めちゃくちゃ楽しかった〜。
言葉を使わないコミュニケーションって面白いんだね!
というのも、耳が聞こえない方と初めて対話をしてきました。口から発する言葉が使えないので、身振り手振りと目の表情(口元はマスクなので)で伝えるのですが、これが楽しい。
最初は恥ずかしかったのですが、すぐに慣れてきて、ゲーム感覚でコミュニケーションが取れるようになりました。
「何を言っているのだろう?」と相手をじっとみて、
「僕が言いたいのはこれだ! わかる?」と、相手をじっとみながら伝える。
そんな感じ。
ちなみに僕は、手話をひとつも知りません。そんな状態で挑んだのです。
さて、行ってきたのは「ダイアログ・イン・サイレンス」というイベント。今回は、そこで学べたことは何か? そして僕自身で成長できたことは何か? など、レポートをお伝えします。
ダイアログ・イン・サイレンスとは
DIALOGUE IN SILENCE
静けさの中の対話
「ダイアログ・イン・サイレンス」は、ドイツの哲学者が開発したソーシャル・エンターテイメント。
音声を一切シャットアウトした静寂の中で、顔の表情だけでなく全身を総動員したコミュニケーションで対話する。案内人は音声を使わずに対話する達人である聴覚障害者。特別な研修を積んだアテンドが言語を用いないコミュニケーションの世界を教えてくれます。
1998年にドイツで開催されて以降、フランス、イスラエル、メキシコ、トルコ、中国でも開催。日本では2017年に初開催、約16,000人(※2022年3月末時点)が体験し、これまで世界で100万人以上が体験しています。
一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティの運営で、2022年12月10日(土)よりダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」にて期間限定で開催されています。
■公式サイト
ダイアログ・イン・サイレンス
■会場
ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」
東京都港区海岸一丁目10番45号
目を目を見つめ合うので、ドキドキした
ダイアログ・イン・サイレンスは、数名のチームで行います。人数はその時々で多少異なるかと思いますが、僕が参加した際は6名でした。その6名のチームに対して、1名の案内人が付いてアテンドしてくれます。
僕たちの案内人は、かりんさんという笑顔がすてきで陽気な女性。耳が聞こえない聴覚障害者です。
実は、僕は初めて聴覚障害者の方と接しました。また、参加者同士も会話ができないように、音をシャットアウトするイヤーマフを装着します。
音がまったく無い静寂の中において、人に何かを伝えたいときは、相手の目をしっかりと見つめないといけないのです。初対面の方であっても、目をしっかりと合わせる。これが基本姿勢です。
最初は慣れなかったけど、すぐに慣れて目を合わせらるようになりました。
見つめ合うので短時間で親近感が湧きまますね。普段より、すぐに仲良くなれる気がします。
小部屋を移動しながら、いろいろなアクティビティ
会場内には、いくつかの小部屋が用意されています。
それぞれの部屋でアクティビティが用意されていて、クイズ形式で何を伝えているのかを当てたり、表情だけで自分の感情を伝えたり、自分の想いを語ったりします。
自分の想いを語る……。
そうなんです! 最初は「言葉を使わずに、どうやって会話をしたり、自分の気持ちを伝えたりするんだよ」と思っていました。しかし終盤には、「僕は今回の体験でこんなことを思いました」「かりんさんに質問があります」など、自分の意見が言えるようになったのです。
また、他の方の意見に反応したり、対話をしたり。
かりんさんに質問「目覚まし時計のアラーム音が聞こえないけど、どうやって起きるの?」
僕は、こんな質問をしました。身振り手振りで。
耳が聞こえないかりんさんは、こう教えてくれました。身振り手振りで。
自分で「すごい!」と感激しました。言葉を使わずに、身振り手振りでこんなに会話ができるなんて。
僕の目標「耳が聞こえない方や、言葉が通じない外国人に対して、目でも伝えることができる! 臆病にならず対話するぞ」
最後はみんなで輪になって座談会。
僕は、こんなことをみんなに伝えました。
「相手の目をしっかりと見る効果を知りました。目と目を合わせることで、耳が聞こえない方や、言葉が通じない外国人に対して、目でも意思や感情を伝えることができる。それに身振り手振りを加えると、より伝えられることが増える。これからは、表情を豊かに活用して、いろいろな方とコミュニケーションをとってみたいです」
僕の意見を聞いた参加者さんが、「言葉が伝わらない幼い子どもにも有効だね!」とおっしゃってくださいました。
そんな風に、みんなでお喋りするのです。
世界が、付き合える人の幅が、広がった!
今回の体験を経て、ほんの90分ほど前までは全く思いもしなかった世界が広がりました。
大変失礼な表現ですが、障害者さんということで重いイベントのイメージがありました。「私の辛い状況を知ってください」みたいな……。
でも、その印象はイベントがはじまって数分で吹き飛びました。
とっても楽しいのです。「口から発する言葉を使わなくても、人とコミュニケーションが取れるんだ」というのを体験し、すごくワクワクさせられる気分。
かりんさんも「耳が聞こえなくて困ることはあまり無いなぁ。歩いていて後ろから車が来るのに気付きにくいくらいかな?」とおっしゃっていました。そう、悲壮感はまるでなく、ごく自然なのです。
ちなみに僕は、手話も何ひとつ知らずに参加しました。
イベント中にいくつかの手話を教わりましたが、手話を知らなくても全然OKです。なぜなら……
と、思えたからです。
僕は今回の体験を経て、付き合える人の幅が広がったと感じます。
僕は外国語が苦手なので、外国人といるときは愛想笑いのみ……。そんな自分ともおさらばできそうです。言葉以外でも伝える手段はあるのだから。
ちなみに手話は国によって異なるそうです。もし手話が世界共通だったら、今の英語学習と同じくらい世界の共通語として手話が広がりそうなのになぁ。
ダイアログ・イン・ザ・ダークのレポートは以上です。
とても貴重な体験ができました。自分自身の中で、何か新しい扉が開き、世界が広がった気分です! 日本各地で開催されているイベントではありませんが、東京近郊の方はぜひ開催期間中に体験してみてはいかがでしょうか。
今回僕はひとりで行きましたが、親子でチャレンジするのも良いと思います。ぜひ。