1980年頃は、およそ3分の2が専業主婦家庭でした。
しかし2010年代の今、3分の2が夫婦共働き世帯に逆転しています。出生数が減っているのにもかかわらず、保育園に入園できない待機児童問題が起きているのは、こうした社会構造の変化があるからです。
保育園の需要はいつまで続くのか?
保育園の需要は増え続け、幼稚園需要は減る。日本総研が試算
保育園の需要に関して、日本総合研究所が試算を発表しました。
保育所ニーズは少なくとも2020年頃までは増え、その後も横ばいを維持するか、あるいは、2040年まで増え続け、他方、幼稚園ニーズは減少していく姿が明らかになる。
まず、出生中位・就業中位の標準ケースでは、保育所ニーズは緩やかに増える一方、幼稚園ニーズは激減する。保育所ニーズは、2015年実績の233万人から、2020年には254万人へ増加し、以降2040年までほぼ横ばいで推移する。
保育ニーズの将来展望と対応の在り方:日本総合研究所
(【追記】記事公開終了しました)
いくつかのパターンで試算されていますが、いずれも保育需要が伸びる結果となっています。
ちなみに2040年までとなっているのは、国の都道府県別・年齢別の人口推計が2040年までとなっているからだそうです。
近隣住民の反対などで、保育園をつくる土地がない!
保育需要が増えているなら、保育園を増やすべきでしょう。
そうすることで、保育園の建設に関わる人手や、そこで働く保育士の仕事をつくることになりますし、保育園があるおかげで親は働くことができるようになります。労働者人口減少が危惧される日本社会において、これはとても重要なことでしょう。
しかし、保育園の新設はそう簡単にはいきません。子供の声がうるさいなどで、近隣住民から理解が得られず、建設するための用地(土地)確保が困難だからです。
そうだ、公園のなかに保育園をつくるぞ! 法改正へ
そんななか、国土交通省が保育園新設の用地確保のために動きはじめた、とNHKが報じています。
国土交通省は、保育所を公園に作ることができるよう規制を緩和する法律の改正案を、今の通常国会に提出することになりました。
国交省 公園に保育所設置できるよう規制緩和へ:NHK NEWS WEB
(【追記】記事公開終了しました)
これまで、公園内に保育園をつくることは法律で禁止されていました(一部を除く)。なぜなら、公園hは災害時の避難場所として利用されるため、管理事務所やトイレなど限られた建物しかつくれないと定められているからです。今回はその規制を緩和し、公園に保育園を作れるよう法改正を進めて行きます。
ただ、一部の自治体は国家戦略特区の枠組みを利用し、すでに公園内保育所建設を進めています。しかし、これにも大きな壁が立ちはだかっているのです……。
昨年2016年5月、東京・杉並区が公園内保育所建設を発表したところ、「なぜ公園に保育所を作るのか!」「他にも場所があるだろ!」など、地域住民による反対運動が起きました(参考:「区立公園を保育所に」杉並区の提案に近隣住民が反発 なぜ?:The Huffington Post) 。
そういうことを踏まえ、国交相は規制緩和に以下の条件を加えるとしています。
- 保育所の敷地面積は公園全体の30%以内
- 公園の景観を損なわない
公園の景観を損なわない、というの抽象的でまた一悶着ありそうな気がしますね。
とはいえ今回の法改正への動きは、保育園の拡充、待機児童問題の解消に向けて、大きな一歩となるでしょう。