子育てをテーマにしたアメリカ映画『カモン カモン』が、2022年4月22日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショーされます。
ストーリーは、9歳の甥っ子を突然預かることになってしまった独身のジャーナリスト(伯父)の、想定外の日々を描いた心温まるの物語です。子育てをゼロから学びながら、子どもと過ごす中で初めての喜びや驚きを得ていく……。
主演の伯父役は、2019年公開の『ジョーカー』でアカデミー主演男優賞など受賞したホアキン・フェニックス。監督と脚本は、映画『人生はビギナーズ』『20センチュリー・ウーマン』などを生み出したマイク・ミルズが担当。
本作品は、オバマ元米大統領が「2021年のお気に入り映画」にも選出した話題作です!
Next up are my favorite movies of the year. Each of these films tells a powerful story, and I hope you enjoy them as much as I did. pic.twitter.com/peFGiaTvby
— Barack Obama (@BarackObama) 2021年12月16日
カモン カモン(原題:C’mon C’mon)
今回の記事では、子育てをテーマにした注目の映画『カモン カモン』の魅力をお届けします。
また、映画配給会社ハピネットファントム・スタジオ様のご厚意により、本サイト「パパやる」読者様・15名に特別試写会のプレゼントもあります! 当日は、パパ代表としてryuchell(りゅうちぇる)さんも登壇するスペシャルイベントです。
プレゼントご応募フォームは、以下記事内にて。どしどしご応募ください。
【特別試写会】パパやる読者様・15名にプレゼント
『カモン カモン』特別試写会
- 日時:2021年4月11日(月)
- 開場 18:00
イベント開始 18:30
上映開始 19:00
上映終了 20:48 - 会場:東京都内試写室(当選者の方にお知らせします)
- ご招待人数:15名様
*上映前にパパ代表! ryuchell(りゅうちぇる)さんによるトークイベントがございます
\お申込みはこちら/
■応募締め切り:2022年4月3日(日)
■ご当選の方にのみ、配給会社のハピネットファントム・スタジオ様より、4月4日からメールにてご連絡をいたします。
映画『カモン カモン』予告編&ストーリー
4月22日(金)より
TOHO シネマズ 日比谷ほか、全国ロードショー
- 監督・脚本:マイク・ミルズ 『人生はビギナーズ』『20センチュリー・ウーマン』
- 出演:ホアキン・フェニックス、ウディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン、モリー・ウェブスター、ジャブーキー・ヤング=ホワイト
- 音楽:アーロン・デスナー、ブライス・デスナー(ザ・ナショナル)
- 配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
- 2021年/アメリカ/108分/ビスタ/5.1ch/モノクロ/原題:C’MON C’MON/日本語字幕:松浦美奈
- 公式サイト:https://happinet-phantom.com/cmoncmon/
映画レビュー(パパやる)
映画「カモン カモン」を本サイトでご紹介させていただくにあたり、ひと足お先に映画の試写を拝見させていただきました。
感想
子育てをテーマにした映画と聞くと、あなたはどんなシーンを思い浮かべますか?
