- アフターコロナ・ウィズコロナと言われているけど、私の生活はどう変わるの?
- 新しいライフプランや目標の立て方がわからない……
- 変革期を「乗り越えられる人」と「乗り越えらない人」の差は?
こうした疑問や悩みは、日々のニュースばかり見ていても将来の見通しは立てられません。なぜなら、目の前のことでなく、もっと先を見る必要があるからです。
慶應義塾大学SDM研究科教授の前野隆司さんは、こう言います。「今は、明治維新や戦後のような変革期である。従来型では説明できない想定外の事態となり、新しい世の中が築かれる、時代におけるイノベーションが起きている」……と。
つまり、コロナ前の社会や世界は、もう戻ってこないのです。
そこで、各界の知の巨人6名が揃い、オンライントークイベント「My Revolution 2020」が開催。緊急事態宣言全面解除の日から、7夜連続で限定オンライン生配信されました。
各回90分、全10時間30分。
非常に膨大で濃厚な内容だったのですが、この記事では「My Revolution 2020」エッセンスをお伝えします。
これを読めば、不明瞭だった将来像がクッキリと浮かび上がり、今日から行動を起こしたくなるでしょう!
そして私ごとですが、僕も7日間のオンライントークイベントに視聴者として参加し、「やろう!」と決めたアクションについても記事の最後に書いています。
My Revolution 2020 これからの「仕事」「家族」「自分」を描く7日間
目次
■イベント概要
アドラー式コミュニケーションの熊野英一と、子育てサイト「パパコミ」編集長で兼業主夫放送作家の杉山錠士が、生き方や働き方に一家言を持つ方々を迎えて開催するオンライントークイベント。生き方・働き方に関わる歴史的な大転換の瞬間を脳裏に刻もうとする試みです。誰もが予想し得なかった今の状況。そして変わりゆく日常。一緒に考え抜きましょう!
主催:株式会社子育て支援 株式会社ジョージ
協力:NPO法人ファザーリング・ジャパン
▼主催・司会進行▼
アドラー式コミュニケーション
株式会社子育て支援 / ボン・ヴォヤージュ有栖川 代表 1972年フランス・パリ生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。メルセデス・ベンツ日本にて人事部門に勤務後、米国インディアナ大学に留学(MBA/経営学修士)。製薬企業イーライ・リリー米国本社および日本法人を経て、保育サービスの株式会社コティに統括部長として入社。2007年株式会社子育て支援を創業。保育サービスを展開しながら、アドラー心理学に基づくコミュニケーションを伝えるべく、全国での多数の講演や「アドラー子育て・親育てシリーズ」「パパのためのアドラーシリーズ」の刊行等を通した活発な情報発信も行う。
「アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本」「アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本」 その他著書一覧
「パパコミ」編集長
1976年生まれ。パパ向け子育て情報サイト「パパコミ」編集長。株式会社シェおすぎ所属、株式会社ジョージ代表取締役。高2と小3という年の離れた二人の娘を子育てする兼業主夫放送作家としてFMラジオを中心に活動。地域ではPTA会長やパパ会運営を担当。NPO法人ファザーリング・ジャパンではプロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「主夫の友アワード」「娘のためのパパ家事スクール」「パパ家事サイエンス」「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。パパたちの思いを結集した子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、パパ向けスクール「スゴパパ工場」工場長。
\それでは本編はスタート!/
前野隆司「幸せをどうする?」(第一夜)
慶應義塾大学SDM研究科教授 幸福学のスペシャリスト
山口県出身。 1984年東京工業大学卒業、1986年同大学修士課程修了。 キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て現在慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。 慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。
幸福学のスペシャリストである前野隆司さんは、今回の新型コロナ禍はイノベーションの条件と似ていると言います。イノベーションとは、まったく想定外のもの、0から1を生み出すことです。
日本の近代史を振り返ると「明治維新」や「戦後」は、従来型では説明できない想定外の事態となり、新しい時代が築かれました。まさに時代におけるイノベーションです。今まさに、このときのような大きな変化が起きている、という訳です。
しかし、世の中は「2極化」しつつあります。おもいきって舵取りしたり、ゼロから始めたりする人がいる一方、立ちすくんだり、元に戻ろうしたりする人もいるのです。
そんな変革期において、幸福になるにはどうすればいいのでしょうか。
幸せになるための、2つのポイント
幸せになる方法は、シンプルです。
「ワクワクすることをして、みんなと仲良くする」
基本はこれだけです。
幸せな人というのは、多様なつながりがあって、やる気があって主体的なのです。
【1】多様なつながり
多様なつながりを持つためには、自分のことばかり考えず、利他的にみんなで貢献し合うのがポイントです。そうすることで、感謝が生まれ、人と人がつながれるからです。
具体的には、もし孤立している人がいたら、場を提供する活動を起こします。たとえば、田舎にいるお母さんとオンラインで食事をしたり、友人とZoomを使って飲み会をしたりして、取り残さないように工夫をするのです。
ただ、このときの対話に注意点があります。
「そうじゃないだろ!」
「なぜやってないんだ!」
こうした一方的なコミュニケーションはNGです。相手の言うことをちゃんと聞いて、意見が食い違っていたら保留します。
今は想定外の事態が起きているので、今後どうなるかはわかりません。そんなときは、目の前のことだけを話すのではなく、本質的な会話を心がけるのが大切なのです。
「我々は、なんで生きているんだろ」
「私たち家族は、何が目的なんだろ」
目の前のことに対して文句ばっかり言ってると仲は悪くなってしまいますが、大きな視点から本質的な話ができると、人と仲良くなれるでしょう。
【2】やる気があって主体的
仕事は給料のために仕方がない……と、やらされ感で取り組んでいると、幸福という視点からは遠ざかってしまいます。
だからといって、簡単に勤め先を辞める訳にはいきませんよね。
でも、どんな仕事であっても、ワクワクする仕事になり得るのです。人間関係ができていて、仕事の意味(意義)を俯瞰的に捉えていれば、「この仕事は、社会のためになっているんだ!」とワクワクできます。
ちなみにこれは、子育てでも同じ。「子育ては母親の仕事です」と、もし女性が言われたら辛いですよね。そうではなく、夫婦でちゃんと話し合った上で、子育てや家事の役割分担ができていれば、やる気があって主体的に取り組むことができます。
苦手な人も、嫌いな人も、許して愛す
このように、多様なつながりを持ち、やる気があって主体的であれば、幸福になることができます。
でも、どうしても嫌いな人や気に食わない人がいる場合もあるでしょう。
そんなとき、まずは許しましょう。
苦手な人も、嫌いな人も、許して愛する。ブッダやキリスト、ジョン・レノンもできているのだから、我々もやればできるでしょう。
許さないから、目には目を歯に歯をになってしまうのです。
一度きりの人生なのだから、自分のことばかり考えるのではなく、みんなのことを考えて生きましょう。家族のこと、社会のこと、世界のこと、みんなを共に生きる人として。
ポイント!
