熊本市中央区のマンションで、小学生の男の子が泥団子を上から落とし、マンションの下にいた50代の男性の頭に直撃して、後頭部の裂傷を生じさせるなど、全治2〜3か月の重傷を負わせる事件がありました。
事故の詳細が明らかになったのは、発生からおよそ1か月後のこと。警察はそれまで、殺人未遂や傷害の疑いを視野に入れて捜査を進めていたということです。

泥団子を落とした小学生男児は、まさか泥団子で大怪我をさせてしまったことに驚いているのではないでしょうか。被害を受けた男性は現在治療中で、記憶力の低下もあるとのことです。
参考:小学生の男の子が『泥団子』投げたか マンションからの落下物で男性大けが 【熊本】:テレビくまもと
泥団子をマンションから落下させたときの時速・衝撃力・破壊力

このニュースを、わが家の小学5年生の息子とみていて、大怪我をさせるほどの威力があることに親子で驚かされました。泥団子は乾燥させ陶器ほどの硬さになっていたとのことです。
そこで、実際はどれほどの数値になるのかを、ChatGPTの最新モデルGPT-4.1を使って計算してみました。
条件
- 泥団子の重さ:100g
- 硬さ:陶器並み
- 落下加速度:9.8 m/s²(重力加速度)
- マンション各階の高さ:1階=地上3m、1階ごとに+3m
- 衝突時の時間:0.01秒
計算式
- 高さ h(m)= 階数 × 3m
- 落下速度 v(km/s)= √(2gh)×3.6
- 運動エネルギー E(J)= mgh
- 衝撃力 F(N)= (m × v) ÷ t
冒頭で紹介した事件が起きたマンションは13階立てですが、ここでは20階建てのマンションの場合で計算しました。これは、タワーマンションの最低条件(20階以上または高さ60m以上)の高さです。
階 | 高さ (m) | 落下速度 (km/h) | 運動エネルギー (J) | 衝撃力 (N) |
2 | 6 | 38.9 | 5.9 | 108 |
3 | 9 | 47.9 | 8.8 | 133 |
4 | 12 | 55.1 | 11.8 | 153 |
5 | 15 | 61.6 | 14.7 | 171 |
6 | 18 | 67.7 | 17.6 | 188 |
7 | 21 | 73.4 | 20.6 | 204 |
8 | 24 | 78.1 | 23.5 | 217 |
9 | 27 | 82.4 | 26.5 | 229 |
10 | 30 | 87.1 | 29.4 | 242 |
11 | 33 | 91.8 | 32.3 | 255 |
12 | 36 | 95.8 | 35.3 | 266 |
13 | 39 | 99.7 | 38.2 | 277 |
14 | 42 | 103.7 | 41.2 | 288 |
15 | 45 | 107.0 | 44.1 | 297 |
16 | 48 | 110.2 | 47.0 | 306 |
17 | 51 | 114.1 | 50.0 | 317 |
18 | 54 | 117.0 | 52.9 | 325 |
19 | 57 | 120.6 | 55.9 | 335 |
20 | 60 | 123.5 | 58.8 | 343 |
階数ごとの破壊力
数値だとわかりづりらいので、各階ごとの衝撃力はどれほどの破壊力を持っているのかを、わかりやすく例えました。陶器並みの硬さをもった泥団子(100g)を落下させたときの体感イメージです。
階 | 体感イメージ(直撃した場合の例) |
2 | 分厚い雑誌やノートを頭の上から足の甲に「ドン!」と落とす、子ども同士の肩パン |
3 | 小学生の本気パンチ、台所の包丁の柄で手を叩かれる、転倒した自転車が足にぶつかる |
4 | 1Lペットボトルを肩の高さから足に落とす、友だちに背中を思いきり叩かれる |
5 | スマホを頭上から足に落とす、野球ボールを軽く投げて当てられる、自転車の車体が脚に直撃 |
6 | テニスボールを強く投げて直撃、軽自動車のドアがぶつかる |
7 | ハンマーで軽く「コン」と当てる、ゴルフクラブのヘッドが膝にぶつかる |
8 | ゴルフボールを至近距離で当てる、目覚まし時計が額に落ちる、自転車で急ブレーキ転倒 |
9 | ドッジボールの全力ショットを顔面に受ける、重いフライパンが膝に落ちる、膝を強打してうずくまる |
10 | 大人の本気パンチ、金属製靴べらを足に落とす、低速車両が足をひくレベル |
11 | バットのグリップエンドで腕を叩かれる、電動キックボードの接触事故 |
12 | 2Lペットボトルを顔に落とす、ケンカで保健室行きレベルの強打、軽自動車の徐行接触 |
13 | 硬式野球ボールが時速100kmで当たる、救急搬送が必要な自転車同士の正面衝突 |
14 | 鉄アレイ(1kg)を手に落とす、プロ野球のデッドボールクラス、鋭利な道具が激突 |
15 | 自転車のペダルを全力でぶつける、ケンカで骨折するレベルの膝蹴り、重い工具が頭に落下 |
16 | 鉄パイプで腕を殴打された感じ、自転車のハンドルが勢いよく腹に刺さる |
17 | 交通事故で骨折や頭部外傷の可能性、重いドアが全力で閉まって腕を挟む |
18 | プロ野球のフルスイングが直撃、硬いバットで頭や手を叩かれる |
19 | バイクのハンドルが衝突時に体に直撃、交通事故で即病院送りレベル |
20 | 鉄アレイ(3kg)を1m上から足に落とす、プロ野球の速球が直撃する、重大な交通事故 |
泥団子が頭部に直撃した場合の死の危険性について
落下してきた陶器並みの硬さをもった泥団子(100g)が人間の頭部に直撃すると、マンション何階の高さであれば致命傷となるのか。
10階以上で重症の可能性、13階以上で即死レベルです。
階 | 死の危険性 |
10 | 高齢者・子どもは高リスク、成人でも重傷可能性あり |
11 | 重大な頭部外傷・死亡リスク現実的 |
12 | 成人でも命の危険域、致命的損傷ありうる |
13 | 即死や重篤な脳損傷、死亡事故の現実的リスク |
20 | ほぼ即死〜極めて深刻な致命的外傷 |
事件・事故を防ぐためにできること
マンションやビルなど高いところから物を落とすと、高くなればばるほど(落下距離が増すほど)加速度が増し、衝撃力が大きくなります。
こうした危険性は、小学生ではまだ理解できないことがあります。乳幼児がポイと物を投げて落ちるのを楽しんでいるようにい、小学生でも「これをマンションから落としたらどうなるのだろう」「人や車に当たったらどうなるのだろう」と興味が湧いてしまうことがあるでしょう。
「高いところから物を落とすと、人が大ケガをする」「場合によっては命の危険もある」といったことは、言葉では理解できないかもしれません。そこで、今回のニュースを親子で見ることで、実際に起きた事故について知ることができます。
これだけで全てを防げるわけではありませんが、親子で一緒にニュースをみて、どれだけ危険な行為なのかを話し合う機会にしてみてください。