アクション映画さながらに育児に奮闘するママ・パパだったり、親子が繰り広げるコミカルなようすだったり、夫婦や家族の絆を感動的に描いたものであったり……。そんなイメージを抱く方も多いでしょう。
本作『カモン カモン』は、そうしたふと思い浮かぶたぐいのストーリーではありません。まず、メインとなる登場人物が《独身の伯父》と《9歳の甥っ子》。親子ではないのです。また、派手なシーンや奇想天外な展開もありません。映像はあえてモノクロでつくられ、淡々と物語りが紡がれていきます。
一見地味に感じるのですが、実はそれこそが子育ての生々しさを伝える要素になっています。だって、子育てって日常の積み重ねでしょ? ささやかな出来事を重ねる中で、困惑したり、悩んだり、笑ったり、ハッとさせられたりするわけです。
伯父は、ニューヨークで暮らすラジオジャーナリスト。録音機を担いで、さまざまな方を取材するのが主な仕事です。ふとしたことをきっかけに、ロサンゼルスで暮らす妹夫婦の息子の面倒をしばらくのあいだ一人でみないといけなくなってしまいます。
お互いよそよそしく始める共同生活ですが、徐々に理解や愛情を深めていきます。
たとえば、こんなシーンがありました。ふたりで街を歩いているとき、伯父がふと目を離した瞬間に甥っ子の姿を見失ってしまいます。慌てて探す伯父。無事見つけることはできたのですが、甥っ子は隠れた理由をきちんと説明しません。口にはしませんが、「僕のことを本当に大切に思っているのか? 愛しているのか?」を無茶な行動で確認しようとしたのです。
本作は《独身の伯父》と《9歳の甥っ子》にフォーカスが当てられていますが、母親、父親、そして祖母の人生も並走して描かれます。
つまり、親子3世代が登場するのです。
観る人の立場によって、心にグッとくる場面はきっと異なるでしょう。私ごとではありますが、わが家はには7歳11か月の息子がいます。映画に登場する甥っ子・ジェシーと近い年ごろです。伯父のジョーニーが奮闘する姿に共感されながらも、ジェシーのすべてが愛くるしく思えました。
子どもは保護者がいないと生きてはいけません。だからといって、大人にとって子どもは、お世話をするだけの対象ではありません。学びの対象でもあります。「子どもはみんな哲学者」という言葉をどこかで聞いた気がするのですが、まさにそのような感じで、人生の大切さを気づかせてくれるのです。
映画の感想はひと言では言い表わせませんが、心がじんわりと温かくなりました。そして、子どもを子ども扱いしすぎず、真摯に向き合うことが大切だと感じました。オバマ元米大統領はじめ、大勢が本作を絶賛する理由が少しわかった気がします。
ちなみに映画のタイトル「カモン カモン(原題:C’mon C’mon)」の意味は、終盤で理解することができるでしょう。ぜひ、じっくりご覧いただけたらと思います。とても良い映画でした。
監督・脚本 マイク・ミルズ (Mike Mills) インタビュー
■プロフィール
1966年、カリフォルニア州バークリー生まれ。
アディダス、ナイキ、ギャップなどのCMやエール、ブロンド・レッドヘッド、パルプなどのミュージック・ビデオを監督。また、ソニック・ユースやビースティ・ボーイズのレコード・カヴァーのデザインも手掛け、グラフィックアーティスト、デザイナーとして1990年代のニューヨークのカルチャーシーンで活躍。2005年、『サムサッカー』で長編映画監督デビュー。自身の体験を基に父と子の係を描いた『人生はビギナーズ』(2010)では、同性愛をカミングアウトした父役を演じたクリストファー・プラマーが第84回アカデミー助演男優賞を獲得。同作は数々の映画祭で高く評価され、ゴッサム・インディペンデント映画賞では作品賞を受した。続く『20センチュリー・ウーマン』(2016)は、批評家・観客の双方から称され、アカデミー賞脚本賞にノミネート。自身初の快挙となった。また、07年に制作した長編ドキュメンタリー『マイク・ミルズのうつの話』では、日本の文化に抗うつ剤が導入されたことをめぐる問題を探り、現代社会が抱える問題を描き上げた。なおザ・ナショナルの8枚目のアルバム「I Am Easy To Find」の発売にあわせてリリースされた、同名の短編映画の監督を務めている。
■Filmography 映画作品目録
- 2005『サムサッカー』/監督
- 2007『マイク・ミルズのうつの話』/監督・製作
『ビューティフル・ルーザーズ』/出演 - 2010『人生はビギナーズ』/監督・脚本
- 2016『20センチュリー・ウーマン』/監督・脚本
物語を思いついたきっかけは?