- 多様なつながりを持つ(みんなと仲良く)
- 主体的な取り組みをする(ワクワクすることをやる)
- 許して愛する
前野隆司さんをもっと知る!
関連リンク
田中靖浩「働き方どうする?」(第二夜)
田中公認会計士事務所所長、東京都立産業技術大学院大学客員教授
1963年生まれ、三重県四日市市出身、早稲田大学商学部卒業。外資系コンサルティング会社などを経て独立。田中靖浩経営コンサルティング、会計セミナーといった堅めの仕事(A-side)から、 落語家・講談師との公演など柔らかい仕事(B-side)まで幅広く活動中。経営・会計の基本から最新動向を真面目にポップに、ときには笑いを交え変幻自在に解説する。書籍執筆、新聞・雑誌連載、ラジオ・テレビ出演など多数。
会計のスペシャリストである田中靖浩さんは、枠にはまらないポップな公認会計士として幅広い人から支持されています。堅めのお仕事だけでなく、会計エンタメとしてベストセラーとなった著書「会計の世界史」を生み出したり、寄席に通い詰めて落語家さんとのコラボを実現したり(参考:田中靖浩 B-sideプロフィール)、まさに変幻自在。
そのルーツは、どうやら幼少期にありそうです。田中靖浩さんは子どもだった頃、ご自身の父親をみて「お父さんはかっこよくて、人として魅力的。あんな大人になりたいな」と思っていたのだとか。
そんな田中靖浩さんは、アフターコロナ・ウィズコロナ時代の働き方について、どう考えているのでしょうか。
先のことを考える
いつの時代でも、やっぱり人間は変わらない。
目先にばかり、とらわれている。「いつ緊急事態宣言が解除されるのか」とか、「今日の感染者は何人だ?」とか。メディアもこうした人間の特性をわかっているので、飲み屋の大将の大変さだったり、10万円の給付金を早く届けてくれだったり、そういう報道が多くなってしまう。
ほんの3、4か月前まで一番盛り上がっていたのは「人生100年時代」。長い人生をどうやって健康で仕事して行くか。そんな話をしていたはず。でもコロナ禍においては、みんなそんな話題を出さなくなってしまった。
もちろん、新型コロナウイルスに感染したくないし、家族や仲間も感染して欲しくない。「手を洗えよ」とも思う。でも、感染予防に努めるのは当たり前というか、それは動物的本能であって、本来はその先のことを考えるべき。
コロナにかからないで元気でいられた後、どうやって生きていくか、どうやって働いて行くかを考えないといけないのではないでしょうか。
企業に頼って、企業を信じて生きていく?
日本ではこれまで、国は企業を頼り、個人の多くも企業を頼ってきました。たとえば、国は税金の徴収を企業に任せ、個人は、企業に所属して働くことを良しとし「いい会社に就職する」ことを目指してきたのです。
しかし今後、寿命が伸びて国の年金負担が増えるなか、国は例によって企業に定年延長を頼ることができるでしょうか。為替レートの問題、輸出先の問題、中国をはじめとする諸外国の追い上げなど、様々な不安要素があるなか、これまでのように収益を上げて雇用し続けるのは厳しくなってくるでしょう。
本当は雇いたくない。
でも国は「もっと雇え」と言ってくる。
個々の会社によってばらつきはあるけど、全体として飼い殺しが始まるでしょう。
雇うけど、労働の時間と質がかなり変わる。特に40代後半より上の世代は、プライドが傷つけられる働き方になる。厳しい状態が始まるのではないかと思われます。
では、私たちはどうすれば良いのでしょうか。
今までのように、企業に頼って、企業を信じて生きていって良いのでしょうか。
結論は、個々にみんなが頑張るしかありません。これまで培ってきた、学問、経験、コミュニケーションを合わせ、さらなる実力を発揮するのです。
自分自身が主人公となって、人と動く
働くというのは、その字のとおり「人と動く」ということです。
人を動かすというおこがましいものではなく、自分自身が主人公として動くということです。そして、いい仲間も見つけて一緒に動く。
人間は結局孤独なので、最後の最後は自分で頑張らないといけないのですが、新しい時代に何かをしとうとするとき、自分だけでやるには限界があります。これまでの枠組みにとらわれずに、新しい場を作っていくというのを、気の合う仲間と一緒にやっていくのがすごく大事です。
今は、インターネットで通じて世界中の人とつながれるのだから、どんな人でも動ける環境が整っているはず。
場に関していうと、そこには2種類の人がいます。場を作る人と、場に参加するだけの人です。このとき、場を作れる人間にならないといけません。あちこちに参加しているだけでは受け身です。能動的に動くのが重要です。
さて、そんな自分は何を突き詰めていくのか。
自身の専門性を突き詰めたくなりがちですが、それはおすすめではありません。なぜなら、好きから離れてしまったり、そこにライバルがいて競争になってしまったりするからです。そこで、専門家ではなくスペシャルを目指しましょう。つまり、余人を持って代えがたい人になる、という訳です。
耳をすませてください。
街を歩いて、変化の音をちゃんと聞いてみてください。目ではなく、耳を頼ってみてください。目で見ると、映像や文字など具体的なので影響を受けやすくなります。具体的では無い、感覚を大事にするのです。そして自分なりの動きを始めてみてください。
ポイント!
