認可保育園にわざと落ちたい! 育休を2年に延長するため、不承諾通知書・保留通知書を手に入れたい親が続出

保活のテクニックが年々変化。「去年まで常識だったことが、今年ガラッと様子が変わる」なんてことが起きています。

2016年2月、匿名ブログ・はてな匿名ダイヤリーに投稿された「保育園落ちた日本死ね!!!」は日本中に衝撃を与え、国会で取り上げられ審議されるまでに至りました。夫婦共働きが急増している昨今、保育園が不足していることが世間に明るみになったのです。

以降、全国の自治体が保育所を増やし、待機児童問題をかなり解消させました。

しかし2年後、状況は一変

2018年4月、認可保育園から内定通知が出たにも関わらず入園を辞退する親が続出したのです。当時、日本でもっとも待機児童数が多かった東京都世田谷区では、536人もの辞退者が出ました。

一体なぜ……?

ついこないだまで認可保育園に入るために必死だった、幼い子を持つ親たち。今は「保育園にわざと落ちたい」と口にしているのです。

今回の記事では、「保育園にわざと落ちたい理由」「選考なしで落選通知(不承諾通知書)をもらう方法」についてお伝えします。

 

お知らせ本記事は2018年9月13日に公開ましたが、その後、状況に大きな変化が起きつつあります。新たな情報を追記し、記事の日付を2023年11月28日に変更しました。

育児休業期間は原則1年、保育園に落ちれば2年間に延長できる

国会答弁

実はその背景、法律の改正があります。

これまで育児休業が取得できる期間は、原則1年(子どもが1歳になるまで)でした。しかし、待機児童問題を受け、2017年10月1日に「改正育児・介護休業法」が施行され、育児休業が最長2年間まで延長できるようになったのです。

これは、希望すれば誰でも2年間に延長できる訳ではありません。延長されるには、以下の条件に当てはまる必要があります。

 

育休期間を2年間に伸ばす条件

法律が書かれた本

育休を2年に延ばす条件に関して、「改正育児・介護休業法」より引用しながらご説明します。

保育所に申し込んだが落ちたア 育児休業の申出に係る子について、保育所等(*1)における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、その子が1歳6か月に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合

*1. 保育所等は、児童福祉法第39条に規定する保育所等をいい、いわゆる無認可保育施設はこれに含まれません。 また、あらかじめ1歳6か月に達する日の翌日について保育所等における保育が実施されるように申込みを行っていない場合は該当しません。保育所等による保育の申込み時期等については市町村にご確認願います。

 

保護者が死亡、負傷、 疾病イ 常態として育児休業の申出に係る子の養育を行っている配偶者(*2)であって、その子が1歳6か月に達する日後の期間について常態としてその子の養育を行う予定であった方が死亡、負傷、 疾病等に該当した場合

*2. 配偶者には婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある方を含みます。

 

認可保育園に申し込んだけど、入れなかった家庭が対象

パパ
ちょっと難しいですね

つまり、認可保育園に入園申し込みをしたけど、内定がもらえず入園できなかった場合、育児休業を2年間に延長しても良いですよ、ということです。

そのため、不承諾通知(保留通知書)が届くのを願って、保育園の入園申し込みをするのです。

でも、落ちるとは限りません。

落ちたい人は、内定が出ると困りますよね。だから、内定辞退者が続出したのです。

 

育児休業、2年目も給与の50%の育児休業給付金がもらえる

お金を渡してくれる女性銀行員

ここで一旦、育児休業について簡単に説明しておきます。

育児休業(通称:育休)は、子どもが生後9週目から1歳になるまでの間、会社を休むことができる制度です。その間、ハローワークから給与に変わる「育児休業給付金」が支給されます。

また、育休以外にも、産前産後には「出産手当金」の支給もあります。これは社会保険などから支払われます。

具体的に以下のとおり。

 

