ショッピングセンター、駅、空港などの公衆トイレに設置されているハンドドライヤーが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、各所で使用停止となっています。
ハンドドライヤーは危険なのでしょうか?
結論から言うと、「ハンドドライヤーがウイルス感染を広げるとは断定できないが、子どもには使わせない方が良い」といえます。
今回は、ハンドドライヤーとウイルス感染についてお伝えします。
ちなみにハンドドライヤーとは、風で水分を吹き飛ばし、乾かすための乾燥機のこと。各メーカーから様々な商品名で発売されていて(ジェットタオル、エアータオルなど)、総括してハンドドライヤーと呼ばれています。それぞれデザインや機能に特徴はありますが、使用目的はいずれも同じです。
*【付帯事項】本記事は、特定のメーカーや製品を非難するものではありません。
ハンドドライヤーが使用停止 イオン、区役所など
東京・目黒区にあるショッピングセンター「イオンスタイル碑文谷」のトイレです。
2020年2月28日に撮影。「イオンは結構早い段階から安全対策に取り組んでいて、熱心だな!」と、僕は感じました。ハンドドライヤーの使用停止は、ここで初めて見かけました。
ちなみにこの日は、安倍首相が新型コロナウイルスに関する初めての記者会見が行った前日です。
ハンドドライヤーには、「お客様へ ウイルス感染予防のため使用を中止しております。誠に恐れ入りますが、ご協力の程よろしくお願いいたします」と書かれています。
こちらは、東京・目黒区にあるクロスエアタワーのトイレ。目黒区役所の出張所「北部地区サービス事務所」や「目黒区立大橋図書館」などがあるフロアです。3月に入ってから撮影しました。
ここには「Not Available 新型コロナウイルス等、感染予防・拡散対策により当面の間、ハンドドライヤーの使用を中止します」と書かれています。
なぜ、ハンドドライヤーは新型コロナウイルス感染予防のため使用停止になるのか?
実はこれ、厚生労働省や首相官邸の新型コロナウイルス感染症対策ページなどを調べてみたのですが、ハンドドライヤー使用禁止について書かれている文書は見当たりませんでした。
ということは、「自主的に判断したか」「過去のインフルエンザ感染防止対策に準じた判断をしたか」のいずれかになるのでは無いかと考えられます。
数年前の文書ですが、いくつかご紹介します。
新型インフルエンザ対策で、温風ジェット乾燥機は利用禁止
トイレには以下のものを常備しであるので使用毎にふき取り消毒する。
便座クリーナー:便座、使用前後
アルコールティッシュ:水洗ボタン、水洗レバー、ドアノブ(ロック等手で触れる箇所)、水道栓(手動式ハンドル類)、照明スイッチ
ペーパータオル:手ふき用。温風ジェット乾燥機は利用禁止。
擦込式手指消毒薬:手指消毒用。
平成21年(2009年)の行動計画資料ですので、最新のハンドドライヤーでもこれを適応すべきかどうかはわかりませんが、当時はこう指示されていました。
ハンドドライヤー、受け皿の底に溜まった水などを調査
日本環境感染学会誌に掲載された論文です。ハンドドライヤー、特に受け皿タイプについて注意を呼びかけています。
(中略)
手洗い後はハンドドライヤの受け皿に触れぬよう注意が必要であり,水滴の飛散には何らかの対策が必要な可能性がある.
どれくらいウイルスが飛散するかを比較
- 原文(英語) Evaluation of the potential for virus dispersal during hand drying: a comparison of three methods(2015年11月)
- 訳文(日本語) 3種の手指乾燥法によるウイルス分散の比較評価
ペーパータオル、温風乾燥機、ジェット乾燥機を比較して、ウイスルがどれくらい飛散するかを比較した研究論文です。翻訳文を掲載したヨシダ製薬のサイトより一部引用します。
子どもの顔の高さに、多くウイルスが検出されたとのこと。
ハンドドライヤーは、子どもには使わせない方が安心
3つ目の論文は、「ジェット乾燥機は小児の顔の高さに多く検出された」とありました。
ハンドドライヤーの多くは、大人の腰の高さあたりに設置されています。これ、子どもが使うと、ちょうど顔の位置にきてしまうのです。
私ごとになりますが、わが家の息子が3歳の頃から、公衆トイレのハンドドライヤーに惹かれるようになりました。風がブワッと吹いて手を乾かしてくれるのが楽しいようです。最初は微笑ましく感じていたのですが、後に、ハンドドライヤーの中をじっと覗き込んでいるのに気づきました。
手を入れながらですので、顔にも風が当たっています。
このとき僕は、「ハンドドライヤーにインフルエンザなどの病原体が付着していて、それが舞い上がったら、鼻や口からそのまま吸い込んでしまうな」と危険を感じ、それ以降、息子にはハンドドライヤーを使わせないようにしました。
ハンドドライヤーの全てが危険とは言いません。正しく活用すれば良いものだと思います。しかし、「子どもに関しては、使わせない方が良いな」というのが僕の考えです。
念には念をということで、気になる方はご一考ください。
ちなみに、ハンドドライヤーを製造・販売するメーカーのウェブサイトを見ると、最近は抗菌性や衛生面に力を入れているのがうかがえました。本体にウイルスや細菌が付着しても繁殖しづらいということです。そのため、マメに清掃・消毒を行っているハンドドライヤーであれば、それほど心配する必要はないかもしれません。
ただし、抗菌性能の低い旧モデルであったり、あまり清掃・消毒されていないものであれば、用心にこしたことは無いと言えるでしょう。
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