- 人と動こう
- 場を作ろう
- 専門家より、スペシャルを目指そう
田中靖浩さんをもっと知る!
林田香織「夫婦でどうする?」(第三夜)
ワンダライフLLP代表 パートナーシップのスペシャリスト
日米の教育機関において、長年にわたり日本語教育に従事。8年の在米期間を経て、2008年帰国、2009年独立。2010年ロジカル・ペアレンティングLLP(現ワンダライフLLP)を立ち上げ、子育て世代の支援に従事。自治体、企業において、両立支援セミナー、育休前・復帰前セミナー、配偶者向けセミナー、夫婦向けコミュニケーションセミナー等の講師を多数務める。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、NPO法人コヂカラ・ニッポンの理事などを現任。九州男児の妻、三人の男児の母。
「パパとママの育児戦略」「ママの仕事復帰のために パパも会社も知っておきたい46のアイディア」 その他共著多数
林田香織さんは、三人の男児の母。新型コロナウイルスで緊急事態宣言が発令される中、今度大学受験を迎える息子さんが、「俺はこの人生で何をやりたいんだ?」と自分に問いただし、進路を考え直したそうです。
私たち大人にとっても、今はちょっと立ち止まって、この先の人生を捉え直せるチャンスにしたいですね。
さて、次は夫婦についてのお話。結婚されている方にとっては、夫婦は生活のベースとなるユニットです。ここをより良くしたいですよね! パートナーシップのスペシャリストである林田香織さんが、いい夫婦関係でいられるためのアドバイスを具体的に伝えてくれました。
今日から実践できることも沢山あるので、ぜひ今すぐスタートしましょう!
他人と比較しないのが大事
新型コロナウイルスの影響で、生活に占めるオンラインの割合がこれまで以上に増えました。Zoomを使って仕事や学習をしたり、SNSを活用して友人とコミュニケーションをとったり。
そうしてオンラインに触れる時間が長くなる中、他人の様子や投稿に焦りを感じたり、劣等感を覚えたりすることもあるでしょう。
でも、その必要はありません。
なぜなら、FacebookなどSNSには良いことばかりを投稿したくなったり、家庭の状況は人それぞれ違っていたりするからです。
周りの人がどうやってるのかを参考にするのは良いけど、それを自分と比較しないのは大事なポイント。周りの人を参考にする際は、「うちではこうだよね」と、夫婦や家族で会話をするのをセットにしてください。
その上で、自分が本当にやりたいことを考えてみると良いでしょう。
夫婦ゲンカを無くす5か条
妻・夫とじっくり話し合いたいと思っていても、なぜかイライラしたり喧嘩になったりすることに悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
それはなぜなのか? 実は、身近になればなるほど「わかってくれて当たり前」と思い込み、それを前提にしてしまいがちだからです。そのため、そもそも相手にきちんと説明していないのに、わかってくれないことに対して怒りが沸いてくるのです(理不尽……)。
最も身近なパートナーとはいえ、わかってもらうための努力は欠かせません。
ここでは、本イベントを主催し、司会進行を努める熊野英一さんより、夫婦喧嘩を無くし、コミュニケーションを円滑にする方法についての解説がありました。
夫婦のコミュニケーションにおける、グラウンドルールとしてご活用ください。
夫婦ゲンカを無くす5か条
- 挨拶をしっかりしよう
- 相手の状況をちゃんと考える
- 会話の目的を最初に伝える
- 共感ファースト
- 感謝
1. 挨拶をしっかりしよう
親しき仲にも礼儀あり。「おはよう」「おやすみ」「美味しい」など、挨拶をしっかりしましょう。これを端折るということは、そもそもコミュニケーションのスタートがずれていることになります。
2. 相手の状況をちゃんと考える
相手が、ダイニングテーブルに座っている、ソファーでスマホを触っている。一見ぼんやりしているようで、もしかしたら考え事をしているかもしれない。それを考慮せず、いきなりわーっと話し始めたら、相手は「なんだよ!」となってしまいます。
職場だったら「ちょっといい?」とか、「今、3分時間ある?」とか、「このことで話したいから、あとで5分ちょうだい」とか、こうした声をかけて相手の状況を考えますよね。夫婦であっても、そういう配慮をしましょう。
3. 会話の目的を最初に伝える
会話を始めるとき、何をして欲しいのか目的を伝えましょう。「話を聞いてくれるだけでいいんだけど」「アドバイスが欲しいんだけど」など。
4. 共感ファースト
相手の意見に同意できないことはいっぱいある。お金のこととか、子育てのこととか、大体意見は割れる。そのときに戦うのではなく、同意はできないかもしれないけど、まず共感することから入りましょう。
ちなみに共感とは、相手のことをよく見て、相手に敬意を払って、相手が何を考えているかを想像すること。つまり、相手の関心に関心を持つ、ということです。
5. 感謝
「ありがとう!」「今、何かできることある?」など、思いやりの声を掛け合いましょう。
子どもが憧れる笑顔の夫婦6か条
夫婦のコミュニケーションが良好になったら、さらなる高みを目指しましょう。
ここでお伝えするのは、「子どもが憧れる夫婦」になるための心がけ6か条です。
これは、林田香織さんが理事を務めるNPO法人ファザーリング・ジャパンの「パートナーシッププロジェクト」で、林田さんはじめ、おそよ20人のお父さん・お母さんが関わって完成させたものです。
子どもが憧れる笑顔の夫婦6か条
-
- 恋人でいよう
- 個人でいよう
- 親友でいよう
- 戦友でいよう
- 味方でいよう
- 相方でいよう
ちなみに、6か条全部をクリアしなくても大丈夫!
