保育園と幼稚園、教育の違いが不安な方へ。心配ありません、50年以上前から教育内容はまったく同じなのです

保育園と幼稚園の違いは何なのか?

先日、パパやるでもご紹介しました、NHK Eテレ「すくすく子育て」の1時間スペシャル『意外と知らない!? 保育園・幼稚園』はご覧になりましたでしょうか。

双方の違いというより、共通点に僕は驚きました。

また、未就学児の子供にとって、勉強よりも大切なことがあることを知り、子育てに対する気持ちを楽にしてくれる内容でもありました。

一言で言えば、とても素晴らしい番組だったのです。

ここでは、番組の内容の一部と、その感想をお伝えします。また、見逃した方への再放送の案内や、NHK公式サイトでのウェブ記事も、本記事最後にご紹介します。

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幼稚園と保育園の違いと、意外な共通点

4月、桜を見る子供達と先生

街角インタビューでは、保育園は「先生が親の代わり」「見てもらってるだけ」「勉強は期待していない」という《子守》的な意見がある反面、幼稚園は「セレブ」「小学校につながる勉強を教えている」と言った《教育》といったイメージを持っているようでした。

実際、確かに違いはあります。でも、共通している部分もあったのです。

保育園だけの特徴

  • 【登園】親など保護者が送り迎え
  • 【登園時間】朝7時半から9時頃が一般的、家庭の状況に合わせて各自バラバラ
  • 【帰宅時間】午後5時〜7時頃
  • 【お昼ごはん】調理室があり、みんな同じ給食を食べる
  • 【先生の数】年齢に応じた配置基準(0歳児クラス 園児3人に保育士1人、3歳児クラス 園児20人に保育士1人など)
  • 【入園方法】住んでいる自治体に申し込む(希望は書くけど選べない)
  • 【入園可能年齢】0歳から

幼稚園だけの特徴

  • 【登園】幼稚園バス、もしくは親など保護者が送り迎え
  • 【登園時間】朝9時頃、一斉に登園する
  • 【帰宅時間】午後2時頃
  • 【お昼ごはん】お弁当持参が一般的
  • 【先生の数】1学級(35人以下)あたり専任教諭1人配置
  • 【入園方法】入りたい園に直接申し込む(選べる)
  • 【入園可能年齢】3歳から

えっ! 保育園と幼稚園、教育内容は同じだった

幼稚園と保育園は同じ

これは街のイメージもそうでしたし、実際に保育園・幼稚園を利用されている方も知らなかった方が多いのではないでしょうか。

さかのぼること50年以上前、1963年に当時の文部省・厚生省が「幼稚園と保育所の教育は同じにしなさい」といった趣旨の共通通達を行っていたそうです。さらに来年2018年度には、保育内容を記した「保育所保育指針」「幼稚園教育要項」が改訂され、「保育所(3歳以上)も幼児教育機関として幼稚園と同じ内容のことをする」と改めて書かれるそうです。

多くの人が違うというイメージを持っていた保育園と幼稚園の教育ですが、保育園と幼稚園は、狙いも教育内容も同じだったのです。

えっ……これは僕も知りませんでした。

と言うことは、「保育園は遊ばせているだけだから、ちゃんと教育してくれる幼稚園まで子供を預けるのは待とう」という考えは的外れなのでしょうか。

ちなみにその教育内容には「遊びや生活を通じて、自発的な活動を重視しましょう」といったことが細かく書かれていて、その文言は、保育園も幼稚園も一言一句おなじ内容なのだとか。

保育園・幼稚園の教育内容を一言で言うと、「人間として生きていく力を育みましょう」ということだそうです。

保育園・幼稚園で身につけたい、生きていく力

では、人間として生きていく力とは、一体何なのか?

これに関しては、驚くべきことが解説されました。

ここ最近、大人向けのビジネス書で「GRIT(グリット)」という本がベストセラーになっているのをご存知でしょうか。大きな成果を上げている人物は、必ずしもIQ(知能指数)が高いという訳ではなく、GRIT(やり抜く力)が強かった、ということを検証した本です。

 

番組「すくすく子育て」でも、まさにIQなどで測れる力「認知的能力」より、目標に向かって頑張る力など、測れない「非認知的能力」が重要であると解説していました。

非認知的能力とは

  • 目標に向かって頑張る力
  • 他の人とうまく関わる力
  • 感情をコントロールする力、など

 

「文字が書けるようになった」「三角形、四角形、五角形の区別がつくようになった」など、大人は目に見える知的な賢さを重視しがちです。だけど、早めに勉強させたからといって、その後の人生の成功や安定に影響しないことがわかってきたのだそうです。

では、具体的に何が大事なのか?