「まず僕にとって良い映画を作る唯一の方法は、自分がよく観るもの、知っていること、関係性があることに ついて作ることだと思っている。それで、今回の場合は、ある日、ホッパー(2012年にミランダ・ジュライと の間に授かった子供)をお風呂に入れている時に、『彼をお風呂に入れていることについての映画を作ろう』 って思ったのが始まりだった。その後で僕(父親)から切り離し、おじという設定を思いついて、とてもしっくりきたんだ。それも子供がおらず、子育てをゼロから学ばなければいけないおじという、意図していなかった流れまで生まれた。バスター・キートン的だよね。自分でも何をしているのかさっぱり分からない人間が、あらゆる経験をしていくんだ。家族は僕たちが経験する最初の人間関係。人は他人との関係性の中で、自分が何者かを学ぶ。接する相手によって自身も変わり、その体験を通して人生について分かってくる。自分の人生について解明する、僕はその真髄を探ろうとしているんだと思う」
ホアキン・フェニックス(おじ・ジョニー役)を起用した理由は? 彼もお子さんが生まれたばかりでしたが?
「この映画の後で、彼の子供は生まれたんだよね。だからそれはまず理由ではなかった。でも彼の出演作を観る度に、いつか一緒に仕事をしたいと思っていた。この役が、彼がこれまでやってきた演技とはすごく違うのもいいよね。まずは彼が脚本を読んでくれたところから始まったんだ。脚本を読んだ上で、一緒にランチをしようということになった。それで彼が、『この映画はすごく面白そうだけど、でも僕にはできない』って言ったんだよ。だから何か月もかけて台本を一緒に読んだんだ。時には4〜5 時間かけて各シーンを演じた。ホアキンがジョニー役で、僕がそのほかのすべての役を演じながら、物語を検証し一緒に台本を練り上げていった。その中で、お互いの経験や考えについても語り合った。子供とは、大人とは、家族とは、兄妹ってどんなものかってことをね。そういうことを繰り返すうちに、彼のことをどんどん好きになっていったんだけど、 映画に出てくれるのかどうかだけは実際の撮影が始まるまで全く分からなかったよ」
ウディ・ノーマン(甥・ジェシー役)について教えてください
「ジェシー役の役者を探すのは至難の業だと思っていた。もし見つからなければ、映画は実現しないだろうと 覚悟もしていたんだ。ホアキンとも、ずば抜けた役者で、この子しかいないと100パーセント確信が持てない場合は、撮るのをやめようと決めていたんだ。そんな中でキャスティング担当から送られてきた最初のリンクにウディがいたんだ。すばらしかったよ! 映画の神様に助けられたと思った。ウディは、より多くの自由を与えれば与えるほど、発想力豊かに活き活きと楽しそうに演じる。ホアキンはすごく面白い人間だけど、ウディは毎回それに反応することができた。対等に向き合うことができるんだ。それができるのは、この子しかいないというのは明らかだったね。みんなに『子供との仕事はどうですか?』とよく聞かれるけど、『子供って、 ホアキン(・フェニックス)のこと?』って感じだね(笑)。ウディは、全く子供という感じではなかったからね」
子供を描くうえで意識した点は?
「多くは僕が自分の子供を観察しているところから着想を得たんだ。僕の子供が、よく僕から隠れたりしたん だ。例えば、ロンドンのど真ん中にいるような時とかにね。最高に恐ろしくなった経験だよ。それで僕が見つ けると、大笑いするんだ。孤児のゲームの話の部分は、アーロン・デスナー(音楽担当)の娘から来たもので、その話を聴いた時に、映画に使いたいってお願いしたんだ。基本的には、僕が自分の目でみたもの、感じたもの、体験したもの、観察したものを元にして創作するのが好きなんだ。つまり完璧なフィクションではなくて、ほとんどジャーナリストのような感じで脚本を書くのが好きなんだよね」
おじ・ジョニー役 ホアキン・フェニックス (Joaquin Phoenix) インタビュー
■プロフィール
1974年10月28日生まれ、プエルトリコ出身。8歳の時にテレビドラマでデビュー。