夫婦の関係性は、場所、時間、ライフステージによって変わるからです。その時々によって、戦友だったり、親友だったり。
恋人じゃ無くなったから、私たちはおしまい……という訳ではないのでご安心を。
1. 恋人でいよう!
相手に、目と心を向け、関心と興味を持ちましょう。また、デートやスキンシップなど、二人の時間と空間も大切にします。
2. 個人でいよう!
夫婦も他人。個人だと認識しましょう。そして、お互いに一人の時間が持てるよう配慮します。このとき、残念がるのではなく、違いを楽しんでください。個でいることも大切です。
3. 親友でいよう!
お互いに尊敬できるところを見つけ、認め合い、そして競争相手ではなく良きライバルとして高め合いましょう。また、くだらない話など雑談も大切に。
4. 戦友でいよう!
人生のチャレンジを、夫婦でフォローし合い、乗り越えよう。ただし、「この問題・課題の解決は、自分たちでは厳しいね……」と思ったら、他の人を頼りましょう。外部にヘルプ要請です。
5. 味方でいよう!
妻・夫が大変なときは、サポートしましょう。相手を否定したり、評価したりせず、まずは話を聞く。「世の中のみんなが敵になっても、自分だけは味方でいる」。そんな存在でありたいですね。
6. 相方でいよう!
妻・夫は、笑顔になっているかな? 夫婦で、わははと笑い合いましょう。そして、そんな二人の笑顔で、子ども達も笑顔にしましょう。
スペシャリスト型夫婦から、ジェネラリスト型夫婦へ
ここまで、夫婦間コミュニケーションの大切さや、それを円滑にするためのコツをお伝えしました。少しずつ今から取り入れてみてください。
ところで、ここまでの話を聞き、「僕が子どもだった頃、うちの両親はそんなに喋ってなかったよ」と思った方もいるでしょう。
実は、昔の夫婦と、今の夫婦では、少し様子が変わってきています。
私たちの親世代の夫婦は、「スペシャリスト型夫婦」と言われていました。たとえば、稼ぐのはお父さん、家事・育児はお母さん、といった分業です。これだとコミュニケーションをそれほどとらなくても、家庭の運営は上手く行きます。それぞれがスペシャリストだからです。
でも、現代は「ジェネラリスト型夫婦」と言われています。スペシャリストは職人のように特定分野に精通している人のことを言いますが、ジェネラリストは管理職やプロデューサーのように総合的に判断する人のことです。
つまり、夫婦で補完し合うということです。
これは共働き夫婦に限ったことではなく、精神的な面とか、家事・育児とか、地域との関わりとか、いろんなことを補完し合わないといけません。
チームでやるためには、コミュニケーションは欠かせませんよね。「うちはここはスペシャリストだね」という部分はコミュニケーションを取らなくてもいいかもしれませんが、協業したい部分についてはコミュニケーションは必要です。
また、協業は、とりあえずやってみるのが大事です。失敗したり、イラッとしたりすることもありますが、そのことにより「あっ、ここじゃなかった」「このやり方は違うな」など気づけるからです。
その上で、妻・夫と「何が大事か」「何をしたいか」などを話し合いながら、素敵な夫婦を目指してくださいね。
ポイント!
- 他人と比較しない
- 協業するには、夫婦のコミュニケーションが必要
- 子どもの憧れ夫婦になろう!
林田香織さんをもっと知る!
藤田一照「自分はどうする?」(第四夜)
曹洞宗僧侶
1954年、愛媛県生まれ。灘高校から東京大学教育学部教育心理学科を経て、大学院で発達心理学を専攻。院生時代に坐禅に出会い深く傾倒。28歳で博士課程を中退し禅道場に入山、29歳で得度。33歳で渡米。以来17年半にわたってマサチューセッツ州ヴァレー禅堂で坐禅を指導する。2005年に帰国し現在も、坐禅の研究・指導にあたっている。
僧侶の藤田一照さんは、僕たちがイメージするお坊さんとはちょっと違うかもしれません。なぜなら、灘高から東大、そして大学院へと進学した超エリートにも関わらず、大学院を中退し禅道場に入山、という経歴をお持ちだからです。しかも、活動の場をアメリカヘも広げ、スターバックス、フェイスブックなど、アメリカの大手企業でも坐禅の指導をされたそうです。
つまり、表現は適切ではないかもしれませんが、「世界中に藤田一照さんのファンがいる」という訳です。
お坊さんの話は堅苦しそう……なんて思わず、ぜひご覧ください。とってもハートフルなんですよ!
千載一遇! 今こそチャレンジしよう
病気でも無いのに、1か月も、2か月も、外出できないなんて滅多にないこと。これは千載一遇。
しばらくはSTAY HOMEの生活を我慢していても、そのうちに、目が内側を向き、自分自身に関心が向いてくる人も多いでしょう。パートナーシップや仕事のことだけでなく、もっと根源的な、「私はどう生きてるのだろう?」「私は何がしたいのだろう?」といった疑問が湧いてくる。
このとき、それをポジティブに捉えている人は、「これから何が起きるんだろう!」とワクワクしているのです。
すべての生き物は、使わなければ能力が萎縮してくる廃用性萎縮という性質を持っています。そのため、適度なチャレンジも時々更新していかないと、慣れてしまって心身ともに廃用性萎縮を起きてしまうのです。
失敗しないように、失敗しないように……という意識を持っていると、廃用性萎縮の方向に向かうことになってしまいます。
だから今こそ、チャレンジングな方へと自分を向かわせることで、ワクワクできるのです。
ハートの火を消さないで
「こんなことにチャレンジしたい!」と思っていても、インテリジェンス(知性)が、自分のやりたい気持ちを封じ込めてしまうことがあります。「こうやれば、ああなるんじゃないか」と、失敗することを予測して、行動を抑制してしまうのです。
人間は、頭脳だけで生きている訳ではありません。
人間にはハートがある。
つまりパッション。
「できるかどうかわからないけど、やりたい!」
そんなハートに着いた熱い火を実現させるのが、マネージャーに当たる頭脳です。頭にある知識を活かし、実現させるための戦略を冷静に考えるのです。
熱い心と、
冷たい頭。
そして、それをさらに実現に近づけるには、同じような熱量を持っている仲間を見つけて協働でやるのがコツ。人間は、そのために言葉を持っているのだから。
まずは、自分の心の声。ハートボイスをしっかりと聞いてみてください。新型コロナの自粛生活は、それを強いる形で自分と向き合うきっかけを与えてくれています。
ハートの火は消さないで!