【1】産前産後は出産手当金、社会保険などが支給

画像参照元:全国健康保険協会
  • 【産前42日 + 産後56日】出産手当金 給与の3分の2

まず、出産にあたって産前産後に「出産手当金」が支給されます。これは、勤め先の健康保険(社会保険など国民健康保険以外)などを財源に支払われます

■関連リンク
出産のため会社を休んだときは、出産手当金が支給されます。:全国健康保険協会

 

【2】生後9週目以降は育児休業給付金、ハローワークが支給

画像参照元:厚生労働省
  • 【生後9週目以降】育児休業給付金 給与の67%〜50%

そして、今回の本題である育休時の「育児休業給付金」は、雇用保険を財源とするハローワーク(職業安定局)から支給されます。ただし給付金を受け取るには、育休期間が終了したら仕事に復帰するのが条件です。

また、給付金は2段階に設定されています。

  • 【育休開始から180日目】 給与の67%(上限29万9,691円)
  • 【育休181日目以降】給与の50%(上限22万3,650円)

*下限として、賃金月額が7万4,100円を下回る場合は、育児休業給付金は74,100円となります(この額は毎年8月1日に変更されます)。

育児休業が2年に延長された場合、2年目も給与の50%がもらえます。

■関連リンク
育児休業給付金:ハローワークインターネットサービス

 

育児休業中は、社会保険料免除など他の金銭的メリットも

育児休業中は、無収入扱いですので、給与支払い時に天引きされていた厚生年金や雇用保険などの社会保険料が免除されます。また、収入が給与のみの場合、年間の所得がゼロになりますので、翌年の住民税もゼロになります。

「給与の50%の支給では、生活ができない!」

と、不安になるかもしれませんが、税金や保険料の負担が軽減されるので、生活コストは抑えられます。

また、子どもが生まれると別に児童手当も支給されるので、育児休業給付金以外の収入もあるのです。

保育園に落ちて不承諾通知(保留通知書)を手に入れたい親の事情

世田谷区認可保育園、合否の通知。
世田谷区認可保育園 待機児童通知書

2018年7月20日、NHKの番組「首都圏情報 ネタドリ!」で、保育園に落ちたい親達を取材した特集が放送されました(関東地方などで放送)。その内容を少しご紹介します。

番組内で、保育園に落ちたい3人の母親の事情が紹介されました。

 

保育園に落ちたい理由・事情(1)会社の要求に応えられない

子どもが1歳になったら、「3時までの時短勤務」を会社に希望。しかし、勤めていた会社からはフルタイムを要求された。

さらに、会社はより早い復職を求めてきたので、苦肉の策として育児休業を延長した。

 

保育園に落ちたい理由・事情(2)ワンオペの兄弟育児

ふたりのお子さんがいる母親。上の子(3歳)と同じ保育園へ、下の子(1歳)を入れたかったが、その保育園には1歳児が入れるクラスがなかった。そのため、兄弟別々の保育園に通わせるしかない。

そんなタイミングで、夫が4月から1年間の海外単身赴任が決まった。実家も遠いため、ワンオペ育児状態。

そのことを自治体に相談すると、あえて保育園に落ちることを勧められた

 

保育園に落ちたい理由・事情(3)子どもの成長を見守りたい

1歳7か月のお子さんがいるお母さん。

発育が遅くて、まだ歩けない。これまでも、寝返りなど発達が遅めだったので、少しでもそばで見守ってあげたいと思った。

そのため、1歳で保育園に預けるのではなく、2歳まで子どものそばにいられる育休延長を選んだ。

パパ
親としても、そうする他ない様々な事情を抱えているわけです

 

わざと保育園に落ちる弊害。希望者が、第一希望の園に入れない!