『スペースキャンプ』(1986/ハリー・ウィナー監督)で映画デビューし、 続く『ラスキーズ』(1987/リック・ローゼンタール)で主演を務める。兄リバー・フェニックスの死をきっかけにしばらく俳優業を休業した後、95年に『誘う女』(ガス・ヴァン・サント監督)より活動を再開、俳優活動する際の名義を本名に変える。『グラディエーター』(2000/リドリー・スコット監督)でアカデミー賞助演男優賞、『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』(2005/ジェームズ・マンゴールド監督)で同主演男優賞にノミネート。『ザ・マスター」(12/ポー ル・トーマス・アンダーソン監督)では、フィリップ・シーモア・ホフマンと共にヴェネツィア国際映画祭の男優賞を受賞、アカデミー賞でも再び主演男優賞にノミネートされた。17年には、『ビューティフル・デイ』(リン・ラムジー監督)にてカンヌ国際映画祭男優賞を受賞。ヴェネツィア国際映画祭で最 高賞の金獅子賞を受賞するなど、世界中で大ヒットを記録した『ジョーカー』(2019/トッド・フィリッ プス監督)では徹底した役作りで最凶のヴィランを怪演。同作にて、アカデミー賞では 4度目のノ ミネートにして初の主演男優賞を獲得し、大きな話題となった。
近年のそのほかの代表作に『her/世界でひとつの彼女』(2013/スパイク・ジョーンズ監督)、『インヒアレント・ヴァイス』(2014/ポール・トー マス・アンダーソン監督)、『教授のおかしな妄想殺人』(2015/ウディ・アレン監督)、『ゴールデン・リバ ー』(2018/ジャック・オーディアール監督)、『ドント・ウォーリー』(19/ガス・ヴァン・サント監督)など。
出演を決めた理由を教えてください
「僕が映画の出演を決める時、その監督がこれまでどんな作品を作ったのかということはそれほど大事ではないんだ。監督と会ってみて僕が好きになれる人かどうかってことが大事なんだね。それで(マイク・)ミルズから脚本が送られてきて、非常に興味深くて、無限の可能性があるように感じたのは大きかった。今振り返ってみても、この物語には、自分が共感できると思えるような瞬間とか感情がたくさん描かれている。脚本が好きだったから、彼に会いたいって思ったんだ。それで実際に会って話してみて、彼となら一緒に仕事 ができる、って思えた。つまり、一緒に何かクリエイティブなことができると思えた。僕から今までとは違う何かを掴み出してくれるのかどうか、僕に何か新しい視点をくれるのかどうか、ってことだね」
ウディ・ノーマンとの共演はいかがでしたか?
「彼のアメリカ英語のアクセントがあまりに説得力があるから、僕は彼がイギリス人だと知って本当に驚いたんだ。初めて会ったのは彼のオーディションだったんだ。どのシーンだったのかは覚えていないんだけど、彼は、その場で脚本には書かれていなかったことを、アドリブで演じたんだよ。それを見た時に、僕も、ミルズも、衝撃的に感動したんだ。それがジェシーというキャラクターの知性を表現していたからなんだけど、でも、それは僕自身が予想もしていなかったものでもあった。そのアドリブに衝撃を受けて、(監督と)2 人で見つめあった。『彼は、ジェシーが映画の中で体験していることを本当に理解しているんだ』というのが分かった。そこで重要だったのは、僕らには理解できていなかった部分だったということ。それが最高で、そういうものこそが共演者から得たい部分だからね。
この映画を撮る前に、僕もミルズも、自然でリアルに見えることを目標としたんだけど、でも、自然な演技をしている、というものにはしたくなかったんだ。そんな中で、ウディがどうやればいいのかという例となり、 毎日僕の目の前にいてくれた。彼が目標を示してくれて、色々な意味で僕のガイドになってくれた。この映画の役作り、演技、制作過程で、僕にとって大事だったのは、ウディのやっていることをしっかりと聴くことだっ た。そして、彼のやったことを受けて反応するということだったんだよ。通常、主役を演じると、そのシーンを率いないといけないと思ってしまうんだ。だけど今回はその必要がなかったし、相手の言うことに耳を傾けて反応するという行為はとても新鮮だったよ」
映画館、上映期間・時間などは公式サイトへ
映画『カモン カモン』は、2022年4月22日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー。上映される映画館、上映期間・日時、チケット購入などの情報は、公式サイトをご確認ください。
公式サイト:https://happinet-phantom.com/cmoncmon/