子どもは計画をこなすより、ハプニングの連続の方がハートに響く
子ども達にも、これらを伝えたい場合、どうすれば良いのか? 実は、大人のように言葉で説明しても、子どもはなかなか理解できません。むしろ「うるさいな」と思われるだけかもしれません。
そこで、いろんな生活体験を通じて、子どもたちのハートのポケットにマテリアル(原材料)をいっぱい蓄えてもらうのです。
大人にとっては大したことではなくても、子どもにとってはキラッと輝くものがあって、そうしたものは、子どものポケットにどんどん入っていきます。
ただし、大人がこれをプランニングすることはできません。
だから、なるべく情報量の多い場所へ行きましょう。それは自然が多いところ。自然には言語化できないものがいっぱいあるからです。都会は情報量が多そうで、実は単純。直線が多いし、ビルや信号など、あらゆるモノに名前がついています。でも、自然は複雑で、見るたびに変化もして慣れないから、人間の感覚が喜ぶのです。
それと、子ども達には、計画をこなすことばかりに注力するのではなく、ハプニングの連続の方がハートにリッチなものが入ってきます。
頭脳だけでもダメ。
ハートだけでもダメ。
心と頭の両方にポケットがあることを、大人は知っておいてあげると良いですね。
ポイント!
- 常にチャレンジしてワクワクしよう
- 熱いハートと、冷たい頭脳
- 子どもにはハプニングの連続を
藤田一照さんをもっと知る!
副島賢和・あかはなそえじ「子どもたちはどうする?」(第五夜)
昭和大学大学院保健医療学研究科准教授 病弱教育のスペシャリスト
1966年福岡県生まれ。都留文科大学卒業後、25年間東京都の公立小学校教諭として勤務。1999年、都の派遣研修で、東京学芸大学大学院にて心理学を学ぶ。2006年より品川区立清水台小学校教諭・昭和大学病院内さいかち学級担任。学校心理士スーパーバイザー。ホスピタル・クラウンの活動もしている。ドラマ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ/2009年)のモチーフとなる。2011年には、『プロフェッショナル仕事の流儀』(NHK総合)にも出演。
「あかはなそえじ先生の ひとりじゃないよ―ぼくが院内学級の教師として学んだこと」「赤はな先生に会いたい!」 その他著書一覧
副島賢和さんは、大泉洋さんが演じるドラマ「赤鼻のセンセイ」(日テレ)のモチーフになった先生で、「あかはなそえじ先生」として知られています。
かつて、公立小学校で教諭として勤務されていたとのことですが、今は、東京にある昭和大学附属病院内の院内学級で担当をされています。院内学級とは、入院で学校に通えない子ども達が病院内で学習する場のことです。
さて、新型コロナウイルスにより、学校が長期の臨時休校となり、不安を感じている親御さんや先生方はたくさんいるかと思います。前例のない事態に直面し、「オンライン授業を始めないと!」「9月入学にした方がいいのではないか!?」「入学式は?」「受験は!?」など、様々な意見が飛び交い、あたふたしました。
しかし、院内学級はじめ病弱教育に携わる先生方は、日頃より学校に通えなくなった子ども達と向き合っています。そこにヒントがあると言えるのではないでしょうか。
病弱教育は、(通常の)学習指導要領に「準ずる」ことができる、と定められているそうです。
準ずる教育というのは、45分間集中するのが難しい子に授業内容を精選したり、4年生だけど3年生の内容を取り扱ったり、国語の中に社会科を混ぜて両方やったことにできたりする、ということです。病気で全部やるのは困難なので、こうしたことが保証されているのです。
まず前提として、公教育(*1)は法律という枠の中でやっているので、それを無視して「好きに教育してもいいじゃん」とは言えません。
好きなようにできない、事によっては法改正も必要、という事情を踏まえた上で、副島賢和さんは「新型コロナウイルス禍により子ども達全員が当事者だと考えたら、《準ずる》という発想を持ち込んでくれたら良いのにな、と思います。そうすることで、子ども達の負担は減るし、先生達は自分たちのアイデアを活かせるし、色々な工夫ができる」と希望を込めて、アフターコロナ・ウィズコロナの教育についてアイデアを語ってくださいました。
*1. 公教育(こうきょういく)とは、公の目的によって行われる教育の総称。日本においては、教育基本法第6条の定めにより、法律に定める学校は公の性質を持つとされており、国や地方公共団体のほか法律に定める法人のみがこれを設置できるとされていることから、国立学校、公立学校のほか、学校法人の認可を得た私立学校も公教育を行う学校であると解釈される。
Wikiepedia「公教育」より一部引用
学校に行くのが不安、怖い……。10個のチェック項目
緊急事態宣言が解除され、ようやく少しずつ学校が再開する中、子どもは全員が「うぉー!」「やったぁ!」と喜んでいる訳ではありません。学校が始まることに、不安を感じている子どもいます。
学校再開に不安を感じている子どもに対し、大人はどう向き合えば良いのでしょうか。
昭和大学病院の院内学級では、「学校に戻せるかどうかの10個のチェック項目」を独自に作り、退院できる子ども達に対して活用しています(副島賢和さん考案)。今回の新型コロナウイルスによる長期臨時休校で、学校再開に不安を感じている子ども達にも、このチェック項目を役立てることができるでしょう。
10個のチェック項目