泣きながらベビーカーを押すパパ

保育園に落ちたい人が、もし内定してしまったら……。

この場合、「保育園に入りたい」と入園を希望している方へしわ寄せが来ます。

なぜなら、本当に入りたい第1希望の保育園に入れないからです。希望園に入れず、第2、第3希望の保育園になってしまいます。しかも、兄弟がいる場合は、もっと悪いことが起きています。兄弟で同じ保育園に入れたいと思っていたのに、別々になってしまうのです。

兄弟が同じ保育園であれば、日々の送迎が楽ですが、別々になれば非常に大変になりますよね。また送迎時だけではありません、運動会、進級式、卒園式などの行事もバラバラになるのです。

わざと落ちたい方がいることで、本当に入園したい方に迷惑がかかってしまいます。

パパ
わざと落ちたい方にも事情があるとはいえ、第一希望で入りたい方にとって、これは可哀想です……

 

保育園に落ちたい親が悪いの? 問題は育休の構造にあり

国会議事堂

番組「首都圏情報 ネタドリ!」では、この問題は制度に問題があるとしています。

番組にゲスト出演されていた、昭和女子大学の研究員、治部れんげさんは以下のようにおっしゃっていました。

制度に問題があるのでは?保留通知書(不承諾通知)をもらわないと、育休期間が延長できない制度が問題。希望者には、はじめから2年間取得させてあげれば良い。そうすれば、わざわざ落ちるという手段を取らなくて良いし、行政の手間も省けるし、入園希望者は希望の保育園に入りやすくなる」

また、保育園を考える親の会の代表、普光院亜紀さんは、「子育てに対する考え方や、働き方が多様になっているので、そこをどうやって国や企業が支えていくのか総合的な視点が必要」だとおっしゃっています。

他にも、今年4月に内定辞退者が536人も出た東京都世田谷区では、「正確な保育の需要が出てこない。何百人単位で需要の差が出てしまう」と、懸念を示しています。

とにかく、保育園を落ちたい問題は、該当のご家庭だけに留まらず広く波及しているのです。

これからの保活は、2歳児クラスが激戦に!?

保活に疲れるお母さん

育児休業期間が1年だった頃、保活の激戦は「0歳児クラス」と「1歳児クラス」でした。子どもが生まれる前から保活をスタートさせ、ポイント稼ぎ(認可保育園の内定基準となる指数アップ)を狙って、育休を1年弱で切り上げ、0歳で認可外保育園に預ける親が続出しました。

しかし、育休は2年まで延長できるようになってからは、2歳児クラスからの入園希望者が増えているようです。

ただし保育園では、0歳・1歳児クラスから進級して2歳児クラスに上がる子が大半ですので、2歳で新規で入園するのは狭き門の場合があります。保育園にもよりますが、1歳児クラスと2歳児クラスの定数の差があまりない場合が多いのです。

とにかく、保活の状況は刻々と変化しています。幼いお子さんを抱えながらの保活は大変ですが、待機児童が多い地域のお住いの方は、しっかりとリサーチするようにしてください。

まずは、各自治体の役所で相談するのが確実です。

 

【追記 2018年10月】厚生労働省、希望者には落選通知を出す方針に

厚生労働省(中央合同庁舎)外観

2018年10月18日、日本経済新聞は「落選狙い」が横行している実態を受け、厚生労働省の手続きの見直しを報じました。

  1. 認可保育園の入園希望を提出する
  2. その際「育休を延長したい」と伝える
  3. 選考なしで「落選通知」がもらえる

 


“落選通知を得るために、利用する気がないのに人気の高い保育所に申し込む事例が急増している。待機児童の多い地域で特に問題になっており、大阪市では今年、育休中の453人のうち4割弱が「落選通知のために入園を申し込んだ」と答えた

もともと預ける気がないのに入園が決まってしまうケースがあり、本当に保育所に預けたい人の障害になっている。

こうした混乱を防ぐため、厚労省は保育所入所の手続きを見直し、申し込みの段階で保護者に育休を延長する意向があるかを確認するよう市町村に求める。延長希望があり、申し込んだ保育所に空きがない場合には、その後の選考手続きは進めず落選通知を出す。”