それは、遊びでも何でも、上手く行かなかったときに「ちぇっ、やめた」と投げ出すのではなく、「どうしたら上手くできるのだろう?」と、目標達成まで取り組む『粘り強く頑張る力』などです。

これらは、一度身につければ一生使えます。目標に向かって粘り強く頑張ったり、失敗を克服したり、感情をコントロールしたりできることが、社会での成功につながるのだそうです。

ジャングルジムに登る子供たち

ノーベル経済学賞受賞者が説く、非認知能力の重要性

番組では、GRITの著者アンジェラ・ダックワースさんではなく、2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンさんの理論が紹介されました。

ジェームズ・ヘックマンさんの主張

  • 公共政策で教育に投資するなら、就学前の「乳幼児期」が最も効果的
  • 身につけるべきは「非認知的能力」である

乳幼児期に身につけた非認知能力は、学生時代や若い頃だけでなく、中高年になっても安定的な生活を送るための支えになると説いています。

乳幼児期に非認知能力を伸ばす方法

では、その非認知能力を伸ばすにはどうすれば良いのか?

それは、子供の自発的な気持ちにあります。親や先生に「させられる」のではなく、自分から「やりたい」という気持ちが、非認知能力を伸ばすのだそうです。

乳幼児期の場合、それは「遊び」。子供が納得するまで遊び込む中で、やる気、意欲、粘り強さなどが育まれる、という事です。

いかに子供達が遊びに集中できるか。これは保育士さんの腕の見せどころ! 保育園や幼稚園を選ぶ際の指標にもなりますね。

いろんな遊びをする子供たち

希望の園に入れなくても大丈夫! 子供のために親ができること

子供と自然のなかで遊ぶパパ

希望する保育園・幼稚園に必ずしも入れる訳ではなく、また、子供達への教育は保育園・幼稚園ですべて決まる訳ではないですよね。足りないと思う部分は、ぜひ親が補いたいところです。

では具体的に、親は何をすれば良いのか。

番組では、「昔風の遊び」を勧めていました。昔は今のような便利な世の中ではなく、子供は自分達で遊び作らないといけませんでした。だから色んなところを遊び場にするなど、常に工夫をする必要があったのです。でもその不便さが、子供達の「やりたい!」という主体的な気持ちを喚起させ、非認知能力を伸ばすことにつながると言います。

そこで週末などは、子供達が自由に遊べるよう自然のあるところなどに連れて行き、昔風の遊びを大切にしてみれば良いと言います。

自然には教材がたくさんある。木々や花、虫や雑草など、いろんな命がある。そうした自然の中での体験は、大人になってからも残り、大切な財産になる、と言うことです。

だけど、やっぱり文字や数字を教えたい

子供が勉強をしている

子育てをしていると、周りに人から「習いごと」や「勉強のこと」を聞いて焦りがちです。でも番組で「目に見える勉強より、遊ぶことが大切」と教えてもらった事で、ちょっと気持ちを楽にさせてくれました。

とはいえ、やっぱり勉強も気になるところ。

さぁ、文字や数字の勉強をするぞ! と親が意気込むより、子供が遊びに集中する中で、「文字や数字を覚えるともっと面白くなる」と気づかせてあげる方が良さそうです。カブトムシが食べた「すいか」を文字で成長記録したり、見つけた昆虫を図鑑で調べて「キアゲハ」の文字を読めるようになったり。

「やりたい」「知りたい」という自主的な気持ちが、非認知能力を育んでくれるのだから。

番組再放送と、公式サイトでの文字情報

最後に、NHK Eテレ「すくすく子育て」の1時間スペシャル『意外と知らない!? 保育園・幼稚園』の再放送と、公式サイトをご紹介します。

同放送回では、この記事には書かなかった認定こども園のことや、保育士さんの日々の工夫や悩みなども伝えてくれています。保育園と幼稚園について、しっかりと学べる素晴らしい番組でした。

■再放送
2017年7月8日(土) 午後3時〜3時54分

■関連リンク
意外と知らない!? 保育園・幼稚園 【くうねるあそぶ~子ども応援宣言~】:NHK Eテレ
(【追記】記事公開終了しました)

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