- 学校にもともと居場所があったか
- 休みのあいだ、学校や友達はその子とつながりをもてていたか
- 復帰するにあたり、その子の不安を解消できたか
- 復帰したとき、その後の見通し(短期・中期・長期)を、その子自身がもてているか
- 学校にその子が相談する場所(人)があるか
- 学校以外にエネルギーチャージできる場所(サードプレイス)があるか
- 学校に行けなかった経験を将来的に糧にできるような種を植えられたか
- 受け入れる側(学校・先生・友達)が成長できているか
- その子が力をつけられたか(助けてと言える力、耐えられる力、質問できる力)
- 学校の体制として、その子を迎え入れられるか
1. 学校にもともと居場所があったか
入院前、学校に居場所があって、学校が良い場所だと思っていたか。
2. 休みのあいだ、学校や友達はその子とつながりを持てていたか
入院中、学校や友達が、つながりを持っていてくれたかどうか。
3. 復帰するにあたり、その子の不安を解消できたか
学習の不安だったり、友達関係だったり、健康面での不安だったり、それらを一つ一つ手当てをし、軽減・解消できたかどうか。
4. 復帰したとき、その後の見通し(短期・中期・長期)を、その子自身がもてているか
退院後の、先の見通しが持てているかどうか。たとえば、最初は午前中しか登校できないとか、1か月くらい経ってお医者さんの許可がでたら毎日通うことができるとか、受験に向けて先生が補習をしてくれると言ってくれたとか。これは学校生活だけでなく、就職とか、家族を持つとか、将来の見通しも含みます。
5. 学校にその子が相談する場所(人)があるか
誰でもいい。担任の先生じゃなくてもいい。学校の主事さんでも、用務員さんでもいい。その子が辛いとき、ふっと行ける場所があるかどうか。
6. 学校以外にエネルギーチャージできる場所(サードプレイス)があるか
家でも良いし、駄菓子屋でも良いし、習いごと先でも良い。どこでも良いので、学校以外にエネルギーをためられる場所があるかどうか。
7. 学校に行けなかった経験を将来的に糧にできるような種を植えられたか
院内学級の子ども達は、「学校に行けなくてよかった」とは思っていません。でも将来的に自分を振り返ったとき、「あのとき良いこともあったよな」「あの人に会えたよな」などと思えるよう、そっと種を植えることができたかどうか。
8. 受け入れる側(先生・友達)が成長できているか
入院していた子どもや不登校の子どもがかえってくる時、クラスの中に受け入れる素地ができているかどうか。もちろん、担任の先生は心砕いて取り組んでいると思う。その上で、クラスメイトも「困ったことがあったら言ってね」と声をかけられるなど、クラス全体が育っているかどうか。
9. その子が力をつけられたか(助けてと言える力、耐えられる力、質問できる力)
本人に、ちゃんと力をつけられているかどうか。しんどいときに「助けて」と言える力、じっとしていられる耐える力、わからないときに先生に質問できる力など。
10. 学校の体制として、その子を迎え入れられるか
学校の体制として、組織として、できているかどうか。
以上が10個のチェックリストです。
これ以外にも人によっては、兄弟のこととか、親御さんとの関わりなども大事になってきます。
「助けて」と言える、援助希求スキルの身につけ方
やらなきゃいけないと思っていても、どうしても動けない。そんな子どもに対して、大人はどう接すればいいのでしょうか。
ここで大事なポイントは救助希求。援助希求とは「助けて」「手伝って」と言える力のことです。実は、この援助希求のスキルを持っていない子がいるのです。
「助けて」と言うと心が悲しくなったり、「もうやだ……」と動けなくなったり、「悲しいなんて言う自分はダメだ。そんな自分には価値がない」と考えてしまったり。
そんなふうに思っていたら、「助けて」なんて言えません。
そこで、子どもと「助けて」と言えるようになる練習をします。同時に、大人も「助けて」という姿を見せます。たとえば、「これわかんないだけど、どうするの?」「それどうやってやるゲームなの?」などと聞くのも、助けてという姿勢です。
また、子どもには「助けてもらってよかったね」「助けてあげられて嬉しかったね」という体験もしてもらい、「助けてもらってるあなたはダメじゃ無いよ。そういうあなたも愛してるよ、愛されているよ」ということを伝えます。
子どもに「助けてって言っていいんだよ」と丁寧に何度も伝えていくことで、動けるようになるのです。
ひとりじゃないよ あなたを大事に思っている仲間かここにいるよ
「ひとりじゃない」と思えた人は、一人でも大丈夫。
「ひとりぼっち」だと思っている人は、一人ではいられない。
だから、その子にわかる言葉や行動で伝えるのが大切。「あなたのことを大事だと思っている人間が、ここにいるよ」「あなたがたとえ病気だろうと、あなたのことを大切に思っている人間がここにいるよ」……と。
今回のコロナ禍は一部地域に限ったことではなく、みんなが当事者なのだから、人に優しい世の中を作っていくきっかけになればいいですね。
それと、つい見落としがちですが、ケアする人にもケアは必要です。
だから、みんながそれぞれ自分の弱さを出して、自分のちょっと強いところを分け合って、生きていく世の中をこのあと作れたらいいな。
ポイント!
- 「助けて」を言える練習をしよう
- 「ひとりじゃないよ」を伝えよう
- ケアする人にも、ケアは必要
副島賢和さんをもっと知る!
