑える……いや、楽しい会社だなぁと思っているのがタカラトミーアーツさん。以前、パパやるご紹介した「流しそうめんスライダー」を作った会社です。
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この会社って、どんな人がいて、どんな企画会議をしているんでしょうね。だって新製品がコレですよ。
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あ、間違った!
コレでした。
なんと、井村屋のあずきバーを、ふわっと食感のかき氷にしてしまうマシンを開発したのです。
タカラトミーアーツさんより「あずきバーを削ってかき氷にすることができる新商品ができました」とご案内をいただきましたので、今回はこの「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」をご紹介します。
このマシンがあれば乳歯の息子(3歳)と一緒にあずきバーが食べらます!
あずきバー、かき氷化に成功するまでのあゆみ【1〜6号機】
この製品は、開発にものすごく苦労したのだそうです。なんと言ってもあずきバーが固すぎて、マシンが壊れたり、動かなかったりしたからです。
まずは完成までの試作品の数々をご覧ください。
「あずきバー」を2本の強力なバネで固定し、プラスチックの刃で削る仕様。「あずきバー」のセットは2人掛かりでなければできないという難点がありました。始めは削れるものの、途中で押し付けるバネの力が足りなくなるため、半分くらいまでしか削ることができず断念。
ハンドルと連動したギアが、「あずきバー」を下へ押し込む仕様。刃を固定し「あずきバー」自体を回すか、刃そのものを回して削るか、どちらがうまく削れるか悩んだ末、刃を回すギミックを採用しました。ハンドルが非常に重く、上からハンドルを回すと支柱となっているラックギアがしなるほど力がかかってしまい、井村屋担当者へのプレゼンテーションでもハンドルが折れてしまう事態に。(写真はハンドルが折れてしまっている試作機)その後修理するも「あずきバー」を削る前に試作機が壊れてしまい断念。
ハンドルを横に付け、「あずきバー」の回転に対する力の負荷を軽減した仕様。「あずきバー」が固いために、2号機以上にハンドルが重く、回し進めることができず断念。
一度の回転で「あずきバー」をたくさん削れるように刃を3枚に改良。刃を増やしたことがかえって抵抗になってしまい、ハンドルが重く回すことができず断念。
「あずきバー」のスティックが削る際の抵抗になっていたため、思い切ってスティックを抜くことを検討。「削るのも難しいのに、スティックを引き抜くなんてもっとハードルが高いのでは?」との声も上がりましたが、スティック引き抜きのための専用パーツの試作製作に取り掛かることに。同時に、スティックを引き抜いた「あずきバー」を削る仕様の試作機を完成。ハンドルのギア比を変えて5種のサンプルを作成し、程よいバランスを検証。ギア比を1:1.76に決定。これでほぼゴールが見えてきました。
最終仕様がまとまってきたので、余分な部分を削減し商品自体をコンパクトにしたり、使いやすさを追求してパーツを調整していきます。「あずきバー」の固さに負けて本体が破損しないよう、ハンドル部分にクラッチも内蔵しました。さらに、「あずきバー」を最後の最後まで削れるように押さえのパーツを改良。そして、この試作機にスティックを抜いた「あずきバー」をセットし、1本全て削ることに成功しました!
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完・成・品!
おぉぉーっ!
世界一固いアイス「井村屋あずきバー」が、ふわっふわに削れてる!
すごいぞ、タカラトミーアーツ開発チーム!!
ちなみに、井村屋あずきバーをこのふわっと食感で食べてもいいのですが、こんなレシピもあるそうです。
井村屋あずきバー + 牛乳
牛乳を注いでシェイクに。
井村屋あずきバー + 果物
カットした果物をたっぷり添えて、フルーツ盛りかき氷に。
井村屋「本当に完成させるとは思っていなかった」
井村屋は、このマシンをどう思っているのでしょうか? 以下、井村屋の担当者さんからのコメントです。
まさか、タカラトミーアーツ様が本当に機械を完成させるとは思っておりませんでした。
あずきバーは固さや、粒部分とあん部分の物性の違いもあるので、ただ単に削ろうとしても大変難しいのです。タカラトミーアーツ様が試作機を何度も何度も作って挑戦する姿に、井村屋もドキドキハラハラいたしました。
出来上がったかき氷は、ふわっとやわらかく、まず食感に驚き、その後ふんわりとあずきの味わいが広がって、新しい美味しさでした。いつものあずきバーも美味しいけれど、あずきバーかき氷も格別の美味しさですよ!
あずきバーが、固すぎる理由は?
あと、そもそもですが、井村屋のあずきバーはなぜあんなに固いのか? わざと固くしているのではないか? そんな疑問が湧いてきますよね。これに関しては、このように回答しています。
「あずきバー」の原材料は「ぜんざい」と同じあずき・砂糖・コーンスターチ・塩・水あめだけで、アイスが柔らかくなる添加物は入っていません。また、食物繊維たっぷりのあずきをぎっしり詰め込んでいるので、空気の泡が少なくなり現在の固さに。
わざと固くしたのではなく、おいしさを追求した結果、固くなったのです。
なるほど。
わざと、ではないそうです。笑
しかし、最初にこのあずきバーを開発したときに、「これはイケる!」と思った開発者さんや、上司や社長はすごいですね。ちなみに井村屋さんの企業理念を確認してみたら、こうなっていました。M・V・Pです。
1. (M) ミッション
「おいしい!の笑顔をつくる」
えっ……この固さで笑顔!?
2. (V) ビジョン
Be always for Customers! 社員一人ひとりが、いつでもお客様の立場に立って、いつもお客様のことを意識し、行動しましょう。
えっ……この固さでお客様の立場!?
3. (P) パッション
パッションの原点はイノベーション(革新)の発揮です。 あなたの「変える」が企業を成長させます。
おぉ……たしかにこの固さはパッションでありイノベーション! だからこそ年間販売本数2億5000万本以上の国民的人気アイスキャンディーとなっているのでしょうね。
■関連リンク
井村屋グループ理念
世界一固いアイスキャンデーから、どうやってスティックを抜くのか?
最後にもう一つの疑問。
これほどまでに固い井村屋あずきバーから、どうやってステックを抜き取るのか? 実は、その秘密はこのパーツにあります。通称「ぬけるんバー」。
スティックを引き抜く専用パーツ「ぬけるんバー」の開発にも手こずり、7種の試作品を経たのち、“てこ”の原理を応用し、力をかけずに引き抜くことができる試作機が完成したそうです。
まずは「あずきバー」のスティック部分をスティック抜き取り専用パーツ「ぬけるんバー」に固定し、レバーを回してスティックを抜き取ります。
その後スティックが抜けた「あずきバー」を本体にセットし、ハンドルを回すと「あずきバー」がするすると滑らかに削れ、ふわふわのかき氷になって出てくる、というわけです。
2017年6月29日発売予定、2,800円(税抜)
- 商品名:『おかしなかき氷 井村屋あずきバー』
- 希望小売価格:2,800円/税抜
- 発売日:2017年6月29日予定
- 内容:本体、ぬけるんバー
- 本体サイズ:W120mm×H190mm×D75mm
- 重さ:本体+ぬけるんバー…195g/本体163g
- 対象年齢:15歳以上
- 取扱い場所:全国の雑貨店、量販店、インターネット通販ほか
- 権利表記: ©T-ARTS
- 本商品は「井村屋BOXあずきバー」あずきバー65ml専用商品です。85mlには対応しておりません。