保育所の利用申請、育休延長目的の「落選狙い」横行:日本経済新聞 より一部引用


 

茶番というか、なんと言うか、「なんだこれ?」という感じがします。

僕も個人的に小耳に挟んでいるいのですが、自治体によっては、こうした対処をすでにしているところがあるという噂です。

入園希望を提出する際、通常、入園希望欄には複数の保育園を書きます(数園から数十園)。しかし、落選通知が欲しい方は、激戦の保育園1園(第一希望)しか記入しません。役所で書類を受け取る担当者としては、その意図は明らかですよね。そのため「本当は落選通知が欲しい。育休を延長したい」と窓口で伝えると、選考をせずに落選通知がもらえる、という訳です。

パパ
バレる? バレない? と不安にならずとも、堂々と落ちることができる

保育園の入園選考は、役所の方が手作業で膨大な時間をかけて行なっているので、無駄な選考を省くことは人員・経費の節減になります。

また、日本経済新聞の記事の見出しには「横行」とあり、悪意に満ちた父親・母親の姿が思い浮かぶかもしれません。でも、育児をしている側からすれば深刻な問題を抱えている場合があります。

たとえば、子どもが多い家庭の場合。幼い子ども達は、次々に病気をしたり怪我をしたりして、保育園や小学校を休みます。そこにさらに0歳児・1歳児がいれば、仕事どころではありません。認可保育園に預けるには、基本的に夫婦がフルタイムで働いている必要があるので、まともに出勤できなくなるのです。

現在、育児休業の基本は1年。必要な場合にのみ2年まで延長できます。育児休業の基本期間が1年で充分なのかどうか、そのあたりを議論して欲しいと思います。

*【注意】落選通知をもらう方法については、状況が変化している上に、自治体によって対応が違います。確実な方法ではありませんので、その旨についてはご了承ください。

 

【追記 2023年11月】厚生労働省が審査を厳しくし、保育申請の落選狙いを抑止

日経新聞「保育申請、落選狙い抑止」2023年11月27日付け
日経新聞「保育申請、落選狙い抑止」2023年11月27日付け

状況がまた変わってきました。

上記の追記から5年、重要事項ですので再び追記します。簡単にまとめると「厚生労働省は今後、保育園をわざと落ちて育休を2年取得するのを認めない。厳しくする!」というものです。

おおまかな流れ

  • 2017年 育休2年がはじまる
  • 2018年 厚生労働省が選考なしで落選通知を出せるよう手続きを見直す
  • 2024年 わざと落ちるはダメ! 申請書はしっかり見せてもらう(予定)
パパ
厚労省さん、ちょっとひどくないでしょうか……

 


申請者は保育所に入れなかったときに自治体が発行する「保留通知書」と呼ばれる文書をハローワークに提出する。

すぐに働く意思がなくても「保育園に落ちた」との証明だけで給付を続けられる可能性があり、落選狙いで入所を申し込む構造になっている。

厚労省は給付の延長を申し込む親に詳細な保育所の申し込み内容などを記した申請書を求める方向だ。保育所名などの今の通知書で確認できないことが多い項目を本人に記入してもらう。

同省の審議会で内容を詰め、早ければ2024年度中に省令を改正する。省令改定後も、一定の周知期間を設けるため、既に受付が始まっている24年度4月の入所申請には影響しない

日経新聞「保育申請、落選狙い抑止」より引用(2023年11月27日発行)


 

保育園の数が増え、子供の数が減り、保育園をわざと落ちることができなくなると、実質的に「育休2年」は取れなくなってしまうかもしれませんね。

ただ、そもそもが待機児童・保育園不足の救済策として育休が2年(子どもが2歳)まで延長可能になった経緯を考えると、保育園不足が解消されてきたので仕方がないのかもしれません。とはいえ、子育てする家庭は状況の変化に振り回されて、大変であることには変わりありません。

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