三谷宏治「ワークとライフをどうする?」(第六夜)
K.I.T.虎ノ門大学院教授 著述家
1964年大阪生れ、福井で育つ。東京大学 理学部物理学科卒業後、ボストン コンサルティング グループ(BCG)、アクセンチュアで19年半、経営コンサルタントとして働く。92年 INSEAD MBA修了。2003年から06年 アクセンチュア 戦略グループ統括。2006年からは子ども・親・教員向けの教育活動に注力。現在は大学教授、著述家、講義・講演者として全国をとびまわる。K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授の他、早稲田大学ビジネススクール・女子栄養大学 客員教授。放課後NPO アフタースクール・NPO法人 3keys 理事を務める。『経営戦略全史』(2013)はビジネス書2冠を獲得。永平寺ふるさと大使。3人娘の父。
三谷宏治さんは、長らく経営コンサルタントとしてお仕事をされ、今は大学教授、著述家、講義・講演者として全国をとびまわりつつ、教育の現場でご活躍されています。まさに、ワーク(経営・働き方)とライフ(教育・子育て)のプロフェッショナルです。
そんな三谷さんは、経営コンサルタント時代に、知識的専門性ではなくジェネラルな力が大事だとわかったそうです。その中でも「決める力」「発想力」が特に重要であると決め、それを、子ども達、そして親や教職員に向けて伝えているとのこと。
決める力と発想力は、「状況が変わった時に、どう対応していくか」ということも含め、生き抜くためには必要だということです。
ここでは、「決める力」と「発想力」を身につける方法をお伝えします。
なぜ、決められないか? 子どもに「決める力」を身につけさせる方法
まずは「決める力」について。決める力には、以下の3つの要素があります。
自分で決める姿勢と力
- 動機
- 感情
- 技
まず「動機」について。決められないのは、ある意味単純で決める必要がないから。親が決めてくれたり、お小遣いが無尽蔵にあるためです。
大きな意思決定のひとつは資源の配分。つまり子どもにとってはお小遣いです。月のお小遣いが1,000円、年収1万2,000円の子どもに対して、祖父母から正月や誕生日などにその何倍もの大金が何度も流れ込んでくる。定額制のお小遣いが、意思決定の訓練のトレーニングになっていません。
次に「感情」。これは決めるのが怖い、という気持ちです。先生も、親も、人と同じことをやっていたら何もいわないのに、人と違うことをやった瞬間に「なぜ?」「どうして?」と必ず言われるから。
そして「技」。決めるのも技なのですが、その決め方を知らない。学校でも教えないし、親も不得意。大人が子どもに「自分たちで決めなさい」と言うことはあるけど、決まらなかったときに決め方まで教えない。
では、決められるようにするにはどうすればいいのか? これらを解決する方法は、以下のとおり。
- 【動機】決める必要を作る。たとえば、親が決めなかったり、お小遣いを絞ったり。
- 【感情】人と違っていてもそれを褒めたり、決めることをイベント化したりします。
- 【技】決め方を練習させる。親は、子どもが決めた結果を気にしますが、そうではなくプロセスに注目します。「ちゃんと調べたのか?」「どういう基準で決めたのか?」など過程を問うのです。注意点ですが、このとき結果が間違っていようとも、大人は受け入れる覚悟が必要です。
決める練習は家でもできるので、家庭に取り入れて「決める力」を身につけよう!
どう働いて行くか? 親世代が「発想力」を身につける方法
世の中が目まぐるしく変化し、会社自身が「変わらなきゃ」という状況に置かれている中、30代・40代の世代は、自分自身も変わらざるを得ません。もう少し上の世代なら、変わらなくてもこのまま逃げ切れる可能性はあるけど、若い世代はそうは行かない。
では、どう変わっていけばいいのか?
98%くらいの人は「選ぶ」と思う。
残りの2%ほどの人が、先を走って行く。制限の中で工夫をして先へ走る人、制限を無視して新たな方向へ進む人。
大部分の人たちは、色んな情報や多くの人の意見に触れ、その中で自分の性格や状況を踏まえて、「このやり方がいいな」と思う方を選べばいい。あとは、それを実行するだけです。
ただし、実行するためには必要なのが「覚悟」です。
もし、自分で選んだことが実行できないとき、それは覚悟がないからです。「人と違うことが怖い」「人と同じがいい」など。
もしあなたが「そうだよねー」とずっと言っていると、必ず多数派に入れます。そして誰にも突っ込まれません。でも、それは決めた訳ではありません。
もし自分が「これだ!」と決めて声を上げたり、実行に移したりすれば、反対意見の人から恨まれるかもしれないし、少数派に落ちるかもしれない。決めるには、10人中3人になる覚悟が必要なのです。
さらにもっと言えば、「発想力」というところまで自分が行きたい場合は、10人中1人になる覚悟が必要です。
なぜなら、発想力は誰も言わないことを言うことだからです。ただし、それに必要なのは覚悟だけではありません。「誰も言えないことが言えて楽しい!」と思える気持ちがないと、発想はできません。
かなりハードルが高そうに感じるかと思います。でも、これを最初からできる人はほとんどいません。もし、あなたが「決める力や発想力を身につけたい。変わらなきゃ」と思ったのであれば、必要なのは練習です。
まずは、身の回りの小さなことから始めましょう。変わろうという気があるのなら、小さなことから練習すれば、決める力・発想力を身につけて十分変わることができます。
特別なガンダムじゃなくてもいい。量産型だけど、少し性能がアップしたシャア専用の赤ザクを目指そう!
オリジナリティーを持って、それを遂行できる人間を見たとき、すごい存在に思えるかも知れません。でも、彼らだって、教科書にでてくる偉人と言われる人だって、最初は積極的ではなかったり、失敗の連続だったりしているのです。
だから、自分にはできないと諦めなくても大丈夫です。
また、個人であれば、世界でナンバーワンでなく、何十人、何百人、何千人の中でいかにニッチを築けるか。今はネットの時代ですので、ニッチでもやりやすくなっています。つまりネットニッチ戦略。「私はこういう存在なんだ!」と、発信しつづけるのもいいでしょう。
総括してわかりやすくたとえるなら、量産型を少し性能をアップさせたシャア専用の赤ザク。すごく特別なガンダムにならなくてもいい。ちょっと違う人を目指しましょう。
ポイント!
- 「決める力」と「発想力」で、変化に対応して生き抜く
- 決めるのも、発想するのも、覚悟が必要(自主的)
- 最初からすごい人はいない。だから小さく何度も練習!
三谷宏治さんをもっと知る!
熊野英一&杉山錠士「で、これからどうする?」(第七夜)
熊野英一&杉山錠士で6日間を振り返ります。
7日目の最終日は、ゲストはなし。連日司会進行を務めた熊野英一さんと杉山錠士さんによる、6日間の振り返りがありました。
「あぁ、いい話だったなぁ」
で、終わってはいけません。次に考えるべきは、「で、あなたは何をするの? どんな行動を起こすの?」ということ。みんなで次のアクションについて意見を交わしました。
このあと、あなたはどんなアクションを起こす?
まず、司会者のお二方のアクションから。
熊野英一さんのアクションは、「Don’t worry, Be Happy !」と「仲間とつくる」の2つ。
今、ここにある幸せを発見する、味わう。幸せになるではなく、幸せである。だから、Be Happy。でも心配がいっぱいになると、今ある幸せがわからなくなってしまうので、Don’t worry。
そして「仲間とつくる」は、今回の「My Revolution 2020」の今後。連日の数百人の方が参加し、そして多くの反響を得ました。今日で終わりにするのではなく、皆さんと一緒に「じゃぁ次は何をする?」「なんか一緒にやろうよ!」と、新しくつくって行きたい。
そして、杉山錠士さんのアクションは「聞く!」。
田中靖浩さんの「耳をすまして変化の音を聞いて」という話、そして藤田一照さんの「心の声、ハートボイスをしっかりと聞いて」という話が、特にすごく響いた。
なぜなら、自分は今まで話しすぎてきたから。喋りすぎてきたので、色んな音や人の話を聞かないといけないなと思った。色んな音を聞いて、色んなことを取り入れてやっていく。特にコミュニケーションは「傾聴7割・話すのは3割」なんてよく言われていますが、僕はそれが逆になっていたので、もっと聞いて行きたい。
参加者さんのアクション
ところで、視聴者の皆さんは、単に話を聞いているだけではありません。チャットで参加しました。
特に最終夜は、これまでの感想や、自分自身が起こしたいアクションがたくさん寄せられ、とても賑やかでした。
少しご紹介します。
みんなのアクション
- つながりを感じる、信頼する
- 寄り添う、側にいてあげる。家庭でも、会社でも
- いい匂いのする方へ、動き続けよう!
- 考える前に感じる
- 子どもの課題は、子どもを信頼して、子どもに任せる
- ワクワクする方へ、やりたいことをやってみる
- ちょっとしたオリジナリティを練習してシェアする
- ココロに正直に、自分で決める
- 自分軸!
- 自分を赦す
パパやる、北野啓太郎のアクションは?
そして、僕もアクションを考えました。
連日、多彩なスペシャリストのお話をうかがい、それぞれまったく違う業界でご活躍されているにもかかわらず、それぞれに共通するキーワードがあることに驚きました。
主体的・能動的に「動く」であったり、協業する「仲間」であったり、やりたいと気持ちの「ワクワク」であったり、他者に貢献する「利他的」であったり……。
本質的な話をすると、似たようなところに帰結するというのは、驚愕あり、感動的です。
もうこれは、疑いようがない大切なことなのでしょう! 僕は、そう心に強く感じました。
僕は、6年前からフリーランスとして活動しています。それまでは長らく会社勤めをしてきて、そこでは良いことも沢山あったのですが、やはり組織で働くことの窮屈さは拭えませんでした。しかし独立してからは、自分一人で決裁でき、誰からも反対されないので、その快適さに安住していたのです。
でも「この先は順風満帆か?」と聞かれると、決してそんなことはありません。むしろ大きな不安がドーンとそびえていて、これから進むべき道に迷いもあります。
でも、今回「My Revolution 2020」に参加したことでわかったのです。進まないといけない……と。
「ハートに火をつけて、ワクワクを大切にし、それを行動に起こす。そして仲間も集う!」
早速、具体的なアイデアもどんどん湧き出てきて、やる気もグングン急上昇しています。僕はメディア、特にWEBメディアが好きなので、そこに着火したいと思います。準備が出来次第、実行します!
今回は、「My Revolution 2020」という素晴らしいイベントに出会えてよかったです。皆さま、心よりありがとうございました!
北野が特に大切にしたい言葉たち
- ワクワクすることをして、みんなと仲良くする
- 自分自身が主人公として動く。いい仲間も見つけて一緒に動く
- 専門家ではなくスペシャルを目指す
- チームでやるためには、コミュニケーションは欠かせない
- すべての生き物は、使わなければ能力が萎縮してくる廃用性萎縮という性質を持っている
- ハートに着いた熱い火を実現させるのが、マネージャーに当たる冷静な頭脳
- 「ひとりじゃない」と思えた人は、一人でも大丈夫
- 【決める力】決める必要を持つ、人と違うことを言える勇気を持つ
- 【発想力】「 誰も言えないことが言えて楽しい!」と言える覚悟を持つ
facebook ページ「My Revolution 2020 コミュニティ」
My Revolution 2020 は、熊野さんがおっしゃっていたように、これで終わりではありません。現在、facebook内に「My Revolution 2020 コミュニティ」が立ち上げられ、そこで情報発信や交流が行われています。
熊野英一さん、杉山錠士さん、運営スタッフの皆さん、今回のゲスト出演者さん、そしてチャットで参加した皆さんが集っています。
facebookコミュニティーへの参加は無料です。
ぜひ、チェックしてみてください!
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